レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/12/15
- 登録日時
- 2021/01/05 00:30
- 更新日時
- 2021/06/18 14:11
- 管理番号
- 8710297
- 質問
-
未解決
武田揚岸という人物について、資料を探しています。
江戸末期の絵師のようです。
利用者の所持する掛軸に、名前が書かれているそうです。
書の方は、京都のお寺の僧侶のもので、画が武田揚岸のもののようです。
- 回答
-
ご依頼の件について、下記資料1-5に、「武田楊岸」(「揚」の偏が異なりますが)という人物(江戸期の画家)に関する情報がありましたのでお知らせします。
また、一文字違いの「武沢楊岸」という人物(同じく江戸期の画家。「揚岸」と記されることもある。)の情報が記載されている資料もありましたので、参考までにあわせてお知らせします。(【 】は当館請求記号。)
<資料>
〇武田楊岸について
1.吉田祥朔 著『近世防長人名辞典』増補 マツノ書店, 1976.6(第2刷:2002.4) 【GB12-G40】
→p.151に「タケダヨーガン 武田楊岸」の項あり。岩国藩士で、天保中に京に上り仁和寺御所の絵師を務めた旨の記述がある。
→『角川日本姓氏歴史人物大辞典』35【GB12-E14】p.436に、資料1による武田楊岸についての記述がある。
2.岩国市史編纂委員会 編『岩国市史』上 岩国市, 1970 【GC227-16】※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
→p.826に「武田楊岸」の項があり、京都にも住んだ画家である旨の記述がある。
3. 大岡昇 著『岩国の文化と教育資料』第1集 岩国市立岩国図書館,1975 【GC227-50】※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
→p.57に「武田楊岸」の項があり、京都にも住んだ画家である旨の記述がある。
4.岩国市史編さん委員会 編纂『岩国市史』通史編 2 岩国市,2014.3 【GC227-L11】
→p.1586に雪舟派(雲谷派)を学んだ者として「武田正介(楊岸・風情堂)」が挙げられている(資料1、2では号は「風清堂」とあるのに対し、本資料では「風情堂」と一文字異なる)。
5.田中助一「雲谷派研究の回顧」(『山口県地方史研究』(30) 1973.12 pp.11-17【Z8-435】)※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
→p.17の「岩国藩の雲谷派絵師」の画系中に「武田楊岸」の名前が含まれている。
(参考:「武沢楊岸」について)
・京都文化博物館学芸第一課 編『京の絵師は百花繚乱 : 『平安人物志』にみる江戸時代の京都画壇』京都文化博物館,1998.10 【KC16-G1526】
→pp.244-245に作品(京都・大雲院の「五百羅漢図」)のカラー図版、p.283に画家解説、p.308に落款・印章、pp.328-336の「平安人物志に登場する画家一覧表」中のp.331に名前等の記載がある。
・観峰館データベース( http://kampokan.com/database/ )
→「楊岸」と入力して検索すると、作品(「琴棋書画図屏風」)がヒットし、作者である楊岸の情報もあわせて記述されている。( http://kampokan.com/kp_database/%E7%90%B4%E6%A3%8B%E6%9B%B8%E7%94%BB%E5%9B%B3%E5%B1%8F%E9%A2%A8/ )
・荒木矩 編『大日本書画名家大鑑』伝記 下編 大日本書画名家大鑑刊行会, 昭和9 【R720.3-A64ウ】※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
→p.2258に「楊岸」(武沢楊岸)の項あり。
・村山修一 著『皇族寺院変革史 : 天台宗妙法院門跡の歴史』塙書房,2000.10 【HM136-G38】
→p.517に「武沢楊岸は仁和寺門跡お出入の画師で(略)」との記述がある。
・小室翠雲 著『南画読本』艸書房, 昭12 【734-86】※国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開)
→pp.211-251の「日本南畫家分布表」中のp.214に「武澤楊岸」と名前のみ記載あり。
<その他の主な調査済み資料>
・田中助一「雲谷派の人と作品(続ノ上)」(『國華』(826) 1961.1 pp.36-42【YA-22】)
→p.36「雲谷一族以外の画系」中に「武田楊岸」の名前あり。
・田中助一「雲谷派の人と作品(続ノ中)」(『國華』(827) 1961.2 pp.83-89【YA-22】)
→pp.86-87に「武田楊岸(通称正介、別号風清堂)」の項あり(前述の資料2と同じ内容)。
・上田純雄 著『岩国人物誌』岩国市立岩国図書館,1970 【GK13-49】
→p.50に「武田楊岸」の項あり(要旨は資料1と同じ)。
・中野雅宗 編著『日本書画鑑定大事典』第9巻 (み~わ) 国書刊行会, 2012.12【KC637-L2】
→p.317に「楊岸―武澤」の項あり(項目の内容は前述の『大日本書画名家大鑑』伝記 下編【R720.3-A64ウ】と同じ)。
・アルティス・ジャパン( http://artisjapan.net/ )
→「なまえで検索」欄に「楊岸」と入力して検索すると「武澤楊岸 たけざわようがん 画家 日本画 日本」とのみ表示される。
・森銑三, 中島理寿 編『近世人名録集成』第1巻 (地域別編 1) 勉誠社,1976 【GB13-56】
→「平安人物志」の影印が収録されており、p.148(天保九年版)に「武澤楊岸」、p.186(嘉永五年版)、p.226(慶応三年版)に「武沢揚岸」の名前等が記載されている。
・国際日本文化研究センター データベース 平安人物志
( http://db.nichibun.ac.jp/sp1/ja/category/heian_jinbutsu.html )
→平安人物志の画像を閲覧できる。楊岸(揚岸)の掲載箇所のURLは以下の通り。
天保九年版 https://lapis.nichibun.ac.jp/heian/b_img/555.jpg
嘉永五年版 https://lapis.nichibun.ac.jp/heian/b_img/703.jpg
慶応三年版 https://lapis.nichibun.ac.jp/heian/b_img/857.jpg
・安 道永「近世京都における絵師の居住傾向」(『日本建築学会計画系論文集』75(654) 2010.8 pp.2063-2071【Z16-107】)
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/75/654/75_654_2063/_pdf )
→pp.2064-2066の表2中のp.2065、p.2066(2か所)に「武沢揚岸」の名前あり。
・日外アソシエーツ株式会社 編『人物レファレンス事典』美術篇 日外アソシエーツ,2010.11 【GB12-J32】
・沢田章 編『日本画家辞典』大学堂書店, 1970 【KC2-4】
・佐藤靄子 著『日本名画家伝』物故篇 青蛙房, 1967 【720.28-Sa761n】
・岩国市史編さん委員会 編纂『岩国市史』通史編 1 岩国市,2009.3 【GC227-J21】
・『山口県文化史』通史篇 増補版 山口県, 1963 【217.7-Y2862y-(h)】※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
・庄司忠 著『岩国の人脈 : 岩国市政四十周年記念』郷土岩国史談会,1980.8 【GK13-644】
・佐々木丞平 責任編集『京都画壇の一九世紀』第2巻 (文化・文政期) 思文閣出版, 1994.10 【KC16-E2855】
・京都市文化観光局文化部文化財保護課 編『近世の京都画壇 : 画家と作品』(京都市文化財ブックス ; 第7集)京都市,1992.3 【KC16-E1608】
・高橋博巳 著『京都芸苑のネットワーク』ぺりかん社,1988.5 【K97-E1】
・石見美術館 編『雲谷派 : 雪舟を継ぐ者たち : 特別展』島根県立石見美術館,2011.1 【KC16-J1887】
・山口県立美術館 編『雲谷派の系譜 : 雪舟の後継者たち』山口県立美術館,1986.10 【KC16-1872】
・藤岡作太郎 著『近世絵画史』(日本文化名著選)創元社, 1946 4版 【721.02-H952k】※国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
・美術人名辞典(思文閣)( https://www.shibunkaku.co.jp/biography/ )
・美術家資料( https://yuagariart.com/artist-labo/uag.html )
・美術図書館横断検索(美術図書館連絡会)( https://alc.opac.jp/search/all/ )
・聞蔵IIビジュアル(当館契約データベース)
・ざっさくプラス(当館契約データベース)
・国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )
・リサーチ・ナビ( https://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/ )
・JapanKnowledge Lib(当館契約データベース)
・CiNii Articles( https://ci.nii.ac.jp/ )
(ウェブページへの最終アクセスは2020年12月9日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『美術家人名事典 古今・日本の物故画家3500人』 日外アソシエーツ 2009.02、『人物レファレンス事典 郷土人物編[第1期]そ〜ん』 日外アソシエーツ,2008.08、『美術家索引 日本・東洋篇』 日外アソシエーツ,1991.12、『日本書画骨董大辞典』 日本美術鑑賞会,1919、『日本人名大事典』平凡社,1979.07、『国史大辞典』 吉川弘文館,1988.09
- NDC
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- 芸術史.美術史 (702 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000291853