レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/06/25
- 登録日時
- 2021/08/21 00:30
- 更新日時
- 2021/08/21 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-210083
- 質問
-
解決
ハスノハカシパン(ウニ綱ヨウミャクカシパン科 棘皮動物)の名称の由来を知りたい。
- 回答
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下記資料にはハスノハカシパンの特徴等についての記載がありますが,名前の由来についての記載はありませんでした。
資料1 西村 三郎/共著 鈴木 克美/共著『海岸動物』 保育社, 1996.3【481.72/1996.3/R】:p.162
資料2 西村 三郎/編著『原色検索日本海岸動物図鑑 2』 保育社, 1995.12【481.72/1992.X/2R】:p.550
資料3 『日本大百科全書 18』 小学館, 1994【031/1994.Y/18タR】:p.737
また,インターネットで,「ハスノハカシパン 由来」のキーワードで検索したところ,下記の論文がありました。
『タコノマクラ考 : ウニやヒトデの古名 』磯野 直秀,慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会,慶應義塾大学日吉紀要 自然科学No.39(2006),P.53-79
この論文は,慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)で閲覧することができます。
(http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/ 最終閲覧日:2021/6/20)
下記のページに,由来に関する記述がありましたので参考までにご案内します。
p.59「8 カシパン類の古名の項」より
「(前略)一方,カシパン類の一種ハスノハカシパンは下面に蓮の葉の葉脈に似た溝が見えるが,その模様に由来する「蓮葉介(ハスノハカイ)」の図と名は『文会録』(資料14,1760年)に現われ,計9点の資料に記されている。もっとも,いまのハスノハカシパンだけを指した場合もあるが,カシパン類の総称としても使われており,個々の事例でいずれかを判断するのは難しい。(中略)現在の和名カシパンは明治以降の造語らしく,「相州三浦郡三崎町近傍水産動物採集案内」(資料M7,1890年)に初出する。カシパンは「菓子パン」に由来するのだろうが,現在の「菓子パン」はジャムパンやクリームパンで,ウニのカシパンとはまったく異なった形である。昔の菓子パンがどんな形だったのか,カシパンに似た「甘食」のような菓子を指したのではないかと思うが,まだ答が出ない。(後略)」
p.63以降の表一覧に,資料名と併せて由来に関する記述がありました。
p.65「(14)『文会録』,戸田旭山,1760刊,国会:大阪の薬品会(動物の展示会)の記録
(中略)①ハスノハカシパンの下面にある溝(輻溝)が蓮の葉脈に似ているので,ハスノハガイ(蓮葉介)の名が生まれたが,江戸時代にはカシパン類の総名として「蓮葉介」を用いた場合が多いように思われる。(後略)」
p.77「(M7)「相州三浦郡三崎町近傍水産動物採集案内」,丘 浅次郎,動物学雑誌,2巻,1890:磯で採集できる無脊椎動物について,三崎近辺の何処に多いかを述べた短報。(中略)②ハスノハカシパンはScutella japonicaと命名されたことがある。「カシパン」は「菓子パン」で,丸く薄い形状による命名(むしろビスケットに近いが)。(後略)」
※『文会録』の資料は,国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
(http://dl.ndl.go.jp/ 最終閲覧日:2021/6/24)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 軟体動物.貝類学 (484 9版)
- 参考資料
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- 西村 三郎/共著 鈴木 克美/共著. 海岸動物. 保育社, 1996.3【481.72/1996.3/R】:p162
- 西村 三郎/編著. 原色検索日本海岸動物図鑑 2. 保育社, 1995.12【481.72/1992.X/2R】:p550
- . 日本大百科全書 18. 小学館, 1994【031/1994.Y/18タR】:p737
- キーワード
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- 棘皮動物
- ハスノハカシパン
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000303439