レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20180116
- 登録日時
- 2018/11/29 00:30
- 更新日時
- 2020/03/24 18:33
- 管理番号
- 中央-2018-10
- 質問
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解決
クリミア戦争参加国の兵器の性能が比較できる文献はあるか。
クリミア戦争時のロシアの大砲の飛距離はイギリスの半分程度だったらしい。
- 回答
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都立図書館の蔵書検索を<クリミア戦争><兵器>等のキーワードで調査したところ、以下の資料に記載が見られた。
資料1のp.52-54「セバストポール攻略 3 要塞攻略戦の一例 1 ミニー銃とランチェスター砲<腔綫銃砲威力を発揮> 及び 2 散弾砲兵の推進の威力<正攻法成功>」
攻撃する英・仏・トルコ軍の砲兵と応戦する露軍砲兵及び、この戦闘で初めて使用されたランチェスター式の重砲、仏軍のミニー銃、露軍のマスケット銃の性能について記述がある。また、「クリミヤ戦争 セバストポール攻撃図(1855年9月)」が載っていて、戦い方の記述もある。
資料2のp.305-327「企業間の、そして国家間の軍備をめぐる競争」(第7章 戦争産業化の始まり 1840~84年)
緒戦のアルマ、バラクラヴァ、インカーマンの三つの戦闘で、フランス軍とイギリス軍の新式ライフル銃は有効射程距離が約1000ヤードあったのに対し、ロシア軍のマスケット銃は、撃って効果があるのは200ヤードまでであったという記述がある(p.313)。
フランス陸軍が、特殊なミニエー式の弾丸を、クリミア戦争の実戦でその価値が証明されたのち1857年に制式の標準装備としたことや、イギリス陸軍が1851年にミニエー弾丸の特許権を買って、クリミア派遣軍の全連隊にライフル銃を装備させたという記述もある(p.314)。
資料3のp.596「第8章 大砲の発達」に、旧式戦術が鉄砲の進歩の前には通用しなくなっていたことを劇的に示したのがクリミア戦争であり、ミニエー弾丸を用いるライフル銃の有効射程はそれまでの滑腔銃の2倍になり、装填時間が短縮され発射弾数が増大したという記述がある。また、火砲も射程がのび、砲弾も炸裂弾が使われるのが当然となっていたとある。
ロシア軍は旧式な滑腔銃をまだ多く使用していたこと、英仏軍はミニエー弾丸のライフルを装備していたという記述がある。
資料4のp.320「第7章 アリマ川の戦い」に、フランス軍の大砲について、「ロシア軍の大砲に比べて口径が大きく、射程も長かった。」という記述がある。
資料5のp.150「第11章 セヴァストポリ陥落」に、「攻囲戦の開戦当初、ロシア軍は重さ50グラムの円錐形銃弾を使っていたが、1855年の春以降は長さも重さもさらに大きな銃弾を採用した。新しい銃弾は長さ5センチ、重さは英仏軍の銃弾の2倍だった。(中略)敵の兵士に最大限の損害を与えた。」という記述がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 兵器.軍事工学 (559 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】兵器と戦術の世界史 / 金子常規/著 / 原書房 , 1979.9 <3932/54/79>
- 【資料2】戦争の世界史 技術と軍隊と社会 / マクニール/著 / 刀水書房 , 2002.4 <209.0/5030/2002>
- 【資料3】世界銃砲史 下 / 岩堂憲人/著 / 国書刊行会 , 1995.11 <5591/3015/2>
- 【資料4】クリミア戦争 上 / オーランドー・ファイジズ/著 / 白水社 , 2015.3 <238.0/5123/1>
- 【資料5】クリミア戦争 下 / オーランドー・ファイジズ/著 / 白水社 , 2015.3 <238.0/5123/2>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000246579