レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年11月25日
- 登録日時
- 2019/06/08 13:51
- 更新日時
- 2019/06/23 09:17
- 管理番号
- 0-1-20181118-1
- 質問
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解決
芥川龍之介の小説『杜子春』に出てくる「洛陽の西の門」の写真が見たい。
- 回答
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「洛陽の西の門」の写真は見つけられず。
理由として以下のことがある。
・隋唐の時代の建造物がほとんど残っていないということ。
・門の詳細な記述が無く、特定が難しいこと。
・『杜子春』に出てくる洛陽の風景は、芥川の想像上のものである可能性が高いこと。
また芥川は当初、物語の舞台を「洛陽」ではなく「長安」としていた。
(福岡市総合図書館のレファレンス事例 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000133037 参照)
そのため長安の門についても調査するが、やはり該当する資料は見当たらず。
質問者が小学生であることも考慮して、以下の資料を使用しながら説明。
洛陽と長安の街並みについて一緒に確認した。
『原典版おとぎばなし』.保科 輝勝/著.なあぷる,1999.388/ホ
p.42~ 『杜子春伝』(芥川の『杜子春』の下敷きとなった唐の伝奇小説)の解説・挿絵
『中国の歴史 4』.春日井 明/監修.集英社,2006,222/チ/4
p.4 長安の復元図
『中国歴史紀行 第3巻』.陳舜臣/監修.学研,1996,222/チ/3
p.95 唐長安城内、坊里・官衙と寺院などの分布
『Silk Road 遥かなる文明の旅 5』.佐藤昭/編.学研,1985,220/54/5
長安(西安)・洛陽の街、寺院や遺跡の写真あり
『地球の歩き方 D01』.「地球の歩き方」編集室/編集.ダイヤモンド・ビッグ社,2017,290.9/チキ/4-1
p.164~ 洛陽について。麗景門(隋代に創建された王城の西門)などの写真あり。
p.492~ 西安について。
その後詳しく話を聞くと、図工の授業で門の絵を描くので写真が欲しかった、とのこと。
上記の資料と合わせて中国の旅行本・建造物に関する資料を何点か一緒に閲覧し、
気に入った門の写真を選んでもらった。
- 回答プロセス
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以下、参考にした資料。
■『杜子春』について。
『芥川竜之介新辞典』.関口 安義/編.翰林書房,2003,R910/ア
p.428 『杜子春』1920年 児童文芸雑誌『赤い鳥』に発表された童話。唐の伝奇小説『杜子春伝』が下敷きになっている。
『杜子春 改版』.芥川 龍之介/著.KADOKAWA,2017,BF/アク
■『杜子春伝』について。
『中国古典小説選 6』.竹田 晃/編,黒田 真美子/編.明治書院,2008,923/チユ/6
p.289~ 続玄怪録『杜子春』
p.292~ 物語の舞台は「長安」で、出てくる門は「東市の西門」となっている。
さらに、福岡市総合図書館のレファレンス事例
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000133037
にもある通り、芥川も初期は「洛陽」ではなく「長安」と表記していた。
■洛陽・長安の街について
『洛陽発「中原歴史文物」案内』.堀内 正範/編.新評論,1998,222/ホ
p.254~ 洛陽市。隋唐東都故城の項。
『唐両京城坊攷』.徐 松/撰.平凡社,1994,222/ト
p.48~49 「長安外郭城復元図」には東市があるが、p.208~209「洛陽城図」には東市見当たらず。
■芥川龍之介と中国について
『特派員芥川龍之介』.関口 安義/著.毎日新聞社,1997,910/セ
p.44 「杜子春」は龍之介の中国旅行前の作品であることに関する記述。
p.151 芥川が洛陽に訪れた時の様子について。
国立国会図書館デジタルコレクション
『芥川龍之介研究』.秦剛/著,1999 (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3190000)
p.109~ 第二章「杜子春論」 1.<唐の都>は何故<洛陽>か
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国 (222 9版)
- 日本文学 (910 9版)
- 小説.物語 (923 9版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 建造物
- 質問者区分
- 小中学生
- 登録番号
- 1000257158