レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年05月04日
- 登録日時
- 2016/06/08 16:04
- 更新日時
- 2016/09/06 15:40
- 管理番号
- 埼久-2016-023
- 質問
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解決
藤島武二「天平の面影」に描かれた女性の髪型の名称を知りたい。
- 回答
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「天平の面影」の髪型の名称についての資料は見つからないが、作成時に参考にした資料等から、「二髻(にけい)」または「双髻(そうけい)」という髪型と思われる。関係記述のあった下記資料を紹介する。
1 「二髻(にけい)」の記述があった資料
『江馬務著作集 第4巻 装身と化粧』(中央公論社 1976)
「結髪の歴史」の項で女性の髪形を6種に分別しているうちの一つに「二髻(にけい)」あり。
『黒髪の文化史』(大原梨恵子著 築地書館 1988)
p13「頭上二髻(ずじょうにけい)」の絵と解説あり。
2 「双髻(そうけい)」の記述があった資料
『日本の美術 233』(至文堂 1985.10)
法隆寺「呉女」面の説明で「双髻」との表記あり。
『日本伝統の髪型 櫛まつり作品集』(京都美容文化クラブ編 河村長観文 京都書院 1998)
双髻髷(そうけいまげ)の写真あり。
『仏像の再発見 鑑定への道』(西村公朝著 吉川弘文館 1976)
p68-70 双髻についての言及あり。
- 回答プロセス
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藤島武二「天平の面影」の掲載された所蔵画集・図録にあたる。
NDC分類〈210〉〈380〉〈383.5〉の資料及び参考文献を確認する。
『日本史大事典 2』(平凡社 1993)
〈髪型〉の項に奈良時代の女性の髪形について解説と数種類の名称、参考文献あり。
橋本澄子編「結髪と髪飾」(『日本の美術 23』至文堂 1968)
p25-29「飛鳥・奈良時代の髪型」
女性の髪形の写真多数と解説あるが、質問の髪型と同一のものなし。
『江馬務著作集 第4巻 装身と化粧』(回答資料)
『黒髪の文化史』(回答資料)
自館目録を〈髪型〉で検索する。
『日本伝統の髪型 櫛まつり作品集』(回答資料)
《CiNii Books》(http://ci.nii.ac.jp/books/ 国立情報学研究所)をキーワード、全文〈天平の面影〉で検索する。
山川義夫著「藤島武二論」(「札幌大学紀要 教養部論集 1」A3-A55、1968.3.1)
「天平の面影」について、モデルの言及はあるが髪形については言及なし。
《Google》(https://www.google.co.jp/ Google)を〈藤島武二 & 天平の面影 & 髪型〉で検索する。
《関西大学学術リポジトリ》
高橋沙希著「青木繁の構想画に見る日欧の美術潮流」(『東アジア文化交渉研究 5』p425-448 関西大学大学院東アジア文化研究科)(http://kuir.jm.kansai-u.ac.jp/dspace/handle/10112/6139 関西大学図書館)
「天平の面影」にも触れているが髪形については言及なし。脚注の文献に「日本近代洋画の成立白馬会」あり。
『日本近代洋画の成立白馬会』(植野健造著 中央公論美術出版 2005)
p146 『東京朝日新聞』に、髪型についての批評が掲載されたとの記述あり。
p148 髪形について黒川真頼の「本邦風俗説女子部」を参考にしたとの推察あり。
『東京朝日新聞 明治35年10月13日 2面』
「白馬会展覧会素見記(中)」記事内、藤島武二「天平の面影」への批評として、「彼の髪の形は法隆寺の伎楽面によつたものらしく」との表記あり。
法隆寺の伎楽面を調べる。
『日本の美術 233』(回答資料)
《国会図書館デジタルコレクション》(http://dl.ndl.go.jp/ 国会図書館)で「日本結髪史」を確認する。
「日本結髪史」(稲葉小千著 春陽堂 1918)(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1874545 国会図書館)国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
第一期(上古より崇峻天皇の四年迄) 、第二期(寧樂朝時代より鎌倉時代の終期まで)を確認するが、それらしき髪型名と図が併記されているページなし。
《Googleブックス》(https://books.google.co.jp/ Google)を〈双髻〉で検索する。
『文化財を楽しむために 鑑賞の手引』(石丸正運編 淡交社 1987)
p136 「宝髻」の一種として「双髻」の説明あり。
『仏像の再発見 鑑定への道』(回答資料)
ウェブサイト・データベースの最終アクセスは2016年5月4日。
- 事前調査事項
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調査済み事項
この作品は、天平時代を思わせる服装、髪型をした女性が楽器を手にたたずむ姿を描いた人物画である。
藤島はこれを描くに当たり、天平時代の髪型や衣装を研究している。
日本の古代美術のほか、風俗に関する論文や挿図(黒川真頼「本邦風俗説女子部」(『国華』86号(明治29年11月)、88号(明治30年1月)、91号(明治30年4月)3回連載)など)を参照しているようである。また、このモデルは光明皇后ではないか、という説がある。
調査済資料
『ふたつの重要文化財 藤島武二《天平の面影》と雪舟《四季山水図》』
『館報 石橋財団ブリジストン美術館・石橋美術館』39号(1990)
「特別記事 藤島武二の「天平の面影」考」 『三彩』1990年7月号(通巻514号)
鈴木昌子「女神象にみる日本古代の髪形の変遷 : 一髻から大垂髪まで」
- NDC
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- 洋画 (723 9版)
- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
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- 『江馬務著作集 第4巻 装身と化粧』(中央公論社 1976)
- 『黒髪の文化史』(大原梨恵子著 築地書館 1988) , ISBN 4-8067-5655-5
- 『日本の美術 233』(至文堂 1985.10)
- 『日本伝統の髪型 櫛まつり作品集』(京都美容文化クラブ編 河村長観文 京都書院 1998) , ISBN 4-7636-1676-5
- 『仏像の再発見 鑑定への道』(西村公朝著 吉川弘文館 1976)
- キーワード
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- 藤島 武二(フジシマ タケジ)
- 洋画家-日本
- 髪型-美術上
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- その他
- 登録番号
- 1000193074