レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/11/28
- 登録日時
- 2015/06/18 14:30
- 更新日時
- 2015/10/02 18:00
- 管理番号
- 埼熊-2015-042
- 質問
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解決
「貴様」という言葉の語源を知りたい。
- 回答
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以下の資料に記述がありました。
『日本語源大辞典』(小学館 2005)
p388〈貴様〉の項に「対称。もと尊称の代名詞。のち、口頭語として一般化し、江戸時代後期以降は、同等またはそれ以下の者に対して用いる。[語源説]キミサマ(君様)の略〈嘉良喜随筆(からきずいひつ)〉。以降に参考あり。」とあり。
『語源海』(東京書籍 2005)
p232〈貴様〉の項に「源→文字どおり、男女ともに貴い人、目上の人にアナタサマといった敬意をもって用いた二人称代名詞。対する一人称の語は〈拙者〉(つまらぬもの)。しかし、江戸後期では、用法が変じて上から下へとののしり気味に用いるように変質。これが現代への伝流。なお江戸初期、京都の遊女が相手(遊客の男)に用いたのが一般化のはじまり。」とあり。
『暮らしのことば新語源辞典』(講談社 2008)
p274〈貴様〉の項に「男性が相手をののしって、または極めて親しい同輩以下の相手を指して言う語。もとは、字を見てもわかるとおり、あなたさまの意の敬称であった。中世末から近世初期に武家の書簡などで使われた語という。近世前期は、まだ、目上の人に対して男女が用いた。近世後期になると敬意が下がって、同等以下の者に用いるようになり、文政期ごろからはののしって言う例も見られるようになった。」とあり。
『日常語の意味変化辞典』(堀井令以知編 東京堂出版 2003)
p28〈きさま(貴様)〉の項に「二人称代名詞。もとは貴の字の示すようにかなりの敬意をもって使われた語で中世末ごろの武家の書簡に現れる。江戸時代前期には、貴様は女性語として「あなたさま」の意味としても使われた。丹波の田捨女(でんすてじょ)(1633~98)の俳句「梅がえ(枝)はおもふきさまのかほ(を)りかな」は「あなたさま」の香りを梅の香りに重ね合わせて詠んだ句である。やがて庶民の話言葉として使用されるようになってから敬意を失っていったようである。江戸時代中期には、まだ軽い敬意が保たれていたが、中期から後期にかけては対等の者に用い、さらに時代が下ると目下に対する語となり、江戸時代の末にはぞんざいな語、ののしりの語として用いた(『好色一代男』「貴様もよろづに気のつきさうなるおかたさまと見えて、一しほ尤愛(いと)しうおもふ」)。今日では男性が同輩以下に親しみを持って用いるか、あるいは軽蔑して相手を呼ぶときに用い、上品とは言いにくい語に意味を変えた。」とあり。
- 回答プロセス
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語源辞典を確認した。
【その他調査済み資料】
『日常語語源辞典』(鈴木棠三著 東京堂出版 1992)
『日本語源辞典』(村石利夫著 日本文芸社 1981)
『国語語源辞典[正]』(山中襄太著 校倉書房 1985)
『語源のたのしみ 1』(岩淵悦太郎著 毎日新聞社 1975)
『語源のたのしみ 2』(岩淵悦太郎著 毎日新聞社 1976)
『語源のたのしみ 3』(岩淵悦太郎著 毎日新聞社 1976)
『語源散策』(岩淵悦太郎著 毎日新聞社 1974)
『語源博物誌 正・続』(山中襄太著 大修館書店 1976)
『語源入門』(杉本つとむ著 東京書籍 2007)
『日本語『以前』辞典』(村石利夫著 村田書店 1992)
『江戸語事典』(三好一光編 青蛙房 1971)
『雑学日本語おもしろ辞典 知っているようで知らない言葉の知識!!』(村石利夫著 日東書院 1991)
『最新*現代人のためのことばの知識百科』(主婦と生活社 1981)
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812 9版)
- 参考資料
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- 『日本語源大辞典』(小学館 2005) , ISBN 4095011815
- 『語源海』(東京書籍 2005) , ISBN 4487797438
- 『暮らしのことば新語源辞典』(講談社 2008) , ISBN 9784062653404
- 『日常語の意味変化辞典』(堀井令以知編 東京堂出版 2003) , ISBN 449010622X
- キーワード
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- 日本語-語源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000176113