レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年07月29日
- 登録日時
- 2012/09/22 10:09
- 更新日時
- 2021/07/07 15:14
- 管理番号
- 県立長野-12-007
- 質問
-
解決
信濃国の「笠原」姓の出所などを記した文献を教えてほしい。
また「笠原頼直」の出所については2箇所の説があるようだが、定説を教えてほしい。
- 回答
-
1 「笠原」姓については、所蔵している以下の資料を紹介した。
『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』角川書店 1996 【N288/158】
p.719-720 「笠原」の項
『長野県歴史人物大事典』 郷土出版社 1989 【N283/13】
p.178-179「笠原清繁」「笠原氏」の項
p.179-180「笠原十兵衛」「笠原善吉」「笠原忠夫」「笠原忠造」「笠原頼直」の項
『諏訪史料名家系譜』 飯田好太郎著 歴史図書社 1977(原本:1897)【N288/82】
p.226-227「笠原氏(旧矢ヶ崎ノ内)」の項、p.300-301「笠原金右衛門」の項
p.362「笠原氏(旧神宮寺村ノ内)」の項、p.430-432「笠原五右衛門」の項
上記のうち、「笠原金右衛門」以外の項には「笠原頼直」の名が記されている。
『長野県上伊那誌 人物篇』 上伊那誌編纂会編 上伊那誌刊行会 1970 【N242/32/4】
p.107-109「笠原雲樵」「笠原實太郎」「笠原正太郎」「笠原昌之進」「笠原平吾頼直」の項
『下伊那史 第4巻』 下伊那誌編纂会 1961 【N243/18/4】
p.873-878「笠原氏」
『中野市誌 歴史編(前編)』 中野市誌編纂委員会編 中野市 1981【N213/59/2】
p.242「笠原御牧と笠原氏」、p.247-248「中野市と笠原氏」
p.257-258「鎌倉御家人」中、「その他の諸氏」p.265-268「笠原牧と笠原氏」
2 「笠原頼直」の出所の定説を特定することはできないが、関係記述を含む資料は以下のとおりであることを紹介した。
『長野県上伊那誌 人物篇』のp.108-109「笠原平吾頼直」の項
「笠原氏の出自は諏訪氏の分流で、その発祥地については高井郡の笠原牧と伊那郡の笠原牧とのニ説
があるが後者の方が古く、笠原氏の発祥地としてふさわしいようである。(後略)」との記事があり。
『諏訪史料名家系譜』p.430-432「笠原五右衛門」の項
「旧神宮寺宮の脇笠厚頼直の末葉也一ツ笠原氏の宗家たり長百姓を勤む慶長六丑年日根野氏国替の
節御高受継に出頭す」(後略)との記事があり(笠厚は笠原の誤植と思われる)。
『長野県歴史人物大事典』p.178-179「笠原氏」の項
当県「上高井郡」と「伊那市美篶笠原説」とがあり「定説はない」との記述あり。
山田寛治著『横田河原合戦の闘将笠原頼直の出自をめぐって』(『須高』第47号 1998年10月 p.40-
46)この論文は、先行の文献の関係記事を引用して、それらが高井と伊那のどちらの説を記している
かを紹介した後「高井の笠原が頼直の本拠だという立場から述べ」たもので、以下の資料はいずれも
この論文に引用されたものである。
『高遠町誌 人物篇』 高遠町誌人物篇編纂委員会 高遠町誌刊行会 1986 【N242/79/3】
p.115「笠原平吾頼直」の項
頼直は「伊那の笠原としたい」「高井郡に住していたものではないかと思われる」と併記。
『新編信濃史料叢書 第8巻』 信濃史料刊行会編・刊 1974 【N208/43/8】中、
「高遠記集成 巻上」p.142 「笠原頼直略伝 附高遠築城」
「(前略)頼直ハ桓武天皇ノ後裔ニシテ、信濃守維茂カ曾孫也、其始高井郡ニ在住シ、後当郡ニ
移リ、牧監ニ補セラレ、天神山ニ館ヲ構フ(後略)」
『長野県史 通史編 第2巻中世1』 長野県編 長野県史刊行会 1986 【N209/11-4/2】
『平家物語』に登場する「頼直」について以下の記述あり。
p.46「笠原氏は中野市笠原に(中略)その本拠をもった土豪であろう」
p.67「北信の雄将笠原頼直」
『長野県上高井誌 歴史編』 上高井誌編纂会編 上高井教育会 1962 【N214/18/2】
p.171「高井郡中野(中略)に隣接している笠原牧を支配していた笠原頼直」の記事と
p.180に前掲『横田河原合戦の闘将笠原頼直の出自をめぐって』中の引用部分あり。
『中野市誌 歴史編(前編)』p.247-248
「中野地方の武士には(中略)笠原平吾頼直がいた」「笠原牧という大きな所領を基盤とする北方の雄
として、北信濃における平氏方の領袖であった」
『下伊那史 第4巻』p873-878「笠原氏」に「笠原頼直」の記述もあり。
p.875に「笠原平吾頼直については伊那人・高井人の両説あることは前述のとおりであるが、
それは江戸中期以後における地方史家の所説に過ぎず。いずれともこれを決定し得られるだけの史料
を欠いている。(中略)笠原の本拠はその発祥の故地たる伊那郡にあり、後には高井郡にも勢力を扶
植することになったのである」との記述あり。
『駒ヶ根市誌 古代・中世編・別編年表』
駒ヶ根市誌編さん室編 駒ヶ根市教育委員会 1990【N242/61-1/1】
p.107「笠原頼直は北信濃の武士(現在の中野市笠原)であったとみるのが今日では有力である」
『みすヾ』みすヾ村誌編纂委員会編 甲陽書房 1961 【N242/30/1】
p.313 「笠原平吾頼直の口碑が、この地方に語りつがれたものと思われる」
p.366-372「ごりん林の宝篋印塔」の項に「笠原平吾頼直」の記述があり、頼直は伊那の人である
が、横田河原で義仲に敗れた後、「一説には高井郡笠原荘に隠れ住んだといわれている」との記事
あり。
『長野県の歴史』(県史20)古川貞雄[等]著 山川出版社 1997【215.2/フサ】p.80
木曽義仲軍との市原の戦いに触れた箇所に「高井郡笠原牧(中野市)の笠原頼直も」の記述あり。
- 回答プロセス
-
1 『角川日本姓氏歴史人物大辞典 20 長野県』『長野県歴史人物大事典』で「笠原氏」の項目をみる。
記述内容から同氏の関係地域を特定し、伊那郡、諏訪、中野の地方史、伝記資料を検索。笠原氏の出
所を記した部分を紹介。
2 上記1の調査中に記載を確認した「笠原頼直」の出所に関わる部分を紹介。
当館蔵書を「笠原頼直」で検索し、山田寛治著「横田河原合戦の闘将笠原頼直の出自をめぐって」『須高』第47号がヒット。この内容を紹介した。この論文中に引用された文献の当館所蔵を確認し、現物を見て内容を紹介。
3 上記の結果からは「笠原頼直」の出所には高井郡と伊那郡の2説があり、定説を特定することはできないことを伝え、これまで紹介した文献について質問者の地元図書館での所蔵の有無を併せて紹介した。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 系譜.家史.皇室 (288 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 個人伝記 (289)
- 参考資料
-
-
竹内理三 [ほか]編纂. 角川日本姓氏歴史人物大辞典 20. 角川書店, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002541302-00 , ISBN 4040022009 (【N288/158】) -
赤羽篤 [ほか]編 , 赤羽, 篤, 1920-2012. 長野県歴史人物大事典. 郷土出版社, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002021352-00 , ISBN 4876631263 (【N283/13】) -
飯田好太郎 著 , 飯田, 好太郎. 諏訪史料名家系譜. 歴史図書社, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001332632-00 (【N288/82】) -
上伊那誌編纂会/編 , 上伊那誌編纂会 , 上伊那誌編纂会. 長野県上伊那誌 4. 上伊那誌刊行会, 1970-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059339336-00 (【N242/32/4】) -
市村 咸人/編 , 市村 咸人 , 市村 咸人. 下伊那史 第4巻. 下伊那誌編纂会, 1961-06.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059051067-00 (』 下伊那誌編纂会 1961 【N243/18/4】) -
中野市誌編纂委員会/編 , 中野市誌編纂委員会 , 中野市誌編纂委員会. 中野市誌 歴史編(前編). 中野市, 1981-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059338769-00 (【N213/59/2】) - 『須高』第47号 須高郷土史研究会 1998.10
-
高遠町誌人物篇編纂委員会/編 , 高遠町誌人物篇編纂委員会 , 高遠町誌人物篇編纂委員会. 高遠町誌 人物篇. 高遠町誌刊行会.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059162105-00 (【N242/79/3】) -
信濃史料刊行会. 新編信濃史料叢書 第8巻. 信濃史料刊行会, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001228624-00 (【N208/43/8】) -
長野県/編集 , 長野県. 長野県史 通史編 第2巻. 長野県史刊行会, 1986.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005947136-00 (【N209/11-4/2】) -
上高井誌編纂会/編 , 上高井誌編纂会. 長野県上高井誌 歴史編. 上高井教育会, 1962-00.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I058971119-00 (【N214/18/2】) -
駒ケ根市誌編さん室/編 , 駒ケ根市誌編さん室 , 駒ケ根市誌編さん室. 駒ケ根市誌 古代・中世編. 駒ケ根市教育委員会.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059091462-00 (【N242/61-1/1】) -
みすゞ村誌編纂委員会/編 , みすゞ村誌編纂委員会. みすゞ : その自然と歴史. 甲陽書房.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059269835-00 (』みすヾ村誌編纂委員会編 甲陽書房 1961 【N242/30/1】) -
古川貞雄 [ほか]著 , 古川, 貞雄, 1931-. 長野県の歴史. 山川出版社, 1997. (県史 ; 20)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002582245-00 , ISBN 4634322005 (【215.2/フサ】)
-
竹内理三 [ほか]編纂. 角川日本姓氏歴史人物大辞典 20. 角川書店, 1996.
- キーワード
-
- 笠原氏
- 笠原頼直
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000111662