レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/02/12
- 登録日時
- 2010/06/17 02:01
- 更新日時
- 2010/07/02 13:26
- 管理番号
- 埼久-2009-081
- 質問
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解決
動物の偶蹄目について調べている。なぜ「中指と人差指」でなく「中指と薬指」以外の指が退化したのか、理由が知りたい。
- 回答
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以下の資料に関連記述があり。これらを提供する。
『イノシシは転ばない』(福井栄一 技報堂出版 2006)
p59「早く走ること」を追求した結果、草食獣の指先の爪が蹄に変容し、指の本数が減った」とあり。
p60 偶蹄目の指の減少の三段階として、①親指の消失、②中指と薬指の発達(これらを「主蹄」という)、③人差指と小指の消失をあげている。また,イノシシやウシ類、シカ、カバなどは人差し指と小指に当たる指が測蹄として残ったが、斜面を上り下りする際にストッパーの役割を果たす、との記述もあり。
『哺乳類観察ブック』(熊谷さとし 人類文化社 2001)
p25「動物は走り屋になればなるほど、指先だけを使って走るようになり、指の本数も減ってくる。偶蹄目・奇蹄目ともに、まず要らなくなったのが親指だ。そして偶蹄目では、人差し指と小指も小さく退化していて、これは副蹄と呼ばれる。この小さな副蹄は…ストッパーとして役立っている。」とあり。
人間の手の4本指に例えた進み方・後退の仕方の図あり。
『哺乳類の進化』(遠藤秀紀 東京大学出版会 2002)
p99「偶蹄目…。ほとんどの場合、偶数本の指を備え、足の中軸が第3指と第4指の間を徹というのが形態学的な特質で…」とあり。
p101 図2-20 現生のイノシシの左前肢端骨格標本写真があり。「主として、第3指と第4指が、体重を支えている。」とあり。
『骨から見る生物の進化』(ジャン=バティスト・ド・パナフィユー 河出書房新社 2008)
p176「偶蹄目はまず親指を失い、四肢の軸がややずれている。イノシシとブタでは、足の中央に2本の長くて強力な指がある。それより外側にある2本の指は、ずっと小さく、わずかに地面に接する程度である。」とあり。
『図説哺乳類の進化』(ロバート・サベージ テラハウス 1991)
p207「ウシ目(偶蹄類)・・・の四肢の軸は,第三指と第四指のあいだにあって・・・。第三紀初期のほとんどのものに第二指と第五指はあるが、大きさが違ったり退化したり、…。これらの側方の指は、すべての進化型のものでは消失するか、機能的な意味を失ってしまう。」とあり。
- 回答プロセス
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回答欄の複数の資料の記述を簡単にまとめると、「まず親指が消失し、残った4本のうち真ん中の中指と薬指の間に足の中軸ができ、この2本で体重を支えるようになった。外側の人差し指と小指は退化して消失するか、小さくなりストッパーとして役立つようになった。」ということのようである。
- 事前調査事項
- NDC
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- 一般動物学 (481 9版)
- 参考資料
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- 『イノシシは転ばない』(福井栄一 技報堂出版 2006)
- 『哺乳類観察ブック』(熊谷さとし 人類文化社 2001)
- 『哺乳類の進化』(遠藤秀紀 東京大学出版会 2002)
- 『骨から見る生物の進化』(ジャン=バティスト・ド・パナフィユー 河出書房新社 2008)
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『図説哺乳類の進化』(ロバート・サベージ テラハウス 1991)
- キーワード
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- 偶蹄目
- 進化(生物学)-退化
- 動物学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000067977