レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年02月23日
- 登録日時
- 2019/05/30 14:59
- 更新日時
- 2019/12/26 10:52
- 管理番号
- 埼久-2019-026
- 質問
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解決
「山月記」の最後の文「虎は、(中略)もとの叢に躍り入ってふたたびその姿を見なかった。」は、主語が虎なのに、なぜ「見なかった」なのか。研究者の見解が書かれた資料を探している。
- 回答
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以下の資料を紹介した。
『金田一春彦著作集 1 国語学編』(金田一春彦著 玉川大学出版部 2003)
p160-161「日本語では、ひとつのセンテンスの中で主語がいつの間にか変わってしまっても新たな主語を示さないことがあるので、これまた注意しないとしばしば誤読する。」との記述あり。例として山月記の最後のセンテンスが挙げられている。
また、「「見なかった」は「見せなかった」のあやまりではないかという意見も出ているところであるが、作者は、ここで主語を虎から他に変え、しかも文章の簡潔さを失うまいとしたのであろう。」という記述あり。
『講座正しい日本語 6 コミュニケーション編』(森岡健二〔ほか〕編 明治書院 1970)
p17-18 山月記の最後の一文についての記述あり。
『現代語法序説 続 主語廃止論』(三上章著 くろしお出版 1981)
p170-171 文章内で主格の無断交代が行われた例として、山月記の最後の一文が挙げられている。
- 回答プロセス
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1 自館目録を〈山月記〉〈中島敦〉で検索する。
2 《Google》(http://www.google.co.jp/ Google)を〈人虎伝〉〈山月記 & 論文〉〈国語科授業 & 山月記 & 躍り入って〉で検索する。
3 《国会図書館 NDL-OPAC(雑誌記事索引)》(https://ndlopac.ndl.go.jp/ 国会図書館)を〈山月記〉で検索する。
4 《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈山月記〉で検索する。
5 《国文学論文目録データベース》(http://www.nijl.ac.jp/ 国文学研究資料館)を〈山月記〉で検索する。
6 《Google ブックス》(http://books.google.co.jp/ Google)を〈主語 & 山月記〉で検索する。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2019年5月30日。
- 事前調査事項
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『「山月記」はなぜ国民教材となったのか』(佐野幹著 大修館書店 2013)
- NDC
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- 日本語 (810 9版)
- 参考資料
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- 『金田一春彦著作集 1 国語学編』(金田一春彦著 玉川大学出版部 2003) , ISBN 4-472-01471-8
- 『講座正しい日本語 6 コミュニケーション編』(森岡健二[ほか]編 明治書院 1970)
- 『現代語法序説 続 主語廃止論』(三上章著 くろしお出版 1981)
- キーワード
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- 日本語-文法
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000256526