レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/04/20
- 登録日時
- 2017/05/10 00:30
- 更新日時
- 2017/05/15 14:43
- 管理番号
- 6000033142
- 質問
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未解決
嵯峨天皇が書いたという『李嶠雑詠』の一首「霧」の一部分「玲瓏素月明」を、書道の作品題材とするので、その部分の意味(現代和訳)、特に「素月明」の部分が知りたい。
- 回答
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訳や解釈は見つからなかった。大漢和辞典を参考に見ていただいた。
- 回答プロセス
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▽書道(728)の資料をあたる。
『古筆大辞典』(淡交社)によると、
李嶠雑詠とは、唐代の詩人李嶠(644~713)の五言律詩百二十首の詩集、「李嶠詩」ともいい、また「李嶠百二十詠」とか「李嶠百詠」とかともいう。「乾象」の詩十首と「坤儀」の詩十首があり、「乾象」は「日・月・星・風・雲・煙・露・霧・雨・雪」の詩であり、「坤儀」は、「山・石・原・野・田・道・海・江・河・洛」の詩である。
書写の筆者は嵯峨天皇であるといわれている。
『訓註 墨場必携詠物詩選 第1巻』(省心書房)P.208に、「霧」が載っているが、「玲瓏素月明」という部分はなし。「丹山霽色明」(丹山(タンザン)霽色(セイショク)明(アキラ)カナリ)という表記はあり。
国立国会図書館デジタル資料で、「李嶠雑詠」を検索すると、『宸翰集』(小林写真製版所)で、「玲瓏素月明」という表記が確認できる。
『書道芸術 第13巻 最澄 瑳峨天皇 橘逸勢』(中央公論社)P.198に、詩と解説は載っているが、訳はなし。また、全唐詩との異同を釈文の傍らに記すとの注記があり、「玲瓏素月明」の横に、(丹山霽色)とある。
この釈文には訓点がつき、訓読文となっている。該当の部分は「玲瓏トシテ素月明ラカナリ」と読むことがわかる。
▽大阪市立図書館より取り寄せ
『李嶠詩 天来書院テキストシリーズ 52 奈良平安の書 3』には、訓み下し文は載っているが、訳は載っていない。
▽漢和辞典で熟語を検索。
『大漢和辞典 巻8』の【素】の項目を確認すると、熟語として「素月(ソゲツ)」の掲載あり(P.9117)。白い月の光の意味とある。
『大漢和辞典 巻7』の【玲】に熟語「玲瓏(レイロウ)」の掲載あり(P.7806)。冴えてあざやかなさまという語釈がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 書.書道 (728)
- 詩歌.韻文.詩文 (921)
- 参考資料
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- 『書道芸術第13巻』中田 勇次郎/責任編集(中央公論社)
- 『大漢和辞典巻8』諸橋 轍次/著(大修館書店)
- 『訓註 墨場必携詠物詩選第1巻』藤原 楚水/著(省心書房)
- キーワード
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- 漢詩(カンシ)
- 李嶠雑詠(リキョウザツエイ)
- 李嶠(リキョウ)
- 書道(ショドウ)
- 文学(ブンガク)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000215782