レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年7月13日
- 登録日時
- 2019/01/11 14:09
- 更新日時
- 2019/11/20 13:48
- 管理番号
- 埼久-2018-080
- 質問
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未解決
野口雨情作詞「七つの子」について、「七つ」は「七羽」なのか、「七歳」なのかを知りたい。
- 回答
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当館の資料、データベース及びインターネット情報を調査したが、確認できなかった。
備考欄に追記あり。(2019/11/20)
- 回答プロセス
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1 児童研究書を確認する。
『野口雨情童謡の時代』(東道人著 踏青社 1999)
p102「十と七つといへば十七羽といふ数の限られたのではありません。十と七つといふ言葉の調子は音楽的響きをもってゐますからさうしたのであって、実際数は九つでも八つでも構はないのです。童謡は数学のやうに、きちんとした数字によって組立てられるものとは違ひます。若しこの場合十と七つ以外の言葉では歌詞を害ふ虞れがあるのであります。と記している。作者本人がそのように説明している以上、「七つ」は“七羽”で、七羽ぐらいのたくさんの子供たちとして問題はないようにも思われる。」とあり。
p103「ところが(中略)野口存彌氏(中略)はまた、その著『大正児童文学―近代日本の青い窓』(踏青社・平成六年九月刊)所収「『七つの子』鑑賞」で、「山の巣にいるたくさんの子供たち」と受け取る見方を間違いではないとしつつも、日本では昔から民俗行事として、七五三の時に七歳の女児には帯ときの式が、行われてきました。雨情の当初の意図としては、帯ときの式を迎えた、その七歳の女児をさしていたと思われます。と述べている。」とあり。
p104「さらに言えば、雨情が「七羽」とも「七歳(ルビ:ななつ)」ともせず、「七つ」と表記したのは、詩のイメージを一面的なものではなく、重層させる意図があったと見ることも出来るであろう。」とあり。
2 詩人評伝・解説を確認する。
『野口雨情 人と文学 日本の作家100人』(金子未佳著 勉誠出版 2013)
p206「「七つの子」は、明治四十年(1907)一月に出版した『朝花夜花』第一編収載の「山烏」が原型である。「七つ」の解釈としては、雨情が特に言及していないため「七歳」説と「七羽」説が存在する。『金の船』掲載の岡本帰一による挿画は「七羽」の烏が描かれた。(中略)「沢山の子供たちがゐる」に着目すると、「七つ」は「沢山の」の意味で使われたと推測され、筆者も具体的な数や年齢ではなく、「たくさんの」の意であると解釈したい。野口存彌氏は(中略)と、帯解きの式を迎えた七歳の女の子と見る説を展開し、たくさんの子供たちとする解釈についても肯定されている。」とあり。
『父野口雨情 青春と詩への旅』(野口存弥著 筑波書房 1980)
「「山烏」が後年の「七つの子」の原形になったことは、よく知られている。(「山烏」詩・略)「七つの子」が「七羽の子」か「七歳の子」を意味するのかは、よく議論が分かれるところである。私自身は、帯ときの式を迎えた七歳の女児をさすものと解釈している。」とあり。
3 データベースを確認する。
(1)《国会図書館レファレンス協同データベース》(https://crd.ndl.go.jp/reference/ 国会図書館)〉を〈野口雨情 & 七つの子〉で検索する。
同様の調査記録なし。
(2)《Web OYA-bunko》(https://www.oya-bunko.com/ 大宅壮一文庫)を〈七つの子〉〈野口雨情 & 七つの子〉で検索する。
有吉玉青著「ロッキングチェア 訳詞の難しさ、日本の詞の素晴らしさ ミュージカル「ファンタスティックス」、野口雨情の「七つの子」「シャボン玉」「兎のダンス」」(『論座2003年7月号』p122-123 朝日新聞社 2003.7)
「「反日解釈」もカラスの勝手でしょ! 童謡「七つの子」は強制連行された朝鮮人の歌という「永六輔」 野口雨情の「赤い靴」「あの町この町」「七つの子」の歌詞解」(『週刊新潮2004年06月17日号』p48-51 新潮社 2004.6)
藤尾章子著「唱歌 歌の中に、日本の自然が息づく 七つの子 嘴細鴉の子は7匹か、それとも7歳か」(『サライ1990年8月2日号』p38 小学館 1990)
金田一春彦著「平成つれづれ草 「七つの子」のカラスは7羽?それとも7歳?」(『財界1992年8月25日号』p82 財界研究所 1992)
白石宏一[ほか]著「『村の鍛冶屋』はいつ消えた 残したい童謡・唱歌の世界」(『サライ1997年8月7日号』p103-118 小学館 1997)
有吉玉青著「ロッキングチェア 訳詞の難しさ、日本の詞の素晴らしさ」(『論座2003年7月号』p122-123 朝日新聞社 2003)
「「反日解釈」もカラスの勝手でしょ! 童謡「七つの子」は強制連行された朝鮮人の歌という「永六輔」」(『週刊新潮2004年6月17日号』p48-51 新潮社 2004)
宮川彬良著「宮川彬良さんが選ぶ、子どもたちに聴かせてあげたい20曲」(『週刊朝日2006年2月24日号』p120-125 朝日新聞社 2006)
4 インターネット情報を確認する。
(1)《Google》(http://www.google.co.jp/ Google)を〈野口雨情 & 七つの子〉で検索する。
《野口雨情の「七つの子」》(http://douyou.jp/?p=3278 一般社団法人日本童謡協会)
「この歌の歌詩で物議をかもすのが、七つの子の「七つ」の意味である。7歳なのか、7羽なのかということだ。確かに、ひとつふたつは年の数え方であり生き物の数え方ではないのだが、生まれて7年もたつカラスのイメージではない。やはり、7羽と取るしかないだろう。『金の船』大正10年7月号に詩と曲が載ったとき、岡本帰一のさし絵も、可愛い7羽の子ガラスが描かれていた。7羽とは多すぎるが、雨情は「ななつ」の響きが気に入ったのだろう」執筆者「楠木しげお」とあり。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2018年7月13日。
- 事前調査事項
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「底本 野口雨情」の第七巻、第八巻には、「烏はあの向ふの山にたくさんの子供たちがゐるからだよ」とあり。
『野口雨情の生涯』 (長久保片雲著 暁院書館 1980)特に言及していない。
「金の船 大正10年7月号」(1921)年の表紙に七羽の烏が描かれている。
- NDC
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- 声楽 (767 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 童謡-日本
- 野口 雨情(ノグチ ウジョウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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国立国会図書館レファレンス協同データベース事業サポーターの方から情報提供あり。(2019/11/18)
《京都産業大学学術リポジトリ》(https://ksu.repo.nii.ac.jp/ 京都産業大学)
若井勲夫著「童謡・わらべ歌新釈(上)」(『京都産業大学論集.人文科学系列38』p147-172 京都産業大学 2008.3)(https://ksu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1288&item_no=1&page_id=13&block_id=21)
p157に「雨情が子どもの年齢として七歳を選んで作詞したことに大きな意味がある」と結論づける。」とあり。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000250064