レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/10/06
- 登録日時
- 2014/05/02 00:30
- 更新日時
- 2014/05/09 10:15
- 管理番号
- 所沢本-2014-006
- 質問
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解決
最近、「全然」という言葉を肯定的に使用する事例をよく聞くが、正しいのかどうか確認したい
- 回答
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以下の辞典に、 もともとは肯定的にも否定的にも使うことができるとの記述があります。強調として使われる用法は俗用との記述のある辞典もありました。
また、『岩波国語辞典』 (西尾実/編 岩波書店 2011年)には肯定的な意味もありましたが、、「非常に」「断然」の意に使うのは誤用との記述がありました。
〇『日本国語大辞典 第8巻』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年
〇『大きな活字の新明解国語辞典』 山田忠雄/編 三省堂 2012年
○『岩波日本語使い方考え方辞典』 北原保雄/監修 岩波書店 2003年
○『大辞林』 松村明/編 三省堂 2006年
○『日本俗語大辞典』 米川明彦/編 東京堂出版 2003年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『日本国語大辞典 第8巻』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001年
p108 1.【形動タリ】余すところのないさま。全くそうであるさま。
2.【副】①残るところなく。すべてにわたって。ことごとく。すっかり。全部。
②(下に打消しを伴って)ちっとも。少しも。
③(口頭語で肯定表現を強める)非常に。
「もともとは肯定的にも否定的にも使うことができた。否定表現との結びつきが強まるのは大正末から昭和にかけてである。」などの記述あり
〇『大きな活字の新明解国語辞典』 山田忠雄/編 三省堂 2012年
p846 【副】(否定表現と呼応して)あらゆる点からみて、その否定的な状態が認められる意を表す。
(古くからあった否定表現を伴わず)「非常に」の意を表す用法も最近は多くなったと記述あり
○『岩波日本語使い方考え方辞典』 北原保雄/監修 岩波書店 2003年
p197 「「全然」は「全然こわくない」のように否定熟語と呼応する用法が一般的であるが、もともとは「すっかり」といった意味を表し、肯定表現にも使われた。最近では、「全然平気だ」のように、単なる程度の強調として使われることもあるが、話し言葉に限られ、やや俗語的である。」と記述あり。
〇『岩波国語辞典』 西尾実/編 岩波書店 2011年
p826 【副】全く。ア.(後に打消しの言い方や否定的な意味の表現を伴って)まるっきり。
イ.すっかり。全面的に。→イの用法もよく使われるが、「非常に」「断然」の意に使うのは誤用との記述あり
○『大辞林』 松村明/編 三省堂 2006年
p1428 (話し言葉での俗な言い方)非常に。とても。「-いい」
「肯定表現を伴って「全然おいしい」などと程度の強調を表す用法が用いられるが、これは俗用である。」と記述あり。
○『日本俗語大辞典』 米川明彦/編 東京堂出版 2003年
p324 「非常に。明治時代は肯定的な文脈で、「すっかり、全部」の意で使用されたが、明治末から昭和にかけて否定形を伴い、「少しも」の意で使用されて優勢になった。戦後、昭和二十年代半ばにまた肯定形と共起し、特に若者の間では強調語「非常に」の意として使用される。」と記述あり。
- 事前調査事項
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『広辞苑』には、「俗な用法で、肯定的にも使う。全く、非常に「-同感です」」と記述があった。
- NDC
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- 辞典 (813 9版)
- 参考資料
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- B10094076 日本国語大辞典 第8巻 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.8 813.1 4-09-521008-7
- B11916209 大きな活字の新明解国語辞典 山田忠雄/編 三省堂 2012.3 813.1 978-4-385-13116-0
- B11882838 岩波国語辞典 西尾実/編 岩波書店 2011.11 813.1 978-4-00-080047-1
- B10109195 岩波日本語使い方考え方辞典 北原保雄/監修 岩波書店 2003.5 810.36 4-00-080206-2
- B11208854 大辞林 松村明/編 三省堂 2006.10 813.1 4-385-13905-9
- B10140797 日本俗語大辞典 米川明彦/編 東京堂出版 2003.11 813.9 4-490-10638-6
- キーワード
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- 全然
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000152875