レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年12月20日
- 登録日時
- 2020/04/07 15:26
- 更新日時
- 2020/04/10 09:55
- 管理番号
- 0000110829
- 質問
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解決
所持している写真に写っている石碑について、新潟県長岡市にあるもので、山縣有朋が読んだ歌を彼の書から刻んだものだと聞いた。原文やその意味、いつ頃の作なのか教えてほしい。
- 回答
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当該写真の碑文は次のように読める。
(一行目) 「越後国にて 戦ひけるとき 古稀庵有朋」(ただし庵有朋の部分は、はっきりわからない)」
(二行目) 「あた守る砦のかゝり影ふけて」
(三行目) 「なつも身にしむこしの山風」
山県有朋の和歌 「あだ守る(まもる) 砦のかゞり 影ふけて 夏も身にしむ 越の山風」と思われる。なお、「古稀庵」は、山県が70歳のときに神奈川県小田原市に構えた別荘の名であり、彼の号の一つである。
この和歌は、慶應4年(1986年)の戊辰戦争で山県が北越方面の官軍を指揮した際、5月13日から、19日の長岡城攻陥に至るまでの長岡攻囲戦で吟じられた山県の陣中歌であり、彼の代表歌であると、下記資料1-7をはじめ、多くの資料に記述あり。
資料1p52「余は多く横渡の陣地に在り、(略)十三日より長岡落城の当日即ち十九日に至るまで、丁度一週間の間は(略)戦時極めて激烈となり(略)誤って世間に伝播したる左の拙什(※拙詩)は、実に当時の口吟に係れり。 あた守る砦のかゝり…」
資料2p559「夏のころ越後の国妙見峠にて戦ひけるとき (改行) あたまもる とりてのかゝり影ふけて夏も身にしむ越の山かぜ」(出典:山県有朋の歌集『椿山集』)
資料3p35「山県の北越従軍の記録『越の山風』に詳しい。かれの名歌として喧伝されている、あだ守る… は、北越戦争中の歌で、記録の題名はここからとったものである。」
なお、和歌の意を解説している資料は見当たらず。「あだ(仇=敵)の砦には、敵の警護のかがり火が見える。夏だというのに越の国の山風は、冷たく身に染みることだ」という意味だと思われる。
また、この和歌を山縣が書いた書を山口県立山口博物館が所蔵しており、インターネット上で画像を公開している。
「山口県立博物館所蔵 山県有朋和歌書(越の山風)」
(公開キャプション:「有朋(1838~1922)が慶応4(1868)年の戊辰戦争の際、越後(新潟県)で戦った時に詠んだものです。」)
http://db.yamahaku.pref.yamaguchi.lg.jp/script/detail.php?no=816
なお、同博物館からは、「碑文の解読は現物を見るのが望ましい。碑文の解読などは、地元の文化財関係施設などに相談するのが良い」とアドバイスされたので、質問者に伝えた。
なお、回答後日、資料10に次の記述があることがわかった。「山県有朋 歌碑 長岡市中島信濃川西軍上陸地 あだまもる…」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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1.山縣 有朋 著 , 東行庵 企画 , 山縣有朋記念 企画 , 山縣 有朋 , 東行庵 , 山縣有朋記念館. 越の山風 : 奇兵隊北越戦記. 東行庵, 1995.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060625331-00 (p52) -
2.山縣有朋 著 , 山県, 有朋, 1838-1922. 山縣公遺稿・こしのやまかぜ. マツノ書店, 2012. (続日本史籍協會叢書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023586599-00 (p326、p559) -
3.藤村道生 著 , 藤村, 道生, 1929-. 山県有朋. 吉川弘文館, 1986. (人物叢書 新装版)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001823939-00 , ISBN 4642050590 (p35) -
4.岡義武 著 , 岡, 義武, 1902-1990. 山県有朋 : 明治日本の象徴. 岩波書店, 2019. (岩波文庫 ; 38-126-4)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029878205-00 , ISBN 9784003812648 (p36) -
5.日本宰相列伝 2. 時事通信社, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001761597-00 , ISBN 4788785528 (p51,208) -
6.徳富蘇峰 編述 , 徳富, 蘇峰, 1863-1957. 公爵山縣有朋伝 上巻 2 復刻版. マツノ書店, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027194314-00 (p992-993 この歌の書の写真あり) -
7.一坂太郎 著 , 一坂, 太郎, 1966-. 山県有朋の「奇兵隊戦記」. 洋泉社, 2013. (歴史新書y ; 036)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024149909-00 , ISBN 9784800300737 (p184-185 この歌の掛軸の写真あり) -
8.日本近代文学館 編 , 日本近代文学館. 日本近代文学大事典 第3巻 (人名 にーわ). 講談社, 1977.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001360033-00 (p406 古希庵の号あり) -
9.田村哲夫編 , 田村, 哲夫. 防長維新関係者雅号便覧. マツノ書店, 1997.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004707566-00 (p62,85) -
10.宮澤康造, 本城靖 共編 , 宮沢, 康造, 1925- , 本城, 靖, 1937-. 全国文学碑総覧 新訂増補. 日外アソシエーツ, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008410832-00 , ISBN 4816919953 (p358,索引p252)
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1.山縣 有朋 著 , 東行庵 企画 , 山縣有朋記念 企画 , 山縣 有朋 , 東行庵 , 山縣有朋記念館. 越の山風 : 奇兵隊北越戦記. 東行庵, 1995.
- キーワード
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- 山県, 有朋, 1838-1922
- 文学碑
- 照会先
- 寄与者
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- 山口県文書館、山口県立山口博物館
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000280276