レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年9月22日
- 登録日時
- 2018/09/16 11:42
- 更新日時
- 2020/05/09 12:14
- 管理番号
- 岐市図-006
- 質問
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解決
旧加納町役場の解体の経緯と、それに伴う反対意見などはあったのか知りたい。
- 回答
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○解体に至る経緯
「旧加納町役場庁舎は、平成17(2005)年に国登録有形文化財となり、加納地区の住民のまちづくりの拠点として建物の活用を進めようとしたが、登録前後の平成17年度、18年度に岐阜市が実施した耐震調査の結果、建物が強度不足により危険であることが判明した。-中略- その後、加納地域の住民を中心とした解体反対署名の提出等があったが、何度も地域住民と話し合いを続け、平成25(2013)年1月に岐阜市として庁舎を解体、跡地に地域住民の意向を尊重した施設を再整備していくことを政策決定した。-後略-」(『旧加納町役場庁舎記録保存調査報告書』1頁より抜粋)
○解体に至るまでの経過と解体工事の工程
平成17年11月10日 国登録有形文化財に登録
平成17年・18年 建物耐震強度調査実施
平成19年5月6日 庁舎閉鎖
平成20年 建物耐震強度調査実施
平成22年7月~ 中山道加納宿文化保存会、加納まちづくり会、加納東自治会連合会・加納西自治会連合会の四者(以下地元4団体)合同の旧加納町役場の保存・利活用に関する署名活動が始まる
平成23年2月 地元4団体より旧加納町役場の保存・利活用を求める署名(約1万人)の提出
平成23年12月21日 地元4団体より「旧加納町役場の保存・利活用」の実行を求める要望書提出
平成24年7月 地元4団体が独自で建物強度調査を実施
平成24年8月31日 地元4団体より解体同意及び新施設整備についての要望書の提出
平成25年1月 岐阜市政策会議にて解体再整備の方針決定
平成25年4月 地元4団体と解体後の跡地再整備構想策定の協議を開始
平成26年11月 庁舎南東側壁面に剥離片飛散防止ネットが設置
旧加納町役場跡地再整備基本構想策定
平成27年3月27日 議会で旧加納町役場解体予算が承認
平成27年12月15日 解体契約
平成27年12月30日 さよならイベントを開催
平成28年1月12日 旧加納町役場庁舎解体工事着工(内装解体着手)
平成28年1月18日 内装解体完了
平成28年1月19日 外壁解体着手
平成28年2月9日 外壁解体終了
平成28年 3月15日 旧加納町役場庁舎解体完了
(『旧加納町役場庁舎記録保存調査報告書』1頁より抜粋)
○解体理由
「-前略-市側は「コンクリート強度が法定基準に満たず、鉄筋の腐食も進行して危険な状態」と指摘。「建物全体を保存」「一部保存」「解体して再整備する」の三案を示し、全体保存は三~六億円かかり、解体再整備の一、二億円に比べて多額なため解体方針に至ったと説明した。-後略-」
(「中日新聞」2011年07月14日朝刊 岐阜近郊版 20頁より抜粋)
○市民からの反対意見
「地元団体 岐阜市長に署名提出
岐阜市加納地区の住民らでつくる「中山道加納宿文化保存会」など四団体は十六日、大正時代に建てられた旧加納町役場(国登録有形文化財)の保存と活用を求める一万千五十三人の署名と要望書を細江茂光市長に提出した。-中略-
署名活動は昨年十月から今年一月末まで実施。保存会の大野春一会長(81)らは「岐阜大空襲で残った遺産はこの役場だけ。心のよりどころを残してほしい」と訴えた。細江市長は「施設の現況について共通認識を深め、一緒に議論していきたい」とのコメントを出した。」
(「中日新聞」2011年02月17日朝刊 岐阜近郊版 16頁より抜粋)
「旧加納町役場庁舎存廃で対立
-中略-
「旧加納町役場庁舎」(岐阜市加納本町)について建て替えに前向きな市側と、保存を望む住民側との溝が埋まらない。市は12日の説明会で、建て替え案を提案したが、住民側は「なんとか保存してほしい」と猛反発。結論は持ち越しとなった。-中略-住民側は「旧役場は加納の宝」「多額の費用が必要でも保存してほしい」などと要望。「補修しなかった市にも責任がある」といった厳しい意見も出た。説明会で結論は出ず、市は今後も「解体、再整備」の方向で住民側との交渉を続ける方針。-後略-」
(「岐阜新聞」2011年7月15日朝刊 岐阜地域 16頁より抜粋)
「加納町役場に関する説明会及び住民の声
-中略-
住民側は
①今まで全くメンテナンス無しで使用したのは使い捨てである。-中略-
②国会議事堂の建築にも参画し、今も各地で使用されている建築の設計を手掛け、近代建築の基礎を創った京大武田五一教授の業績にも理解無く、放置、廃墟同然と日本建築家協会からの批判をどう見ているのか。
③1990年3月市開発推進部の南部まちづくり構想の中で「旧加納役場を永久に残したい」2005年ぎふ通信で「昔ながらの財産を有効活用して…」は南部市民を期待させたのみでおわっている。
④「市は南部に金を使いたくないのだろう、俺だって税金を納めているぞ」との声も出た。
⑤市は加納と合併時の条件を果たしていない。戦後とはいえ駐留軍に接収された時も加納が犠牲となった。加納の立場を理解して欲しい。-後略-
(『中山道加納宿』第58号2頁(2011年10月10日発行)より抜粋)
○跡地の利用について
岐阜市のホームページ内の「岐阜中央部地区都市再生整備計画」で跡地利用の事業について触れている。
・都市再生整備計画事業(旧まちづくり交付金) https://www.city.gifu.lg.jp/secure/24182/r_tosisaiseiseibi_s.pdf
- 回答プロセス
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質問者から『旧加納町役場庁舎記録保存調査報告書』を当館が所蔵していると情報をもらい資料内容を確認した。
図書館システムにて「旧加納町役場」を全文検索したところ『中山道加納宿』がヒットしたので、建物耐震強度調査を実施した平成17年から記載があるか確認した。
また、岐阜新聞、中日新聞、朝日新聞のデータベースで「旧加納町役場」を検索し記事を調べた。
そのほか岐阜市のホームページで「旧加納町役場」で検索し、「岐阜中央部地区都市再生整備計画」がヒットした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本の建築 (521)
- 参考資料
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- 岐阜市教育委員会編 , 旧加納町役場庁舎記録保存調査報告書 . 岐阜市教育委員会 , 2017 (請求記号:G 521/ギシ 資料番号:114956782)
- 「中山道加納宿」58号(佐藤哲雄編 『中山道加納宿 3』中山道加納宿文化保存会 , 2002) (請求記号:G 221.1/カ 資料番号:114737606)
- 「中日新聞」2011年2月17日朝刊 岐阜近郊版、2011年7月14日朝刊 岐阜近郊版
- 「岐阜新聞」2011年7月15日朝刊 岐阜地域
- キーワード
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- 旧加納町役場
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000242578