レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/12/05
- 登録日時
- 2023/02/22 00:30
- 更新日時
- 2023/02/22 11:28
- 管理番号
- 所沢富岡-2022-011
- 質問
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解決
掛軸の「風帯」とは何の為のものなのか?
- 回答
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風帯の起源は中国で、古くは驚燕(きょうえん)、あるいは払燕(ふつえん)と呼ばれ、掛軸の燕避けとされていました。その後、実質的な意味はなくなり形式だけが残ったようです。
(参考:『表具を楽しむ』 池修/著 光村推古書院 2013年より)
以下の資料に記載があります。
〇『掛軸をつくる』 藪田夏秋/著 日貿出版社 1998年
〇『私にもできる表具の作り方入門』 【ヒョウ】導会/編 オルク 2006年
〇『かんたん表装入門』 垂水李/著 可成屋 2006年
〇『表具を楽しむ』 池修/著 光村推古書院 2013年
〇『誰でもできる裏打・掛軸教室』 小池丑蔵/著 日貿出版社 2016年
〇『表装生活』 麻殖生素子/監修 淡交社 2010年
〇『表装を楽しむ』 麻殖生素子/著 日本放送出版協会 2002年
〇『掛軸』 藤井弘之/監修 メイツ出版 2019年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『掛軸をつくる』 藪田夏秋/著 日貿出版社 1998年
p.4-5「掛軸の名称と選択」に「●風帯(垂れ風帯・貼り風帯・筋割風帯)」の項目あり
「類書の説明では「中国で鳥の糞がかかるのを防ぐ脅しの役目」と説明してありますが、私の考えるところ、実用の役に立てるものではなく、純然たる装飾と考えて良いと思います。多分仏教の「幡」の上端から出ている幡手と呼ばれるものが残って使われてきたのでしょう」と記載されている。また風帯を付けた掛軸の絵が掲載されている。
〇『私にもできる表具の作り方入門』 【ヒョウ】導会/編 オルク 2006年
p.130-147「重要用語集」の項目あり
p.142「風帯(フウタイ)」の項目あり
「昔、中国では驚燕といい、屋外で掛け軸を鑑賞するときに風帯でつばめを追い払うことを目的に取りつけたといわれる。それが日本で現在のように形式化されたものである。」と記載されている。
〇『かんたん表装入門』 垂水李/著 可成屋 2006年
p.92-94「掛軸の基礎知識」の項目あり
p.92 「風帯」の項目あり
「屋外で鑑賞するとき、風に揺れて鳥をよける目的でつけられたという説がある。」と記載されている。
2.後日調査の追加事項
〇『表具を楽しむ』 池修/著 光村推古書院 2013年
p.31-51「四 表具の実際」の項目あり
p.46-47「【風帯の意味】の項目あり
「風帯の起源は中国で、古くは驚燕(きょうえん)、あるいは払燕(ふつえん)と呼ばれ、室内に掛けた軸の燕避けとされていました。その後、実質的な意味はなくなり、形だけが残りました。」と記載されている。また風帯の意匠についても記載されており、「貼風帯」と「筋風帯」の写真が掲載されている。
〇『誰でもできる裏打・掛軸教室』 小池丑蔵/著 日貿出版社 2016年
p.6,9,10,13-16に「張り風帯」と「下げ風帯」、「筋風帯」を付けた掛軸の写真が掲載されている。
p.89-120「五、掛軸づくりの知識と工夫」の項目あり
p.117-120「風帯あれこれ」の項目あり
「中国では風帯のことを「驚燕」「払燕」と呼んだそうだ。屋外で掛物を鑑賞する習慣があった所、燕が飛来してこれを汚すので、それを防ぐ目的でつけたものらしい。風帯には次の5種類がある。①下げ風帯 ②張り風帯 ③仏仕立の風帯 ④筋風帯」と記載されている。また同頁に各風帯の特徴が写真付きで記載されている。
〇『表装生活』 麻殖生素子/監修 淡交社 2010年
p.18-19「掛軸の部位名称」の項目あり
p.18「風帯」の項目あり
「一説には燕を避けるためにつけられたという説があり、中国では「払燕」「驚燕」とも書かれる。」と記載されている。また風帯を付けた掛軸の絵が掲載されている。
〇『表装を楽しむ』 麻殖生素子/著 日本放送出版協会 2002年
p.34-71「掛軸の基礎」の項目あり
p.35「掛軸の名称」に「風帯」の項目あり
「屋外で軸を鑑賞するときの鳥よけの目的から、形式化されたという説もある。」と記載されている。また風帯を付けた掛軸の絵が掲載されている。
〇『掛軸』 藤井弘之/監修 メイツ出版 2019年
p.13-28「1章 基本の見直し つくる準備」 の項目あり
p.14-15「掛軸の名称」に「風帯」の項目あり
「中国では燕よけに実用としてつけられたが、日本では装飾物として形式だけが残った。」と記載されている。また風帯を付けた掛軸の絵が掲載されている。
△『簡単にできるおしゃれ表装入門』 えかたけい/著 日貿出版社 2008年
p.146「用語の説明」に「風帯」の項目あり
「昔中国では実用の意味があったそうですが、現在の日本の掛軸では形式だけが残っています。」という記載に留めている。
3.記載のなかった資料
×『表装入門』 表導会/編 オルク 2009年
p.12に掛軸の絵と風帯の名称はあるが、詳細な記載はない。
- 事前調査事項
- NDC
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- 絵画材料.技法 (724 9版)
- 参考資料
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- 掛軸をつくる 藪田夏秋/著 日貿出版社 1998.6 724.9 4-8170-8018-3
- 私にもできる表具の作り方入門 【ヒョウ】導会/編 オルク 2006.3 724.9 4-434-07730-9
- かんたん表装入門 垂水李/著 可成屋 2006.6 724.9 4-8393-8769-9
- 表具を楽しむ 池修/著 光村推古書院 2013.12 724.9 978-4-8381-0498-7
- 誰でもできる裏打・掛軸教室 小池丑蔵/著 日貿出版社 2016.9 724.9 978-4-8170-8225-1
- 表装生活 麻殖生素子/監修 淡交社 2010.8 724.9 978-4-473-03662-9
- 表装を楽しむ 麻殖生素子/著 日本放送出版協会 2002.12 724.9 4-14-031118-5
- 掛軸 藤井弘之/監修 メイツ出版 2019.4 724.9 978-4-7804-2176-7
- キーワード
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- 掛軸
- 風帯
- 表具
- 表装
- 驚燕
- 払燕
- 燕避け
- 中国
- 鳥
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000329264