砂糖は、先ず最初にニューギニアで栽培されはじめたと思われる。ニューギニアで紀元前8000年ごろ栽培され、その後2000年くらいの間にサトウキビはフィリッピン諸島、インドおよびおそらくはインドネシアまで広がった。但しインドネシアでは、独自に栽培がはじまったのだとする説もある。しかし製糖過程についての史料は、ようやく紀元前400年ないし350年くらいになって砂糖の記述が出現する。それはギリシアからインドにいたる大帝国をつくったアレキサンダー大王の兵士たちだと言われる。兵士たちが北インドに入ったとき、「蜂がつくったのではない固い蜜」を見つけて大喜びしたということである。この時以来ごくわずかな砂糖が隊商をくんだ商人たちによってヨーロッパにもたらされていた。しかし砂糖の生産がヨーロッパやその他の地域に広く伝播したのはイスラム教徒の手によってである。「砂糖はコーランとともに」西へ西へと旅をした。アラビア半島で生まれたイスラム教はインドやインドネシア、中国の一部にも伝えられ、西方はこんにちのトルコや北アフリカにまで広がった。イスラム教徒の進撃はまだ続き、8世紀はじめにはスペインをもおさえ、地中海まで達した。やがてヨーロッパのキリスト教徒が砂糖のことをかなり詳しく知るようになり、11世紀末に始まった十字軍運動の時代から自分で砂糖きびを栽培するようになった。日本には754年、唐の鑑真が持ちこんだといわれる。中国に砂糖がもたらされたことはマルコポーロの「東方見聞録」に記載されている。1493年コロンブスの新世界(アメリカ)発見などによりアメリカに砂糖きびが移植された。1730年ごろ織田信長が日本ではじめてコンペイ糖を食べたとされる。1730年ごろ徳川吉宗が砂糖きび栽培を奨励している。さらに1811年ナポレオンはてん菜からのてん菜糖生産を奨励した。
砂糖は大きく、含蜜糖と分蜜糖の二つに分けられる。原料のサトウキビを粉砕して圧搾機にかけ、汁を絞る。汁は結晶しやすくショ糖と蜜成分となるブドウ糖や果糖が含まれている。汁を絞るところまでは同じであるが、前者は蜜ごと煮詰めたもので、黒砂糖、和三盆糖がこれにあたる。後者は絞り汁を遠心分離機にかけて蜜を振り分け、蜜糖とショ糖にする。結晶だけを取り出したもの、すなわちショ糖(砂糖)である。三温糖、グラニュー糖、上白糖はすべてこの分蜜糖に分類される。
含蜜糖は黒砂糖、てんさい糖、和三盆、コンペイ糖など。
分蜜糖は白砂糖、上白糖、三温糖、グラニュー糖、中双糖、角砂糖、氷砂糖、カエデ糖、ヤシ糖、ソルガム糖など。
砂糖(ショ糖)の結晶は無色透明である。沢山集まると白く見える。
普段使う砂糖は分蜜糖の種類の上白糖(白砂糖)である。日本で使われる砂糖の約半分がこれである。
さらなる違いは精製の度合いによる。
黒砂糖の製法は、 絞ったサトウキビの汁を漉してかすを除き、石灰を加えて酸を中和させ、 同時に不純物を沈殿させて除去。 そうして取り出した純粋な液体を煮詰めて結晶化させる。
分蜜糖と含蜜糖の栄養価を比較すると、分蜜糖にはほとんどミネラルもビタミンも含まれていないのに対し含蜜糖である黒砂糖は、カルシウム、カリウム、ナトリウ、マグネシウ、マンガン、リン、亜鉛、鉄、銅といったあらゆるミネラルが豊富で、さらにビタミンB1やB2ばかりでなく、ナイアシン、パントテン酸などのビタミンB群がバランスよく含まれている。
このように黒砂糖にふんだんにミネラル、ビタミン類が含まれるのは、蜜をそのまま煮詰めることと、製造過程で石灰を加えてアルカリ性にすること、この二点による。
典型的な砂糖の種類
含蜜糖
1. 黒砂糖(くろざとう)
さとうきびの搾り汁をそのまま煮詰めて砂糖にしたものです。濃厚な甘さと、強い風味があります。沖縄県や鹿児島県の南西諸島で作られている。
2. 和三盆(わさんぼん)
日本の伝統的な製法で作る淡黄色の砂糖です。結晶の大きさが非常に小さく、独特の風味を持つので、和菓子の原料として珍重される。徳島県で作られている。
分蜜糖
3. 上白糖(じょうはくとう)
日本で使用されている砂糖のうち約半分を占める、もっとも一般的な砂糖である。結晶が細かく、しっとりとしたソフトな風味の砂糖で、白砂糖とも呼ばれる。
4. グラニュー糖(ぐらにゅーとう)
上白糖よりも結晶の大きい、サラサラとした感じの砂糖である。クセのない淡泊な甘さを持つので、香りを楽しむコーヒーや紅茶に最適である。また、菓子用や料理用にも広く使われる。
5. 白双糖(しろざらとう)
結晶がグラニュー糖より大きく、無色透明の砂糖である。一般的に家庭で使われることは少なく、高級な菓子や飲料に多く使われる。
6. 三温糖(さんおんとう)
黄褐色をした砂糖で、上白糖やグラニュー糖に比べて特有の風味を持っていて、甘さも強く感じます。煮物や佃煮などに使うと、上白糖などに比べて、強い甘さとコクがでる。
7. 中双糖(ちゅうざらとう)
黄褐色をした砂糖で、グラニュー糖よりも結晶の大きい砂糖である。表面にカラメルをかけているので独特の風味を持っている。煮物などに使われる。
8. 角砂糖(かくざとう)
グラニュー糖を四角に固めたもので、コーヒーや紅茶に使われる。また、1個の重量が決まっているので、お菓子や料理用にも便利である。
9. 氷砂糖(こおりざとう)
氷のように見える、とても大きな結晶で、キャンディーとしてそのまま食べられる。また、溶けるのに時間がかかるので果実酒を作るのに最も適している砂糖である。
10. 液糖(えきとう)
溶かす手間が省けるため、ガムシロップをはじめとして清涼飲料水、ソース、焼き肉のタレ等に使われる。