レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年08月28日
- 登録日時
- 2015/12/17 20:26
- 更新日時
- 2015/12/17 20:26
- 管理番号
- r163
- 質問
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解決
なぞなぞ「母には二度会い父には会わぬもの」の出典が知りたい。(答えは「唇」である。)
- 回答
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日本で最初のなぞなぞ集「後奈良院御撰何曾」に、次の問題と答えが収められていました。
「母には二たびあひたれども父には一度もあはず。 くちびる。」
なお、「後奈良院御撰何曾」の読みは、資料によって「ごならいんぎょせんなぞ」「ごならいんごせんなぞ」とあります。
以下に、確認した資料をご紹介します。
■なぞなぞの掲載資料
『群書類従 第28揖 雑部 訂正3版』(塙保己一/編 続群書類従完成会 1982)の「後奈良院御撰何曾」(p.644-652)に「母には二たびあひたれども父には一度もあはず。 くちびる。」とあります(p.644)。
■「後奈良院御撰何曾」の概要
「日本古典籍総目録データベース」( http://base1.nijl.ac.jp/~tkoten/about.html )で「後奈良院御撰何曾(ごならいんぎょせんなぞ)」の書誌を確認すると、「〈備〉日本古典文学大辞典に解説あり。」とありました。
・『日本古典文学大辞典 第2巻』(岩波書店 1984)
p.650「後奈良院御撰何曾 ごならいんごせんなぞ」の項に「一巻。言語遊戯。後奈良天皇撰。」「奥に「永正十三年(1516)正月廿日(花押)」とあり」等の記載があります。
p.650「後奈良天皇 ごならてんのう」の項に「わが国最初のなぞなぞ集『後奈良院御撰何曾』(略)がある」とあります。
また、次の資料にも記載がありました。
・『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 2 改訂版』(フランク・ギブニー/編集ティビーエス・ブリタニカ 1993)
p.1032「後奈良院御撰何曾 ごならいんぎょせんなぞ」の項に「室町時代の日本最初のなぞなぞ集。後奈良天皇編。」「「母には二たびあひたれども父には一度もあはず」(唇)は、当時の発音(略)を示す資料としてよく引用される。」とあります。
■なぞなぞの解説資料
「日本古典籍総目録データベース」(再掲)で「後奈良院御撰何曾(ごならいんぎょせんなぞ)」と検索すると、書誌が3件該当します。そのうちの「後奈良院御撰何曾之解(ごならいんぎょせんなぞのかい)」について、お調べしました。
国立国会図書館デジタルコレクションで「後奈良院御撰何曾之解」と検索し、以下の資料を確認しました。
・『本居全集. 第12巻 増補2版』(吉川弘文館 1928)
アドレス http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1914555
※国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。
p.217-246(コマ番号121-136)「後奈良院御撰何曾之解」に、「母には二度あひたれども父には一度もあはず くちびる」について、次のとおり解説があります。(p.220(コマ番号123))
「母は歯々の意父は乳の意にて上唇と下歯下唇と上歯とあふは二度なり我乳はわが唇のとどかぬ物なれば一度もあはぬ意にて(略)」
また、国立国会図書館デジタルコレクションで「後奈良院御撰何曾」と検索し、以下の資料を確認しました。
・『国語学論考』(湯沢幸吉郎/著 八雲書林 1940)
アドレス http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1262395
※国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。
p.243-252(コマ番号131-136)「後奈良院御撰何曾」に、お尋ねのなぞなぞ「母には二たびあひたれども父には一度もあはず。」について、次のとおり解説があります。(p.252(コマ番号136))
「これは「ハハ」の發音には唇が二度はたらくが、「チチ」の發音には唇が一度も相接しないことを表すもので(略)即ち本書の出来た頃では「母」をファファ(fafa)、又はファワ(fawa)と發音して居た(略)ことが分る。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210)
- 日本語 (810)
- 参考資料
- キーワード
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- なぞなぞ
- なぞかけ
- 日本初
- 後奈良院御撰何曾
- 後奈良天皇
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000185889