レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年03月15日
- 登録日時
- 2016/05/01 17:02
- 更新日時
- 2016/05/01 17:10
- 管理番号
- 福井県図20160315
- 質問
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未解決
花の落ちることを落花、葉の落ちることを落葉、雷の落ちることを落雷という。人が馬から落ちるのを何故落馬というか知りたい。
- 回答
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質問内容について、明確に解説した資料は発見できず。ただし、漢字熟語の構成について記載した資料があったので、参考までに下記のとおり紹介する。なお、中国語辞典にも「落馬」は記載されており、意味は日本語の場合と同じく「落馬する」だった。『日本国語大辞典』などの記載用例より、「落馬」という熟語は、中国では少なくとも5世紀頃より使用されている模様。
『ザ・漢字力』(加納喜光/著 2003年 小学館)p188-189によると、漢字熟語は基本的に漢文の文法に従っており、その結合の法則には、次の5つがあると記載されている。(以下、同書より引用)
① 語・述語の関係で結合する。例・・・国立(国が立てる)
② 並列の関係で結合する。例・・・男女(男と女)
③ 修飾の関係で結合する。例・・・美人(美しい人)
④ 補足の関係で結合する。例・・・乗車(車に乗る)
⑤ 認定の関係で結合する。例・・・不安(安らかでない)
質問内容の場合、「落花」「落葉」「落雷」は、二字の関係が③修飾の関係で結合しているのに対し、「落馬」は、④の補足の関係で結合していると考える。
『何でもわかる漢字の知識百科』(阿辻哲次/編,一海知義/編,森博達/編 2002年 三省堂)p147に、③の修飾の結合法則の一例として「落花」が記載されている。
- 回答プロセス
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1. レファ協、Google →質問サイトに類似質問あり。ベストアンサー以外の「tokio_olympic_2020さん」の回答が当館の回答と近い。ただし出典資料の明示は無い。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11134822926
2.国語辞典や中国語辞典をブラウジングする。→「落馬」の意味の記載はあるが、質問事項についての回答の記載はなし。
3.「漢字」についての書架NDC811.2と821.2をブラウジングする。→質問事項についての回答の記載がある資料は発見できず。ただし、漢字熟語の法則について記載された資料はあり。
【プロセス2の参考資料】
『日本国語大辞典 13巻』(2002年 小学館)p767「落馬」項には理由の記載なし。一番古い用例として「宋書」の“託疾落馬”があげられている。「宋書」は5世紀頃成立。
『大漢和辞典 巻9』(1985年 大修館書店)p766「落馬」項には理由の記載なし。用例として上記「宋書」のほか、「南史」の“義宣大懼、落馬、仍便歩地”があげられている。
「南史」は7世紀成立。
『中国語大辞典 上』(1994年 角川書店)p2015「落马」項には、①落馬する②捕
えられる;隠語とあるだけで、質問に対する理由の記載はなし。
『中日辞典』(2003年 小学館)pp957「落马」項には、①落馬する②戦いや競技に敗れるとあるだけで、質問に対する理由の記載はなし。
【プロセス3の参考資料】
『日中韓同字異義小辞典』(2010年 勉誠出版)p210「落」項に、「落」が“東アジア漢字文化圏において、大小の異同がある。”とし、“東アジア世界において基本的に共通である”例として、「下降」を表わす「落馬」が取り上げられている。しかし、質問に対する理由の記載はなし。
『朝倉漢字講座 2漢字のはたらき』(2006年 朝倉書店、1014825440)p86に、“漢語を構成する言語単位の造語機能”として“二字漢語”の中でも“動詞的要素+名詞的要素”の一例として、“開封,離党,出火,落馬”があげられている。しかし、質問に対する理由の記載はなし。
『ザ・漢字力』(2003年 小学館)p188-189に、“漢字と漢字を結びつけると熟語ができます。結びつけるには法則があります。(中略)この法則は漢文の法則でもあります。漢字で組み立てた言葉(漢字熟語)は基本的には漢文の文法にしたがう”とあり。質問の「落馬」は取り上げられていないが、5つある法則の内の1つ“補足の関係で結合する。例:乗車(車に乗る)”は、“日本語の文法と違うため、間違えやすい”とある。
『何でもわかる漢字の知識百科』(2002年 三省堂)p146-148に、二字熟語の構造についての記載有り。「落花」「落涙」はあるが、「落馬」の記載はなし。
『漢語いろいろ』(2006年 岩波書店)p15-17に、二字熟語の構造についての記載有り。「落花」「落涙」はあるが、「落馬」の記載はなし。
以下、「落」項目はあるが、「落馬」の記載がない資料↓
『漢字語源語義辞典』『日本語源広辞典』『字通』『白川静著作集 別巻 説文新義1』
- 事前調査事項
- NDC
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- 音声.音韻.文字 (811 8版)
- 音声.音韻.文字 (821 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000191819