レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月18日
- 登録日時
- 2019/12/26 17:00
- 更新日時
- 2020/01/07 14:43
- 管理番号
- 県立長野-19-076
- 質問
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解決
町有文化財の一部を版画調にしてスタンプを製作したい。公共物であり、当町で所有管理しているが、許諾をする根拠となる法律は何か。
- 回答
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著作権法第46条によると、著作物の保護期間が切れていないものに対して、屋外の場所に恒常的に設置されているものを写真撮影すること自体は著作権の侵害にはならない。ただし、撮影した写真を販売することは著作権の問題となる。お寺等の重要文化財に関してはパブリックドメインと化している場合も多く、その場合は著作権法第46条の適用と関係なく、利用が認められる。
町有文化財について、保護期間が切れているか、パブリックドメインと化しているか等が判断材料となる。
〇参考判例
・「錦絵の写真転載」 (平成27年9月24日/大阪地方裁判所/第21民事部/判決/平成27年(ワ)731号)
・「顔真卿自書建中告身帖事件最高裁判決」(昭和59年1月20日/最高裁判所第二小法廷/判決/昭和58年(オ)171号)
以下の法律は著作物がパブリックドメインと化していなかった場合に判断材料となる。
著作権法
(同一性保持権)
第二十条 「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」
2 「前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。」
一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
三 「特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変」
四 「前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」
(保護期間)
第五十一条 「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。」
2 「著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。」
- 回答プロセス
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1 著作権法を確認すると、第二十条(同一性保持権)や第五十一条(保護期間)が判断できそうである。
2 インターネットで「著作権 文化財」で検索すると、本件と似た事例が見つかった。
3 そこには文化財がパブリックドメインと化していれば、許諾は必要ないとの記載が見つかった。
調査済み資料
・『著作権法』 岡村久道著 民事法研究会 2019 【021.2/オヒ】
・『同一性保持権の研究』 松田政行著 有斐閣 2006 【021.2/ママ】
・『著作権トラブル解決実務ハンドブック』 三山裕三編著 青林書院 2019 【021.2/ミユ】
・『著作権法入門早わかり クリエイターのための知的創造物法活用術 本の未来を考える=出版メディアパルシリーズ No.35』 佐藤薫著 出版メディアパル 2019 【021.2/サカ】
- 事前調査事項
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著作権法
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
- NDC
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- 著作.編集 (021)
- 参考資料
- キーワード
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- 同一性保持権
- パブリックドメイン
- 文化財
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 法律
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000271664