レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/08/14
- 登録日時
- 2020/10/20 00:30
- 更新日時
- 2020/11/12 13:34
- 管理番号
- 6000054622
- 質問
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未解決
織田信長の時代に油と灰でつくった石鹸が日本に伝わったらしいが、その石鹸の作り方を知りたい。
- 回答
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日本に石鹸が伝わった当時の石鹸がどのようなものか断定できる資料は見つからなかった。
資料3の情報のみから判断すると、西暦800年ごろからフランスやイタリアで作られている、オリーブ油と、海藻を焼いてできたソーダ灰が原料の石鹸となるが、日本に伝わるまでに700年以上経過しているので、作られた当時のものそのままという可能性は低い。
なお、日本に伝来した当時は洗濯や洗体ではなく薬として用いられていたようで、洗濯等にはサイカチやムクロジを利用していたようである。
- 回答プロセス
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資料1 『昔の道具』 工藤 員功/監修 ポプラ社
p.53 「よごれ落としに使ったもの」
・洗濯せっけんは、明治時代のなかごろから家庭で使われだしました。それまでは、しみなどのよごれには、
乾燥させたサイカチのさやや実、ムクロジの果皮などを煎じた汁、米のとぎ汁、灰汁(灰を水につけた上澄み)
などをつけて、手でもみ洗いしていました
→サイカチ、ムクロジの写真あり
資料2 『昔のくらしの道具事典』 小林 克/監修 岩崎書店
p.70 「石けんの代わりにつかったもの」
・石けんのない時代には、灰汁、サイカチやムクロジの皮を煮出した汁、米のとぎ汁、
豆腐を作るときに出る汁などが洗剤として使われていました
→サイカチの実と灰汁作りの容器のイラストあり
資料3 『石けんのひみつ』 宮原 美香/漫画 学研プラス出版プラス事業部出版コミュニケーション室
p.78 石けんの始まりとして、古代ローマ時代、焼いた動物の脂がしたたり落ちて木の灰と反応し自然に石けんができたとの説明
p.88-89 「石けんの歴史」
・紀元前3000年ごろ、動物の肉を焼いた脂と灰から石けんができた
・西暦800年ごろ、フランスのマルセイユやイタリアのサボナで本格的な石けんづくりが手工業として発展
オリーブ油と、海藻を焼いてできたソーダ灰が原料
・日本に石けんが伝わったのは1543年の鉄砲伝来より後。ただし大名などの一部の人しか手にできなかった
・1800年ごろにフランスやベルギーで石けん製造の工業化
・1873年に日本で初めて石けんが作られる
資料4 『せんたくのはなし』 津田 妍子/著 さ・え・ら書房
p.36 「11. 日本のせっけん」
・1543年ごろから日本にシャボンとよばれるせっけんが入ってくるが、たいへん貴重品で
大名などごく一部の人々にしか手に入らなかった。
・洗濯や洗体にはほとんど使われず、便秘の薬として使われたりしていた
・多くの人は、洗濯に灰汁やサイカチ、ムクロジ、トチの実などを使い、洗体にはアズキの粉や米ぬかなどを使っていた
・「せっけん」という言葉は、もともと中国の薬の本に出ていた言葉で
「草の灰の汁と小麦粉をこねて固めたものをせっけんといい、洗濯や、まんじゅうのふくらし粉として使う」
と書かれている。
このせっけんは、ヨーロッパのあぶらとアルカリで作るせっけんとはまったく違うものだが
両方とも汚れを落とし、あぶらをとかす働きがあるということで、いつのまにかシャボンのことをせっけんというようになった
・日本にヨーロッパのせっけんがたくさん入ってくるようになったのは江戸時代の末になってからで
このころからようやく一部の人が洗体にせっけんを使い始めた
- 事前調査事項
- NDC
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- 油脂類 (576 9版)
- 参考資料
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- 『昔の道具』 工藤 員功/監修 ポプラ社 (p.53)
- 『昔のくらしの道具事典』 小林 克/監修 岩崎書店 (p.70)
- 『石けんのひみつ』 宮原 美香/漫画 学研プラス出版プラス事業部出版コミュニケーション室 (p.77-83, 88-89)
- 『せんたくのはなし』 津田 妍子/著 さ・え・ら書房 (p.36-37)
- キーワード
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- 石鹸(せっけん)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000288402