レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年9月12日
- 登録日時
- 2018/09/12 14:37
- 更新日時
- 2018/12/26 15:19
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中ー郷土ー119
- 質問
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解決
西陣絣(にしじんかすり)について知りたい。
- 回答
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現存する絣として最古のものは,7世紀頃に法隆寺に伝わった“太子間道(たいしかんとう)”と呼ばれる縞模様の裂(きれ)といわれています。【資料1】
絣の日本での始まりは諸説ありますが,平安時代以降には,組紐や装束の一部分に絣の技法がみられるようになり,江戸時代には木綿の絣が各地に広まりました。【資料2】【資料3】
京都でも,織田信長拝領と伝わる,祇園祭の芦刈山のご神体の小袖が,経緯絣に通じる“締切(しめきり)”という技法で織られており,桃山時代には本格的な絣の技術があったことがうかがえます。【資料3】
“西陣”は古来,京都で織物が織られて来た地域です。“西陣”の織物として有名な“西陣織”は昭和51年(1976),その11技法12品目が通商産業大臣(現・経済産業大臣)指定の「伝統的工芸品」の認定を受けました。認定を受けた技法・品目の1つに“西陣絣”も数えられます。“西陣絣”が「伝統的工芸品」と認定されるには,“先染めの平織,又は朱子織とすること”“かすり糸は,たて糸,またはたて糸及びよこ糸に使用すること”など,5つの基準をすべて満たすことが必要とされています。【資料4】
絣は糸染めと織りで模様を作る織物ですが,西陣絣の特性は,絹絣で,経絣(たてがすり)という技法が主流であることです。西陣絣では矢羽根,壺垂れ,鳥襷(とりだすき)などの模様が表され,絣加工師が糸を出来上がりの模様に合わせて染め分け,絣織職人が織り上げます。【資料5】【資料6】
西陣には,昭和30年(1955)頃の最盛期には約120軒の西陣絣の加工業者がいましたが,現在では西陣絣加工組合に所属する組合員は7軒となり,後継者不足の問題もでてきました。平成26年(2014)から京都府・京都市などが主体となって行ってきた「若手職人OJT事業」を利用して修行をし,独立した絣職人が育ってきています。【資料6】
- 回答プロセス
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●“西陣織”“絣”“染織”関連の所蔵資料を調査【資料1~5】
【資料1】絣の歴史の記述,「太子間道類裂(たいしかんとうるいれき)」の部分写真掲載あり。
【資料2】“緂の平緒”“能の装束”“熨斗目装束”の関連記述あり。
【資料3】p75 絣に通じる技術の歴史について記述あり。
p76 京都の絣織の伝統について記述あり。
【資料4】p33 “絣織”に5つの基準の記載あり。
p48~52 西陣織の技術と「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(伝産法)に関する記述あり。
【資料5】西陣絣の工程に関する詳しい記述あり。
●所蔵雑誌『染織情報α』の発行元“染織と生活社”のウェブサイト上でキーワード“西陣織”を検索。【資料6】
【資料6】西陣絣の概説と絣織の担い手・葛西郁子氏の取材記事あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 染織工芸 (753 9版)
- 繊維工学 (586 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『日本の織物』(北村 哲郎/著 源流社 1988)p46~47“絣” , ISBN 4773988061
- 【資料2】『絣』(山辺 知行/著 芸艸堂 1974)p14~17“Ⅲ日本の絣織の歴史”
- 【資料3】『織を学ぶ』(京都造形芸術大学/編 角川書店 1999)p75“絣と締切”,p76“熨斗目と絹絣” , ISBN 4046513098
- 【資料4】『西陣 匠・技の伝承』(西陣伝統工芸士会/編集 西陣伝統工芸士会 2001)p33“絣織”,p48~52“西陣織伝統工芸士会創立20周年にあたって”
- 【資料5】『西陣の絣 概要と歴史』(中井 幸比古/編,中井 幸三/監修 2018)p27“「織屋」と「絣屋」の分担”
- 【資料6】『染織情報α 2014年11月号』(染織と生活社 2014)p2~3“西陣絣の技術と伝統の継承をめざす 葛西郁子さんの絣職人修行”
- キーワード
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- 西陣絣
- 西陣織
- 伝統的工芸品
- 伝統工芸
- 伝統産業
- 絣
- 絹絣
- 絣織
- 染織
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000242410