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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
高知県立図書館・高知市民図書館本館 (2110040)管理番号
(Control number)
県立I2012-16
事例作成日
(Creation date)
2012年05月05日登録日時
(Registration date)
2012年06月22日 16時55分更新日時
(Last update)
2018年08月31日 19時20分
質問
(Question)
イソップ寓話に「蟻と○○」という話があるが、○○に入る昆虫を尋ねると、人によりセミやキリギリスなど、色々と違う答えが返ってくる。この話がどのように伝わり変わってきたのかを知りたい。
回答
(Answer)
※ 高知県立図書館・高知市民図書館合築に伴い、資料に関する情報が現在の情報とは異なる場合があります。 ※

『児童文学翻訳作品総覧』の「イソップ童話編」の中に「ありときりぎりす」の項目があり、編者が確認できたもののみについてではありますが、出版年順の翻訳作品目録があります。これによると、蟻と共に出てくる昆虫としては「蝉」「キリギリス(キリギリスにあてられている漢字も様々です)」、「こほろぎ」がありました。
『イソップ寓話 その伝承と変容』では、「蟻と蝉」についても論じられています。「蟻に配する一方の登場者が蝉でなくてきりぎりすになっているのはよく見かける置き換え」「これは実はすでにシュタインヘーヴェル本でも生じた変更」「シュタインへーヴェルはラテン語の直後に併載した独訳文においてラテン語の蝉(Cicada)をきりぎりす(Grille)に変えて出し」「蝉の実物を知らないドイツ語文化圏の読者のために、夏に鳴く虫としてとにかく馴染みのあるきりぎりすを登場させることにしたまでである」「これはやはり蝉を知らないイギリスのカクストン本でも同じである」としています。なお、巻末に「イソップ寓話伝承系統略図(シュタインヘーヴェル系の系譜に限る)」があります。
栃木県立図書館での調査(2004年)や、広島県立図書館での調査(2007年)によれば、この他に「センチコガネ」(ワイド版岩波文庫、2002年)や「コガネムシ」(渡辺和雄訳、1982年)などの場合もあるようです。

『図説 翻訳文学総合事典』には、「イソップ寓話編」の中に「せみとあり」の項目があり、日本初訳の『蝉と蟻との事』(文禄2年)からその後の翻訳タイトルと本文の1部、特徴などが紹介されています。上記の「蝉」「キリギリス」「こほろぎ」以外としては、「ばつた」(菊池寛訳、昭和2年)がありました。
同本pp.73-74に、下記のような解説があります。

【以下抜粋】
「あり」は常に主人公として登場するが、「せみ」は国境を越えるたびに変貌する。イソップ寓話では「せみ」となっているが、イソップ寓話の原典インドでは、他の昆虫であったらしい。そして、ギリシャの「せみ」はフランスに渡ると、「きりぎりす」となる。さらに、英訳はその双方の系譜が生じて、日本に渡ると「せみ」となったり、「きりぎりす」となったり、さらに「ばった」に変貌する。この翻訳上の事件は、受容する土地の生態系が起因となっている。ファーブルはこのように説明する・・・(後略)・・・」
回答プロセス
(Answering process)
■『図説 翻訳文学総合事典』を引く
→pp.58-90「イソップ寓話編」、うちpp.70-74が「せみとあり」についての解説。「初訳」から「その後の翻訳」まで。本文の一部と注記がある。「翻訳史の上できわめて興味深い寓話」として昆虫の変遷などについて解説あり。

■児童文学研究室で調査
→『児童文学翻訳作品総覧 8』pp.593-739が「イソップ童話編」、うちpp.596-600が「翻訳作品別目録」の「ありときりぎりす」分で、文禄2年の『蝉と蟻の事』~昭和17年『蝉と蟻たち』まで「編者が確認できたもののみ」の一覧あり。「イソップ童話は予測を上回る膨大な翻訳があった」とある。
『図説 児童文学翻訳大事典 第二巻』pp.113-139が「イソップ寓話編」、うちpp.119-123が「せみとあり」についての解説。上記の『図説 翻訳文学総合事典』と同じ内容。 その他何冊か児童文学の翻訳に関する事典を見るが、登場する昆虫の変遷についての解説は見当たらない。

■『イソップ寓話 その伝承と変容』を確認
→上記の『図説 翻訳文学総合事典』でも引用されており、利用者からも確認して欲しいと依頼があった本。pp.176-187に“「蟻と蝉」の寓話・日本的温情主義」の項があり詳しく論じられている。またpp.247-252には“明治中期の教科書に見る「兎と亀」・「蟻と蝉」”の項あり。巻末に「イソップ寓話伝承系統略図」があり、プラトンやアリストテレス、口承寓話群から慶長・元和年間の「伊曽保物語」に至るまでの変遷を図で確認できる。

■国立国会図書館サーチで類似のレファレンス情報がないかを検索
栃木県立図書館 での2004年の調査「「アリとキリギリス」のお話が原作のとおりに載っている絵本が読みたい。」(r036)や、広島県立図書館での2007年の調査「イソップ物語について,原文に忠実に訳してあるものを読みたい。例えば,「アリとキリギリス」は「アリとカブトムシ」だったりするらしい。」(広県図20090088)が近い内容。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
ギリシア文学  (991 9版)
児童文学研究  (909 9版)
参考資料
(Reference materials)
『児童文学翻訳作品総覧 明治大正昭和平成の135年翻訳目録 8 』(大空社 2006年)(C909/カ/8 自館ID1201378864)
『イソップ寓話 その伝承と変容』(小堀桂一郎/著 中央公論社 1978年)(991.7/イソ 自館ID1103358766)
『図説 翻訳文学総合事典 第2巻』(大空社 2009年)(910.26/カワ/2 自館ID1106483884)
『図説 児童文学翻訳大事典 第2巻』(大空社 2007年)(C909/ス/2 自館ID1200899746)
キーワード
(Keywords)
せみとあり
ありときりぎりす
イソップ
翻訳史
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
文献紹介
内容種別
(Type of subject)
質問者区分
(Category of questioner)
団体
登録番号
(Registration number)
1000107662解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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