レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年6月1日
- 登録日時
- 2010/07/15 17:40
- 更新日時
- 2023/07/28 15:42
- 管理番号
- 岩手-0039
- 質問
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解決
「おちつき」という岩手県気仙地方の風習について解説した資料はあるか?
- 回答
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<「おちつき」という風習について>
『大辞林』によると、「宿に着いてまず飲食することやその飲食物」という意味があり、
「落(ち)着き雑煮」という「嫁が婿方に着いてまず食べる雑煮」を意味する言葉もある。
1 『大辞林』第3版
p.353 「おちつき【落(ち)着き】」
<岩手県気仙地方の「おちつき」>
岩手県気仙地方では、冠婚葬祭の際、正式な膳の前にうどんやもちを食べる習慣やその食物を
「おちつき」(落ちつき・落ち着き・落付・オジズギ)と言い、各市町村史の冠婚葬祭の項目や、
方言資料等にその内容を確認できる。掲載資料は以下の通り。
※気仙地方とは現在の大船渡市(旧:三陸町を含む)、住田町、陸前高田市。
2 『大船渡市史 第4巻 民俗編』
p.47-52 「晴の日の食物」
p.303 「三 婚礼の儀式」
3 『住田町史 第6巻 民俗編』
p.24-30 「二 晴の日の食物」
p.280,281 「三 婚礼の式順」
4 『陸前高田市史 第5巻 民俗編(上巻)』
p.105-123 「三 晴れの食物」
p.628-631 「婚礼形式の例」
5 『気仙風土記 続』
p.100-102 「晴食」
6 『三陸町史 第5巻 民俗一般編』
p.37 「二 祝儀・不祝儀の料理」
7 ビデオ『気仙地区の慣習から「おちつき」』
内容:気仙地区では「おちつき」といって結婚披露宴等の前にうどんやもちなどを
食べる風習がある。元岩手県立博物館長・金野静一氏による「おちつき」の由来解説。
8 『気仙ことば』
p.40 「オジズギ(名)」 本文一部抜粋
落ち着き。お振舞いに招ばれると、正式の膳の前にこれが出る。
お汁粉にうどんが通例。鎌倉時代の文献では宿駅のはたご屋で、
客が着くと、とりあえず「落ち着き」の簡単な食事を出したとある。
お振舞いには、昔は招かれて一里も二里も先から歩いて来るのだから、
当然の必要から出た習慣と思われる。
9 『気仙方言誌 岩手県旧気仙郡』
p.34 「オヂツギノモヂ」 本文一部抜粋
落着きの餅。嫁入りのときこの餅をたべる。嫁姻の席上オチツキノモチを出す。
餅とはいうが当地方では主として饂飩に汁粉を出す。鎌倉時代の内宮仮殿記に
「落付之酒飯ヲ進ム」とある。本膳の前にそれを食べてオチツク意味からであろう。
- 回答プロセス
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1. 「おちつき」という言葉の意味を確認。気仙地方の市町村史をブラウジング。
2. 気仙地方の風習・慣習について民俗学の分類を確認。
3. 気仙地方の方言資料を調査。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 日本語 (810 9版)
- 参考資料
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- 1 『大辞林』第3版 松村明ほか/編 三省堂 2006
- 2 『大船渡市史 第4巻 民俗編』 大船渡市史編集委員会/編 大船渡市 1980
- 3 『住田町史 第6巻 民俗編』 住田町史編纂委員会/編・発行 1994
- 4 『陸前高田市史 第5巻 民俗編(上巻)』 陸前高田市史編集委員会/編 陸前高田市 1991
- 5 『気仙風土記 続』 金野静一/著 続・気仙風土記編集発行委員会 1976
- 6 『三陸町史 第5巻 民俗一般編』 三陸町史編集委員会/編・発行 1988
- 7 ビデオ『気仙地区の慣習から「おちつき」』 岩手県沿岸第一視聴覚教育協議会/企画 発売者不明 20分 1997
- 8 『気仙ことば』 佐藤文治/著 大船渡市立博物館 1980
- 9 『気仙方言誌 岩手県旧気仙郡』 陸前高田市史学同好会/編・発行 1964
- キーワード
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- 風俗
- 習慣
- 方言
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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岩手県立図書館 レファレンス事例検索
「気仙地方の婚姻風習「おちつき」について」検索キーワード:おちつき
https://www.library.pref.iwate.jp/iwsystem/refdb.html
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000069124