レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/05/28
- 登録日時
- 2020/09/16 00:30
- 更新日時
- 2020/09/16 00:30
- 管理番号
- 6001045130
- 質問
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解決
岩波文庫の『特命全権大使米欧回覧実記』に「指状(指ヲ屈伸シ形状ヲナス)」(98頁)と記載されている。手話のことと思われる。
(1)「指状」のよみ方を知りたい。
(2)江戸幕末から明治初期に「指状」以外の手話を表す言葉があれば知りたい。
- 回答
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(1)「指状」の読みについて
・『日本国語大辞典 第6巻 さこう-しゅんひ』(小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.6)
p.683に記載があり、よみは「しじょう」です。「指を折りまげるなどして、ある形や意思を表わすこと」と書かれています。用例として、『米欧回覧実記』(久米邦武 1877)の第一編第四巻の「指状〈指を屈伸し形状をなす〉をなして言にかえ、壁に書して談にかゆる」(岩波文庫98ページと同じ部分です)が挙げられています。
(2)「指状」以外の手話を表す言葉について
・『手話ということば:もう一つの日本の言語(PHP新書)』(米川明彦/著 PHP研究所 2002.1)
p.34-36の「手真似・手勢・手語・手動」の節に明治期の辞書に「手真似」が載っているとあります。
例えば『明治期国語辞書大系』にも、
・『明治期国語辞書大系 普5 言海』(飛田良文/編 大空社 1998.4)
1889-91(明治22-24)年刊行の「言海」のp.696に「てまね(名)手真似 手モテ、物事ノ状ヲ真似テ人ニ示スコト。手語」とあります。
・『明治期国語辞書大系 普12 ことばの泉』(飛田良文/編 大空社 2003.4)
1898-1899(明治31-32)年刊行の「ことばの泉」のp.960に「手真似。手をもて、その事物のさまを真似ること。俗語」とあります。
・『わが国特殊教育の成立』(中野善達/共著 東峰書房 1991.2)
『特命全権大使米欧回覧実記 1(岩波文庫)』(久米邦武/編 岩波書店 1977.9)のp.98の指状の註にひかれていた資料です(p.381,382)。
第一編が「幕末期における欧米特殊教育に関する知識」で、万延元年や文久元年の使節団の欧米を訪問した際の状況を詳しく記した日記等の史料が多く掲載されており、「手話」が「手偽」(p.60)、「手語」(p.62)などの言葉で報告されていることがわかります(p.11-134)。
[事例作成日:2020年7月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 言語学 (801 10版)
- 参考資料
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- 日本国語大辞典 第6巻 第2版 小学館国語辞典編集部∥編集 小学館 2001.6 (p.683)
- 手話ということば 米川/明彦∥著 PHP研究所 2002.1 (p.34-36)
- 明治期国語辞書大系 普5 飛田/良文∥編 大空社 1998.4 (p.696)
- 明治期国語辞書大系 普12 飛田/良文∥編 大空社 2003.4 (p.960)
- わが国特殊教育の成立 改訂新版 中野/善達∥共著 東峰書房 1991.2 (p.60、62(p.11-134))
- キーワード
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- 岩倉使節団(イワクラシセツダン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 江戸の辞書は『日本古辞書を学ぶ人のために』(西崎亨/編 世界思想社 1995.5)【813/7N/(2)】1112307879参照。
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000287174