レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006/6/10
- 登録日時
- 2006/09/14 02:10
- 更新日時
- 2008/04/10 16:07
- 管理番号
- 埼熊-2006-026
- 質問
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解決
「玄奘とシルクロード」(講談社 県内公共図)の文中にある「燃灯(燈)仏」とはどのような仏なのか。また、シルクロードのトルファンに「燃灯仏授記」の壁画があるというが、それにはどのような物語があるのか。
- 回答
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『仏教美術事典』(東京書籍)『図説佛教語大辞典』(東京書籍)等に以下のように記述があった。また『新シルクロード 1』(日本放送出版協会)には〈燃灯仏授記〉の壁画およびその説明があり。物語については『ガンダーラ美術 1 改訂増補版』(二弦社)「Parit 1 釈尊の若き日々 燃灯仏授記」が比較的詳しくわかりやすい資料であると紹介した。
(1)「燃灯仏」について
釈尊(釈迦)が生まれる前の世(前世)に現れた仏。サンスクリット語ディーパンカラ(灯明をともす者)・ブッダの漢訳。定光仏、錠光仏とも訳され、前世の釈尊に、未来成仏(悟りを開き、仏となること)を予言した過去仏。
(2)「燃灯仏授記」の壁画について
豊かな髪を持つ青年修行者であった前世の釈尊が、青蓮華を奉り、髪を道に敷いて燃灯仏を通らせた。その功徳により「汝は将来仏となり、釈迦牟尼仏という名で世界の燈明となるであろう」と授記(予言)を受けたという。シルクロードに伝わる物語を描いた仏教壁画である。
- 回答プロセス
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『仏教・インド思想辞典』(春秋社)『仏教美術事典』(東京書籍)『図説佛教語大辞典』(東京書籍)から、〈燃灯仏〉は前世の釈尊(釈迦)に来世仏陀になることを予言(授記)した過去仏であることがわかった。
次に〈燃灯仏授記〉の壁画を探す。《Google》を〈燃灯仏 & 壁画〉で検索。NHKの番組「新シルクロード 第2集」で放映されたトルファンの大画廊〈燃灯仏授記〉と題された復元図のサイトが見つかった。同番組の資料『新シルクロード 1』(日本放送出版協会)の「デジタル復元 燃灯仏授記」の項に詳細な記述あり。p188ー189には、散逸状態にある原図と〈燃灯仏授記〉のデジタル復元図が掲載がされていた。以上から〈前世の釈迦が、燃灯仏と出会う物語〉が描かれている壁画であることを確認する。
物語については、『ガンダーラ美術 1 改訂増補版』(二弦社)の「Parit 1 釈尊の若き日々 燃灯仏授記」が、比較的詳細にわかりやすく描かれている。『ガンダーラの美神と仏たち』(日本放送出版協会)の「仏陀の前世の物語」にも該当記述あり。また『仏教説話大系 1 釈尊の生涯』(鈴木出版)は、前世の釈迦についての物語であるが、青春編に授記(予言)の記述部分が見つかった。
また、雑誌『佛教芸術 157号』(日本宗教学会)の「ガンダーラの燃灯仏授記本庄図」、『宗教研究 227号』(日本宗教学会)p53-61にも関連する詳細な記述があり、これを紹介した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 仏会 (186 9版)
- アジア史.東洋史 (220 9版)
- 芸術史.美術史 (702 9版)
- 参考資料
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- 『仏教美術事典』(東京書籍)
- 『仏教・インド思想辞典』(春秋社)
- 『新シルクロード 1』(日本放送出版協会)
- 『ガンダーラ美術 1 改訂増補版』(二弦社)
- 『ガンダーラの美神と仏たち』(日本放送出版協会)
- 『仏教説話大系 1 釈尊の生涯』(鈴木出版)
- 『佛教芸術 157号』
- 『宗教研究 227号』
- 『図説佛教語大辞典』(東京書籍)
- キーワード
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- 仏教美術
- シルクロード-歴史
- トルファン-新疆ウィグル自治区-中国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000030538