レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/11/15
- 登録日時
- 2019/02/09 00:30
- 更新日時
- 2019/02/09 00:30
- 管理番号
- 参調 18-0048
- 質問
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解決
とある紙幣の図柄に関する批判意見が紹介された新聞記事を探しています。昭和56年7月7日、大蔵省が新たに発行する紙幣の図柄(福沢、新渡戸、夏目)のラフ下図を公表したところ、千円札の裏面に描かれたタンチョウの雌雄について、「タンチョウの足には水かきがついているから、足が雪原に隠れているのはおかしい」とか「オス(左)よりメス(右)のほうが大きいのはおかしい」といった批判がマスコミで報じられたらしく、その新聞記事を探しています。
●その質問の出典や情報源、調査済み事項など
タンチョウに関する批判が出たことは、紙幣や印刷局業務に関する専門書(たとえば植村峻氏の『紙幣肖像の歴史』や国立印刷局の『政府印刷事業史』)に記述があります。しかし、具体的にどのように報じられたのか、誰がそういう批判をしたのか、掲載された新聞は朝日なのか読売なのかといったことは触れられていません。昭和56年7月7日付けの夕刊は調査済みです(タンチョウの批判は見当たりませんでした)。もう少し後の日付の新聞に掲載されているものと考えられます。照会済み機関はありません。
- 回答
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昭和56年7月の新聞縮刷版で調査。
昭和56年7月の朝日新聞縮刷版の索引「内閣<大蔵省<新紙幣」の項目に、「ツルにノミの夫婦はいないはず クレームついて新千円札手直し」という記事があり。本文を確認したところ、7月18日(土)夕刊の10面に該当の記事があり、「五十九年秋にも発行される新千円札のデザインで、裏面のタンチョウヅルの雄と雌の大きさがおかしい、という指摘がいくつかあったため大蔵省印刷局はミスを認め、このほど、部分的な手直しをすることにした」「さらに、ツルの足が雪のなかにもぐっていて、よくわからないという意見も小学生などからあったので、合わせてこの点の修正も検討することにしている」という記述がある。
昭和56年7月の日本経済新聞縮刷版の50音順インデックス「大蔵省」の項を見たところ、7月7日の新券発行に関する記事(「お札衣がえ、59年秋から、サイズも縮小―渡辺蔵相語る」7月7日夕刊1面)は見つかったが、デザインに関する批判があった、という内容の記事は見つからなかった。
朝日新聞に記事があった7月18日の日経新聞紙面を確認したところ、朝刊23面の「窓」というコラムに「千円札裏面のタンチョウヅルを撮影したアマチュアカメラマンが大蔵省から贈られた謝礼金を「ツルに恩返ししたい」と十七日、釧路教育局に寄付した」という文章があり、続いて「ただツルについての観察眼はさすがプロ。「左側の雄に比べて右側の雌が大きいのは生態学的に不自然」と手直しを求め、同省印刷局を赤面させる一幕も―」という記述があった。前後の日付の記事を調査したが、千円札のデザインに手直しが入った、という事実を伝える記事は発見できなかった。
当館所蔵の毎日新聞、読売新聞、北海道新聞の原紙(北海道版)の7月17日~25日の紙面を調査。
◆毎日新聞
7月18日朝刊15面に「タンチョウ新千円札に舞う」という記事があったが、内容は釧路の林田さんの写真が使用されている、ということで、図柄に関するクレームではない。
◆読売新聞
新千円札についての記事は確認できなかった。
◆北海道新聞
7月18日朝刊21面に「裏ではありますが 新千円札に登場 林田さん(釧路)のタンチョウの写真」という記事があり。毎日と同様、釧路の林田さんの写真が使用されていることについてだが、「デザインに不満も」の見出しで「右側の雌の背丈をもう少し低く」と「大蔵省印刷局長と懇談した折やんわり指摘した」という記述があった。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 貨幣.通貨 (337 7版)
- 参考資料
- キーワード
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- 紙幣
- 千円札
- タンチョウヅル
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000251557