レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/8/20
- 登録日時
- 2007/12/05 02:11
- 更新日時
- 2021/02/25 16:10
- 管理番号
- 多摩-2007-03
- 質問
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茨木のり子の詩に引用されている、ハンガリーの詩人ペテーフィ・シャンドル(1823-1849)の詩の全文を見たい。茨木のり子の詩のタイトルは「ある一行」(詩集『倚りかからず』に収録)で、ペテーフィの「絶望は虚妄だ 希望がそうであるように」という言葉が引用されている。「ある一行」の記述によると、引用箇所は、魯迅が引用して有名になった言葉でもある。
- 回答
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質問の文言の出典は、詩ではなく、ペテーフィが友人に宛てた手紙の中の一節であることが、北岡正子「魯迅とペテーフィ 「希望」材源考」(資料6 p.104-121 所収)で述べられている。
手紙の内容に、ペテーフィの乗った馬車を曳く馬が貧相なやせ馬で、とうてい目的地に到着できないと絶望していたところ、思いがけず到着することができ、そのことを「絶望は希望と同じくたぶらかすものなんだよ。」と述べた部分があり、そこが出典である。魯迅は、この一節を手紙の文脈から切り離し、「絶望之為虚妄、正與希望相同」と独立句のように訳したため、これまでは詩の一句ではないかと思われてきた。
調査方法は以下のとおり。まず初めに、ペテーフィの詩集(資料1~3)に当たったが、該当する詩は見当たらなかった。資料4のペテーフィの項(p.959)に、魯迅が『野草』所収の「希望」(資料5)のなかで引用しているとあるので、資料5に当たり、この文言の注6に、資料6所収の上記論文が紹介されている。
ちなみに、資料7に魯迅の「希望」の詳しい解説があり、引用の文言の出典については、上記の北岡正子氏らによって解明されたと述べている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- その他のヨーロッパ文学 (993 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】 勇士ヤノシュ其他詩集 / ペトーフィ∥原作 / 牧製本出版部 , 1939 <9940/ペ6/2>
- 【資料2】 ペトーフィ詩 / アレクサンデル・ペトーフィ∥著 / 牧製本出版部 , 1936 <9941/P490/P>
- 【資料3】 ペテーフィ詩集 1823~1973 : 生誕一五〇年記念 / ペテーフィ∥著 / 恒文社 , 1973 <9940/ペ6/1>
- 【資料4】 集英社世界文学大事典 3 人名 ツ-ヘメ / 『世界文学大事典』編集委員会∥編 / 集英社 , 1997.4 <R/9033/3006/3>
- 【資料5】 魯迅全集 3 / 魯迅∥著 / 学習研究社 , 1985.11 <9280/1/3>
- 【資料6】 文学 46巻9号 1978.9 / 岩波書店 , 19780910
- 【資料7】 魯迅「野草」全釈 / 片山智行∥著 / 平凡社 , 1991.11 ( 東洋文庫 ) /9217/3003/91
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000040003