レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年10月27日
- 登録日時
- 2021/01/23 16:08
- 更新日時
- 2021/02/12 09:47
- 管理番号
- 0000110881
- 質問
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解決
明治、大正期に山口県内を走る鉄道(蒸気機関車)に乗って旅行を楽しむ人たちの服装に関する写真や記述を探している。
- 回答
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下記資料1によると、山口県内で初めて鉄道が走ったのは山陽鉄道の広島-徳山間で、明治30年(1897年)のこと、山口線の前身的存在である大日本軌道山口支社線(軽便鉄道)の小郡新町-湯田間が営業開始したのが明治41年(1908年)、現山口線の小郡-山口間が営業を開始したのは大正2年(1913年)。
したがって、明治30年代から大正初期にかけて、鉄道旅客の服装が分かる写真等が載った資料について調査した。県内で撮影したものは少ないと思われたため、撮影地は問わないものとした。
鉄道関係資料としては以下のとおり。
資料1『鉄道いまむかし』
山口県の鉄道の歴史をまとめた資料。写真は比較的小さい。p34に「明治45年に新橋-下関間の国際列車用として使用された展望車」の写真(2枚のうち1枚は旅客が写っているが絵の可能性もある。)、p56に明治43年(1910年)の大日本軌道山口支社線(山口新道-御茶屋橋間)開業式の写真(不鮮明)、p62に大正5年(1916年)の船木鉄道開業式と思われる写真(不鮮明)、p92に大正8年(1919年)頃の山口線三谷駅風景の写真(駅に集う人々(子どもを含む。)が写っており、旅客も含まれると思われる。)がある。
資料2『山陽鉄道物語』
山陽鉄道の歴史をまとめた資料。写真は比較的小さい。p132に明治27年(1894年)12月5日付け「大阪朝日新聞」の挿絵が掲載されており、中等(2等)客車に乗る男女が描かれている。また、p145に、明治32年(1899年)7月1日付け「大阪朝日新聞」の連載小説の挿絵が掲載されており、食堂車で食事をする男女の様子が描かれている。
資料3『図説日本の鉄道クロニクル1』
鉄道の歴史を、図像を多く使って解説した本。p36に小さいが食堂車の写真があり、乗客が写っている。(官設鉄道の食堂車は明治34年に営業開始とあるが、この写真の撮影年代は不明) なお、p62-65に、明治期の文学作品で鉄道を扱ったものの紹介がある。
資料4『図説日本の鉄道クロニクル2』
資料3の続編。p35に小さいが客車内の写真があり、キャプションとして明治44年に福岡日日新聞社が募集した周遊団体列車の旅客を写したものとある。
資料5『Early Janpanese Railways』
明治から大正初期までの日本の鉄道の歴史を紹介した洋書。比較的図版が大きい。p227に食堂車で食事をする人びとの写真(キャプションに明治38年(1905年)とある。)、p231に「特別急行列車の展望室」を描いた絵葉書と思しい絵(和服の女性が2名描かれている。)がある。p133に1920年代(大正期)の客車の様子を写した写真があるが、写っているのは外国人と思われる。ほかにも駅構内や客車内を写した写真がある。
資料6『遠い日の鉄道風景』
明治・大正期の地方私鉄や馬車鉄道などを写した絵葉書などを収録した資料。写真が比較的大きい。山口県内の路線を写したものは収録されていないが、駅構内や客車が写されたものが多い。
資料7『しものせきなつかしの写真集』
下関市の歴史写真集。p56-61に明治から昭和初期の下関市内の駅の写真を収録。写真は比較的小さい。旅客が写っているものは少ない。
また、読売新聞の記事データベース「ヨミダス歴史館」にて、キーワード「旅装」、「旅 服装」で検索したところ、鉄道旅行での服装の良し悪しを解説した記事として以下がヒットした。(実際の服装とは異なると思われることに留意する必要がある。)
「読売新聞」1911年(明治44年)8月7日付け1面「[通俗教育]鉄道旅行と公徳=3 車内における服装/木下淑夫(連載)」
なお、朝日新聞の記事データベース「聞蔵2ビジュアルでも同様に検索したが、適当な記事は見当たらなかった
この他、参考になると思われる資料として以下を紹介。
資料8『旅の風俗史』
絵葉書などを元に、近代日本の旅について論じた資料。p111-121に「鉄道旅行の巻」の章があるが、旅客の服装がわかる写真等は収録されていない。
資料9『新聞連載小説の挿絵でみる近代日本の身装文化』
新聞連載小説の挿絵に描かれた様々な服装を解説した本。索引を確認する限り、旅や鉄道をテーマとした服装は収録されていないが、年代ごとに、当時の服装を視覚的に確認することができる。
なお、このほか、山口県立山口博物館、山口県文書館、山口市歴史民俗資料館等が当時の写真を所蔵している可能性があり、照会することを勧める。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 交通史.事情 (682 9版)
- 参考資料
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1.山口県立山口博物館編 , 山口県立山口博物館. 鉄道いまむかし : 山口県を中心として. 山口県立山口博物館, 1982.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I011169678-00 (p34,56,62,92) -
2.長船友則 著 , 長船, 友則. 山陽鉄道物語 : 先駆的な営業施策を数多く導入した輝しい足跡. JTBパブリッシング, 2008. (キャンブックス = Can books ; 鉄道 85)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009230117-00 , ISBN 9784533070280 (p132,145) -
3.講談社 編 , 三宅俊彦 監修 , 三宅, 俊彦, 1940- , 講談社. 図説日本の鉄道クロニクル : 時代と技術で読み解く鉄道史 第1巻. 講談社, 2011.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011086694-00 , ISBN 9784062701617 (p36,62-65) -
4.講談社 編 , 三宅俊彦 監修 , 三宅, 俊彦, 1940- , 講談社. 図説日本の鉄道クロニクル : 時代と技術で読み解く鉄道史 第2巻. 講談社, 2011.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011115979-00 , ISBN 9784062701624 (p35) -
5.ダン・フリー/著 , Free‖Dan. Early Japanese Railways : 1853−1914. チャールズ・イー・タトル出版, 2014.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I054610963-00 , ISBN 978-4-8053-1290-2 (p133,227,231) -
6.宮田憲誠 著 , 宮田, 憲誠. 遠い日の鉄道風景 : 明治のある日人車や馬車鉄道が走り始めた. 径草社, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008414696-00 -
7.下関市市史編修委員会 編 , 下関市. 下関市史 別巻 (しものせきなつかしの写真集). 下関市, 1995.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002457938-00 (p56-61) -
8.富田昭次 著 , 富田, 昭次, 1954-. 旅の風俗史. 青弓社, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009421302-00 , ISBN 9784787220271 (p111-121) -
9.大丸弘, 高橋晴子 著 , 大丸, 弘, 1933-2017 , 高橋, 晴子, 1948-. 新聞連載小説の挿絵でみる近代日本の身装文化. 三元社, 2019.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030119829-00 , ISBN 9784883035007
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1.山口県立山口博物館編 , 山口県立山口博物館. 鉄道いまむかし : 山口県を中心として. 山口県立山口博物館, 1982.
- キーワード
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- 鉄道
- 服装
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000292882