レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年04月17日
- 登録日時
- 2019/12/18 15:42
- 更新日時
- 2020/06/24 16:50
- 管理番号
- 埼久-2019-079
- 質問
-
解決
新元号の元になった万葉集の部分に「天平二年正月十三日に、師の老の宅に萃まりて、宴會を申く。時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。」とあるが、この「蘭」は何かを知りたい。
- 回答
-
以下の資料を紹介した。
『万葉集全解 2(巻第4・巻第5・巻第6)』(多田一臣訳注 筑摩書房 2009)
p222-223「梅花の歌三十二首」の注に「「蘭」はフジバカマ。開花は秋だが、茎や葉は乾くと芳香を放つ。」とあり。
『万葉植物文化誌』(木下武司著 八坂書房 2010)
p496-499「ふぢばかま(藤袴)」の項に、日本・中国の古い文献に見られる「蘭」「蘭草」はフジバカマであるという記述があり。また、「蘭」が今日のオーキッドを表すようになったのは、北宋の詩人黄山谷(1045-1105)によるという記述あり。
『萬葉植物歌の鑑賞』(中根三枝子著 渓声出版 2001)
p740-741「らに」の項に藤袴とあり。
『花万葉集』(杉本苑子[ほか]著 浅野喜市写真 光村推古書院 1978)
p162-163藤袴とあり。
『花万葉』(川口小夜子写真 目加田さくを文 海鳥社 1997)
p236「ふぢはかま(藤袴)」の項に「乾燥しかけると一層芳香を放つので「蘭草・蘭・らに」と呼ばれました。」とあり。
『万葉の花 江戸の植物画と現代活け花による』(庄司信洲編著 学習研究社 2003)
p79「藤袴の名は古くは「蘭草」(漢名)とあり、その花姿が往時の袴の姿に似ることにちなむものである。」とあり。
- 回答プロセス
-
1 自館資料で万葉集の該当部分を確認する。
2 NDC分類〈911.1-911.125〉の棚を確認する。
〈その他調査済み資料〉
『万葉植物抄』(梶井重雄著 紅書房 1997)
『萬葉植物原色図譜』(若浜汐子著 高陽書院 1965)
『万葉の花暦』(田中真知郎写真 猪股静弥文 朝日ソノラマ 1977)
『原色万葉植物図鑑』(小村昭雲著 桜楓社 1968)
『万葉の花』(松田修著 芸艸堂 1972)
『万葉の花・恋の歌』(山口真澄写真 三田千岳文 京都書院 1993)
『万葉の花を訪ねて』(入江泰吉著 求竜堂 1983)
『万葉うためぐり 学僧仙覚ゆかりの武蔵国小川町を歩く』(小川町観光協会編 笠間書院 2014)
- 事前調査事項
-
『日本大百科全書 23 もね-りこ』(小学館 1988)
p815-825「ラン」の項に「古代中国の「蘭」の字はフジバカマを指し、現在の蘭と置き換わるのは宋(960~1279)以降で、唐代(618~907)にはまだ混乱がある」とあり。
『日本書紀 7 巻第13-巻第14』(〔舎人親王[ほか]撰〕 〔大関〕増業校訂 河内屋和助 1820)
『万葉植物物語』(広島大学附属福山中学校[ほか]編著 中国新聞社 2002)
『万葉集花語り』(清川妙著 小学館 2001)
『万葉四季の花』(入江泰吉著 山崎しげ子文 佼成出版社 1987)
『万葉の花 江戸の植物画と現代活け花による』(庄司信洲編著 学習研究社 2003)
『万葉の花ごよみ』(田中澄江著 ぎょうせい 1990)
『萬葉植物の検索 その歌、その植物、その花と実と』(高樋龍一著 近代文芸社 2001)
- NDC
-
- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
-
- 『万葉集全解 2(巻第4・巻第5・巻第6)』(多田一臣訳注 筑摩書房 2009) , ISBN 4-480-75142-4
- 『万葉植物文化誌』(木下武司著 八坂書房 2010) , ISBN 4-89694-951-X
- 『萬葉植物歌の鑑賞』(中根三枝子著 渓声出版 2001) , ISBN 4-905847-26-5
- 『花万葉集』(杉本苑子[ほか]著 浅野喜市写真 光村推古書院 1978)
- 『花万葉』(川口小夜子写真 目加田さくを文 海鳥社 1997) , ISBN 4-87415-194-9
- 『万葉の花 江戸の植物画と現代活け花による』(庄司信洲編著 学習研究社 2003) , ISBN 4-05-401833-5
- キーワード
-
- 万葉集-植物
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 文学
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000270896