レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年3月17日
- 登録日時
- 2020/03/18 15:28
- 更新日時
- 2022/10/26 14:52
- 管理番号
- 2020-006
- 質問
-
解決
どのような雑誌がプレデタージャーナル(Predatory journal)に該当するのかが書いてある資料はあるか。
- 回答
-
プレデタージャーナルの特徴について論じられているいくつかの資料をみつけました。
詳細は回答プロセスをご確認下さい。
- 回答プロセス
-
1.プレデタージャーナル(Predatory journal)についての文献を検索
(1)本学OPAC
→ヒットなし
(2)本学統合検索システムDOGS Plus
キーワード:Predatory journal
条件:学内サービス以外を追加
比島恒和「Predatory journal (ハゲタカジャーナル) に関する問題」(『病理と臨床』2019, 37(1), 94-95)
→「「はじめに」 近年のオープンアクセス(OA)ジャーナルの普及によって, 多くの学術論文を無料で閲覧する恩恵にあずかれるようになった. しかし, その一方でこのOAモデルを悪用したハゲタカジャーナルと呼ばれる粗悪雑誌による被害が問題視されている。」とあり。
(3)CiNii Articles
キーワード:ハゲタカジャーナル
栗山 正光「いわゆるハゲタカジャーナルに関する文献調査」(会議発表論文, 首都大学東京リポジトリ, 2019-11-02)
「近年,オープンアクセスの進展に伴って,いわゆるハゲタカジャーナル,ハゲタカ出版社(predatory journals/publishers)が問題になっている。predatory とは捕食性とか略奪的という意味だが,米国コロラド大学デンバー校の図書館員ジェフリー・ビール(Jeffrey Beall)が,論文掲載料(APC)目当ての悪徳オープンアクセス出版をこう呼んで糾弾し,欧米で有名になった.これを「ハゲタカ」と訳して日本の大学図書館界に紹介したのは筆者」
栗山 正光「ハゲタカオープンアクセス出版社への警戒」(『情報管理』58(2), 92-99, 2015)
「ジェフリー・ビールはコロラド大学デンバー校の図書館員(メタデータ・ライブラリアン)で准教授である。“Scholarly Open Access(学術オープンアクセス)” と題するブログ1)でハゲタカOA出版社の告発を続けている。」
「ビールはリスト収載の基準を作成し,公表している。「ハゲタカオープンアクセス出版社と決定するための基準」と題する文書で,2015年1月1日付けの第3版が最新版である。」
千葉 浩之「ハゲタカジャーナル問題 : 大学図書館員の視点から」(『カレントアウェアネス』(341),国立国会図書館, 12-14, 2019-09-20)
https://current.ndl.go.jp/ca1960 [参照 2020-03-17]
「金儲けのみを目的とした粗悪学術誌、いわゆるハゲタカジャーナルの問題は、国際的にはpredatory publishingとして以前より認知され、様々な議論や対応がなされてきた。」
「ハゲタカジャーナルと疑われる特徴が数多く報告されており、そこから実態を窺い知ることができる。例えば、大量の電子メールによる投稿の呼び掛け、迅速な査読や短期間での掲載の保証、APCや出版プロセスの不明示、作りが雑なウェブサイト、影響力のある学術誌であるかのような誤解を抱かせる指標の表示などである。」
「4. ハゲタカジャーナルを見分ける方法 ハゲタカジャーナルと疑われる学術誌やその出版社については、これまでジェフリー・ビール(Jefrey Beall)によるリスト(いわゆるBeall's List)が公開されており、見分ける手がかりになっていた。このリストは2017年1月に削除されたが、現在は匿名の有志が更新している。」
→注記にビールのリストのURLあり。
→ビールのリストを確認
BEALL'S LIST OF PREDATORY JOURNALS AND PUBLISHERS(https://beallslist.net)[参照 2020-03-17]
→Jeffrey Beallによって作成されたハゲタカ出版社のリストあり。
「Criteria for Determining Predatory Open-Access Publishers」(https://beallslist.net/wp-content/uploads/2019/12/criteria-2015.pdf)[参照 2020-03-17]
→プレデタージャーナルの判断基準についての記述あり。
2.新聞記事を検索
(1)毎日新聞
鳥井真平「ハゲタカジャーナル:論文、4割引用 別の論文に 研究に欠陥の恐れ カナダの大学調査」(2019年4月30日 , 大阪朝刊, 政治面, 1ページ)
「ハゲタカ誌は論文の体裁は整い、有名誌と似た雑誌名で混同させる場合もあるため、健全な学術誌と見分けが付きにくい。(中略)ハゲタカ誌に詳しい佐藤翔・同志社大准教授(図書館情報学)は「問題ある論文に基づき研究を始めてしまうと、正しい結果が出ない研究をしていることになる。時間や研究費を浪費することになり問題だ」と指摘する。」
→佐藤翔・同志社大准教授の論文等を検索
・佐藤 翔「ハゲタカOA論文の4割は一度は引用されている」(『情報の科学と技術』69(4), 171-172, 2019)
「ハゲタカ OA(APC を徴収する OA 査読誌を装いつつ,実態はろくな査読をせずに APC 収入だけを目的とする雑誌。Predatory OA)」とあり。
・佐藤 翔「日本の医学博士論文に潜む7.5%のハゲタカOA」(『情報の科学と技術』68(10), 511-512, 2018)
→ハゲタカジャーナルの定義についての具体的な記述はなし
(2)日本経済新聞
キーワード:ハゲタカジャーナル
「学術誌「ハゲタカ」横行――大学側、注意呼びかけ。」(2019年2月18日 , 西部夕刊, 社会面,20ページ)
「投稿料を稼ぐ目的で運営されている粗悪な媒体がハゲタカ誌と呼ばれている。(中略)「論文投稿の際はハゲタカジャーナルにご注意ください」。京都大学は1月中旬、学生や研究者向けに注意を呼びかけるリーフレットを作り、ホームページに掲載した。(中略)新潟大学は2018年11月、ホームページに「粗悪学術誌に対する方針」を発表。大学が論文掲載料を支払う手続きの際、投稿先の出版社名や学術誌名を明記するよう義務付けたほか、投稿先の信頼度を測るチェックリストを紹介した。「出版社を特定し連絡をとれるか」「料金設定は明瞭か」など8項目の注意点で構成されている。」
①京都大学のリーフレットをホームページで検索
「論文投稿の際は 粗悪学術誌 ハゲタカジャーナル にご注意ください」
(https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/uploads/20190117_predatoryjournals_warning.pdf)[参照 2020-03-17]
「Q:どういうジャーナルがハゲタカジャーナルなのですか?」
「A: ハゲタカジャーナルかどうかを断定することは難しく、人により判断が分かれる部分も少なくありません。
しかし、概ね次のような特徴を持つジャーナルは注意が必要です。
・ 掲載されている論文に不審な点が多い。もしくは対象分野と大きくかけ離れた論文が掲載されている。
・ そのジャーナルの出版社が、短期間に不自然なまでに多くのジャーナルを刊行している。
・ ジャーナルのウェブサイトに、Editorial Officeの住所が記載されていない。
・ ジャーナルのウェブサイトに、無関係で学術的ではない広告が掲載されている。
・ 編集責任者が明確でない。
・ ジャーナルの名称やロゴが、有名なものに酷似している。
・ 査読の時間が極端に短いことを確約している。
・ 論文の著作権の取り扱いが明示されていない。もしくは著作権は出版社が保持すると記載されている。
・ 論文投稿料が明示されていない。
・ 研究不正や利益相反についての方針が明記されていない。
・ ジャーナルが刊行停止になった際、論文へのアクセスがどうなるかが明記されていない。 等
Eriksson Stefan, Helgesson Gert. The false academy: predatory publishing in science and bioethics. Medicine Health Care and Philosophy. 2017, vol. 20, no. 2, p. 163-170.」
②新潟大学のホームページを参照
「新潟大学における粗悪学術誌に対する方針について」(https://www.niigata-u.ac.jp/contribution/research/ethics/p_submission/)[参照 2020-03-17]
「論文投稿ジャーナルチェックリスト」(https://www.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/11/check_list.pdf)[参照 2020-03-17]
- 事前調査事項
- NDC
-
- 図書館.図書館情報学 (01 10版)
- 逐次刊行物.一般年鑑 (05 10版)
- 情報学.情報科学 (007 10版)
- 参考資料
-
- 比島恒和. Predatory journal (ハゲタカジャーナル) に関する問題. 病理と臨床, 2019, 37(1), p.94-95
-
栗山, 正光 , 栗山, 正光. いわゆるハゲタカジャーナルに関する文献調査.
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I007428670-00 -
栗山 正光 , 栗山 正光. ハゲタカオープンアクセス出版社への警戒. 2015-05. 情報管理 / 科学技術振興機構 編 58(2) p. 92-99
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I026358807-00 -
千葉 浩之 , 千葉 浩之. ハゲタカジャーナル問題 : 大学図書館員の視点から. 2019-09-20. カレントアウェアネス / 国立国会図書館関西館図書館協力課 編(341) p. 12-14
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I029981353-00 - BEALL'S LIST OF PREDATORY JOURNALS AND PUBLISHERS(https://beallslist.net)[参照 2020-03-17]
- 「Criteria for Determining Predatory Open-Access Publishers」(https://beallslist.net/wp-content/uploads/2019/12/criteria-2015.pdf)[参照 2020-03-17]
- 鳥井真平. ハゲタカジャーナル:論文、4割引用 別の論文に 研究に欠陥の恐れ カナダの大学調査. 毎日新聞, 2019年4月30日 , 大阪朝刊, 1ページ. 毎索(毎日新聞), [参照 2020-03-17]
-
佐藤 翔. ハゲタカOA論文の4割は一度は引用されている. 2019. 情報の科学と技術 69(4) p. 171-172
https://iss.ndl.go.jp/books/R000000016-I006839007-00 -
千葉浩之. ハゲタカジャーナル問題 : 大学図書館員の視点から. 国立国会図書館, 2019-09-20. カレントアウェアネス (341)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000040-I001207006-00 - 学術誌「ハゲタカ」横行――大学側、注意呼びかけ. 日本経済新聞, 2019年2月18日, 西部夕刊, 20ページ. 日経テレコン, [参照 2020-03-17]
-
京都大学HP「論文投稿の際は 粗悪学術誌 ハゲタカジャーナル にご注意ください」
(https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/uploads/20190117_predatoryjournals_warning.pdf)[参照 2020-03-17] - 新潟大学HP「新潟大学における粗悪学術誌に対する方針について」(https://www.niigata-u.ac.jp/contribution/research/ethics/p_submission/)[参照 2020-03-17]
- 新潟大学HP「論文投稿ジャーナルチェックリスト」(https://www.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/11/check_list.pdf)[参照 2020-03-17]
- キーワード
-
- プレデタージャーナル
- Predatory journal
- ハゲタカジャーナル
- ハゲタカ出版社
- 粗悪学術誌
- 粗悪雑誌
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 逐次刊行物
- 質問者区分
- 教員
- 登録番号
- 1000275996