レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/04/06
- 登録日時
- 2018/12/25 00:30
- 更新日時
- 2018/12/26 13:11
- 管理番号
- 所沢柳瀬-2018-009
- 質問
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解決
イソップの『うさぎとかめ』がどのように日本に伝わったか知りたい。
- 回答
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以下の資料に記載があります。
〇『日本昔話事典』 稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『日本昔話事典』稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994年
p.95 「うさぎとかめ」の項目に以下の記載あり。
「わが国では文禄年間(1592~95)の天草刊行本にイソップの和訳が見出され、以後のこの話は著名なものとして人口に膾炙(かいしゃ)している。(後略)」
△『イソップを知っていますか』阿刀田高/著 新潮社 2010年
p.39 「第2話 細川ガラシアも読んでいた」にイソップ物語の伝来について以下の記載あり。「うさぎとかめ」については記載なし。
「それと言うのは十六世紀の終わりから十七世紀にかけて渡来した宣教師等の手によりいくつかの文献が日本語に訳され、出版された。ヨーロッパの文献紹介の嚆矢(こうし)であり、イソップ物語もその一つであった。(中略)イソップ物語がこのとき翻訳出版されたのは宣教師が日本語を学ぶためのテキストとして、であった。天草本と古活字本の二冊があり、それぞれ別なルールから翻訳編集されたものらしく、内容には異同がある。」
△『伊曾保物語』イソップ/原著 武藤禎夫/校注 岩波書店 2000年
p.3 イソップ物語の伝来について凡例に以下の記載あり。「うさぎとかめ」については記載なし。
「日本における西欧文学の紹介は、文禄二(一五九三)年刊のローマ字・口語体のキリシタン版天草本『イソポのハブラス』に始まる。ついで、近世初期の慶長元和から万治年間(一六一〇~六〇頃)にかけて、数種の古活字版・整版による文語体の国字本『伊曾保物語』が出版され、鎖国、禁教下にあっても、書承・口承で話は伝わった。」
△『イソップ寓話』小堀桂一郎/著 講談社 2001年
p.168-173 イソップ物語の伝来について「『イソポのハブラス』が世に出るまで」の項目に以下の記載あり。「うさぎとかめ」については記載なし。
「文禄二年(一五九三年)には同じ形式の『イソポのハブラス』と『金句集』の印刷が成り、『平家物語』と合冊製本されて世に出るに至った。(中略)天草本『イソポのハブラス』についての学問的研究が始まったのは、明治三十六年に上田敏が「外国文学の研究」という講演の中で言及したのが始まりであるらしいが、直接、その本文に即しての研究の開始、というよりも、そもそもその本文自体が日本人の手に入ったのは明治四十一年から二年にかけて、当時三十三歳であった少壮の新村出氏が大英博物館図書室の貴重書部に日参して、単身その全文を筆写して帰って来られた時以来のことである。(中略)新村氏は帰朝後この本文をローマ字から普通の漢字仮名交り文に翻字して京都大学文学部の機関誌「芸文」に逐次発表され、それはやがてまとめられて明治四十四年に『文禄旧訳伊曽保物語』の題名で開成館から刊行された。かくて『イソポのハブラス』は立派に書物としての形を似て日本文学の財産目録中に登録されることになったわけである。」
p.13 「兎と亀」について「はじめに」の項目に以下の記載あり。初出については記載なし。
「意外なことに―などと言うのは、一方ではこれもイソップ寓話の一篇として誰知らぬもののない、「兎と亀」、「狼が来た、とうそをつく子供」「蟻ときりぎりす」などは、たしかにすでに明治三十年代に国語の教科書のうちに採り入れられており、その後繰返し、ほぼ昭和十年代に至るまで、絶えることなく、言わば教科書には馴染みの常連的教材として扱われているからである。」
2.本館による後日調査
△『図説児童文学翻訳大事典 第2巻』児童文学翻訳大事典編集委員会/編 大空社 2007年
p.128「兎と亀」の項に初訳として「「兎と亀の話」(『通俗伊蘇普物語』渡部温訳 河鍋暁斎・藤沢梅南・榊篁邨絵(明治6年5月~8年11月、稲田佐兵衛発兌))」と記載あり。
△『児童文学翻訳作品総覧 8』川戸道昭/編集 大空社 2006年
p.622-「イソップ翻訳総合年表」
「文禄2年イソポのハブラス 不干エェビアン訳 天草学林」に「うさぎとかめ」の記載なし。「明治6年5月 通俗伊蘇普物語 渡辺温(無盡蔵書斎主人)訳 河鍋暁斎・藤沢梅南・榊篁邨絵 稲田佐兵衛発兌(~8年11月)」に巻之一45話の収録として「兎と亀の話」の記載あり。
3.記載のなかった資料
×『一寸法師・さるかに合戦・浦島太郎』関敬吾/編 岩波書店 2002年
×『読んであげたいおはなし 上』松谷みよ子/著 筑摩書房 2002年
×『児童文学事典』日本児童文学学会/編 東京書籍 1988年
×『昔話を知る』花部英雄/編 松本孝三/編 三弥井書店 2011年
×『昔ばなしとは何か』小沢俊夫/著 大和書房 1983年
×『伊曽保物語』飯野純英/校訂 勉誠社 1986年
×『ウサギとカメ』宮川俊彦/著 未知谷 1998年
×『イソップ寓話集』イソップ/著 中務哲郎/訳 岩波書店 2002年
×『とんと一つあったてんがな』水沢謙一/編 未来社 1975年
×『まけうさぎ』齊藤隆介/さく 松山文雄/え 新日本出版社 1978年
- 事前調査事項
- NDC
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- 児童文学研究 (909 9版)
- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 日本昔話事典 稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994.6 388.1 4-335-57049-X
- キーワード
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- 昔話
- イソップ
- うさぎとかめ
- ウサギとカメ
- イソポのハブラス
- イソップ寓話
- 伝来
- 日本
- 伊曽普物語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000249220