レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/09/30
- 登録日時
- 2015/07/24 00:30
- 更新日時
- 2015/07/24 09:05
- 管理番号
- 千県中参考-2015-11
- 質問
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解決
1880年から1900年初頭のアメリカ、ニューヨークのデパートメントストアのことについて知りたい。
O.ヘンリーの作品「手入れのよいランプ」や「紫のドレス」などにはその一端が描かれているがそれらについて更に知りたい。日本語だけでなく洋書でも可。特に、以下のことについて知りたい。
・デパートの中の品揃えについて(服装以外についても)
・デパートで働くshop girlたちの日常
- 回答
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【資料1】『欧米百貨店事情』(石渡泰三郎著 白木屋呉服店書籍部 1925)
1922~1923渡欧の記録で、
p48-55 「欧米百貨店巡り 紐育の百貨店」
p153-203 「外遊八ヶ月 亜米利加」
など、当時の日本人の目から見た現地の百貨店の様子が記載されています。
国会図書館デジタル化資料(インターネット公開)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/982410
【資料2】『百貨店の博物史』(海野弘著 アーツアンドクラフツ 2003)
p110~197「Ⅳ アメリカ」には、ワナメーカーズ、メイシーズ、ギンベルズ、アルトマンズ、ブルーミングデール百貨店等、1900年前後のニューヨークの百貨店についての記載があります。
【資料3】『ワナメーカー宝典』(ワナメーカー著 実業之日本社 1926)
ワナメーカーは、【資料1】の「紐育の百貨店」(p48-51)に記載された百貨店ですが、こちらはその開業50周年記念の出版物「Golden book of the Wanamaker stores. Jubilee year, 1861-1911」の重要部分を意訳した本です。
1877年に開設されたフィラデルフィア本店の例ですが、p65に店内の鳥瞰図、p74-75に商品部門、p100には1880年に宝石部・敷物部等を加えたこと、p108-109に1882年のクリスマスの陳列商品等などが書かれています。ニューヨーク支店は1896年の開設ですが、参考になると思われます。
p74-75記載のフィラデルフィアの商品部門は以下のとおりです。
A黒絹及び色絹、B葬式用品、C服装品、D婦人用装束用品、E毛織物、子供上衣、婦人外套類、Fフランネル及び家庭用品、Gリンネル及び家具、H白物及び刺繍類、I室内装飾品、J子供服及び令嬢服、K婦人服及びコート、ショウル類、L帽子、M紳士用装飾品、N紳士及び子供靴、淑女及令嬢靴、ゴム製品、トランク等、O男子服、P御註文品製作の『習慣部』
また、ニューヨーク店や店員などについては、以下の章に書かれています。
第三巻 発展 第七章 新ニユウヨークの店
第五巻 商品
第七巻 教育
第十巻 終編 第三章 本店内面生活の一端
(店員の勤務時間、食事、休暇などについて記載があります。)
こちらの資料は、国会図書館デジタル化資料(図書館限定公開)で、当館を含む「図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館」館内でご覧いただけます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1021011
【資料4】『ジョン・ワナメーカ、人及びその事業』(有川治助著 改造社 1929)
p109-110 1907年のニューヨーク支店の14階新館増築時の取扱い用品などが記載されています。旧館と合わせて売場が3倍、建坪80万坪になったとあります。旧館とは2つの地下トンネルと階上の「進歩の橋」で連絡していたとあり、旧館は婦人用品専門、新館は一階に男子用品、階上は家具、反物、毛氈その他陶器、ガラス器、楽器等との記載があります。
p209-226「七 店主と店員」の章では、店員の教育や労働条件等について記載されています。
【資料5】『史料で読むアメリカ文化史 3 都市産業社会の到来』(亀井俊介監修 東京大学出版会 2006)
p233-246 「III生活文化の諸相 4消費の殿堂、デパートメント・ストアの登場と通信販売」
1800年代中頃から登場した百貨店について書かれています(品揃えではなく、デパート全体についての記述が主体です)。どのような品を扱っていたかについても多少記述があります。
【資料6】『淑女が盗みにはしるとき ヴィクトリア朝期アメリカのデパートと中流階級の万引き犯』(エレイン・S・エイベルソン著 国文社 1992)
19世紀半ばから20世紀はじめに興隆したアメリカのデパートと、その隆盛にともなって出現した中流階級時代の女性による万引きについて書かれた資料です。当時のデパートの様子なども記述されているので参考になるのではないかと思われます。
その他、当館未所蔵ですが、国立国会図書館所蔵の資料等、関連のありそうな資料をご紹介します。
【資料7】『American department store and mail order catalogues,1870-1940』(Athena Press, 2010-2012)
国会図書館請求記号 DH441-B33~B38
年代別の各デパートの通販カタログです。実店舗の品揃えとは異なるかもしれませんが、参考までお知らせします。全16冊の資料のうちpart 1(6冊)が1870-1915までのMacy’s、Wanamaker等のカタログを収録しています。
【資料8】『History of Macy's of New York, 1858-1919 : chapters in the evolution of the department store』(by Ralph M. Hower. Harvard University Press, 1946)
国会図書館請求記号 DH26-B43
年代、地域等お探しの地域や年代と合致しており、参考になるのではないかと思われます。
【資料9】『Golden book of the Wanamaker stores. Jubilee year, 1861-1911』(J. Wanamaker ,1911
Compiled by Joseph Herbert Appel and Leigh Mitchell Hodges)
国会図書館請求記号 192-187
【資料3】の元本と思われる洋書です。同資料は、アメリカの電子図書館「The Interne Archive」でインターネット公開されているようです(ボストン大学所蔵本)。
https://archive.org/details/goldenbookofwana00wana
【資料10】『A history of the department store』(Macmillan, 1960)
国会図書館請求記号 658.871-F399h
出版地がN.Y.なので、アメリカのデパートの歴史ではないかと推測されます。
品揃え等の記述があるかは不明です。
【資料11】『The grand emporiums: the illustrated history of America's great department stores』(by Robert Hendrickson, Stein and Day ,c1979)
駒澤大学図書館、大阪市立大学学術情報総合センター所蔵。【資料2】で出典に挙げられていた資料です。
(インターネットの最終アクセス:2015年7月8日)
- 回答プロセス
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自館目録、国会図書館サーチ等を「百貨店」、「デパート」等のキーワード、NDC分類673.83等で検索、アメリカの該当年代の庶民の生活などが記載されていそうな資料を確認。
ニューヨークの主な百貨店ジョン・ワナーメーカー(John Wanamaker)、メーシー(Macy’s)等固有名詞で検索。
確認したが関連がなかった資料
・『欲望を生み出す社会 アメリカ大量消費社会の成立史』(スーザン・ストラッサー著 東洋経済新報社 2011)19世紀末~20世紀初頭のアメリカの流通・販売についての資料で、年代が合致しない。
・『アメリカ研究案内』(阿部斉編 東京大学出版会 1998)
巻末の「研究対象名索引」に「デパート」「百貨店」なし。
・『アメリカ文化史入門 植民地時代から現代まで』(亀井俊介編 昭和堂 2006)
目次情報や索引から関連する記述は見つからず。
- 事前調査事項
- NDC
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- 商業経営.商店 (673 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『欧米百貨店事情』(石渡泰三郎著 白木屋呉服店書籍部 1925)|9104619094
- 【資料2】『百貨店の博物史』(海野弘著 アーツアンドクラフツ 2003)|2101599816
- 【資料3】『ワナメーカー宝典』(ワナメーカー著 実業之日本社 1926)
- 【資料4】『ジョン・ワナメーカ、人及びその事業』(有川治助著 改造社 1929)|9104883031
- 【資料5】『史料で読むアメリカ文化史 3 都市産業社会の到来』(亀井俊介監修 東京大学出版会 2006)|0105920400
- 【資料6】『淑女が盗みにはしるとき』(エレイン・S・エイベルソン著 国文社 1992)|2100809329
- キーワード
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- デパート
- 百貨店
- アメリカ
- ニューヨーク
- 18世紀末
- 19世紀初頭
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000177617