レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年02月06日
- 登録日時
- 2015/12/20 11:22
- 更新日時
- 2015/12/20 15:03
- 管理番号
- 千県中千葉-2015-22
- 質問
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解決
江戸時代の千葉県の人口
1703年元禄地震の千葉県内での死者数について調べている。史料には房総で10万人が亡くなったという記述があるが、果たして房総でそれだけの人口がいたのか。そこで地震が起きた1703年頃の千葉県の人口を調べたい。江戸時代の千葉県域での人口の調べ方を教えてほしい。
- 回答
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【資料1】『国勢調査以前日本人口統計集 別巻1』p2-10「江戸時代全国国別人口表」には、享保6 (1721) 年から明治5 (1872) 年の国別の人口表が掲載されています。
この資料による千葉県域の人口を見ると、1703年に最も近い年代である享保6(1721)年の上総・下総・安房の合計人口は1,065,792人です。
この資料の「注」には出典資料として次の資料が掲載されています。
・関山直太朗『近世日本の人口構造』(吉川弘文館 1958 p137-139)
・高橋梵仙『日本人口史之研究』(日本学術振興会 1971 p107-149)
・南和男『幕末江戸社会の研究』(吉川弘文館 1978 p166-178)
・南和男「寛政四年の諸国人口について」(『日本歴史』432号 1984 p42-47)
・「日本全国戸籍表」(速水融監修『国勢調査以前日本人口統計集成1』東洋書林 1992所収)
【資料2】【資料1】は国際日本文化研究センター紀要『日本研究 第9集』から速水融著「明治前期人口統計史年表 附幕府国別人口表」p135-164を転載したものですが、末ページの「註」には論文作成のための出典資料に関する詳しい記載があるので確認してください。
国際日本文化研究センターのデータベース検索画面のキーワードに「明治前期人口」とし検索をかけてください。この資料は国際日本文化研究センターのデータベースで閲覧することができます。http://202.231.40.34/jpub/pdf/js/IN0906.pdf
【資料3】浜野潔著「江戸時代の人口統計史料 ミクロとマクロの視点から」(『統計64巻1号』(日本統計協会 2013.1))では、江戸時代の人口について、マクロレベルの数値が得られるものとして幕府や諸藩の人口調査が挙げられています。全国レベルの調査は徳川吉宗の命によって享保6年(1703)から行われ、1726年以後は6年ごとに1846(弘化3)年まで続けられたとあります。ただ、欠年があったり、男女合計しか得られない年もあったり、基本的に集計されたのは庶民人口のみで、武士人口は含まれないなどの指摘もしています。
千葉県は小藩が多いため、享保6年調査以前の年代の千葉県域全体の人口を得るのは難しいのではないかと思われます。
元禄地震の被害については、【資料4】『図説千葉県の歴史』p149「元禄の大地震」に、推定の死者数が書かれています。
これによると安房国内湾部から南上総までで3000人、九十九里浜の成東町以南で約3000人の合わせて6000人余りとしています。また、「九十九里北部にはあまり津波の被害はなかったとされているが、一説には木戸村(現光町)から吉崎村(現八日市場市)での間で2000人の死者が出たとの説もある」とも書かれています。
【資料4】の死者数は、当時の老中柳沢吉保の日記「楽只堂年録(らくしどうねんろく)」に書かれた地震被害(幕府に届出のあった地震被害)に、九十九里浜等に残る津波供養碑等の数字を加えて算出されています。
【資料5】『房総災害史』p38表3には、元禄地震全体の死者数は「約6000人(『楽只堂年録』による)」と書かれています。
【資料6】『楽只堂年録』このうち「第4 史料纂集 古記録編 自元祿十五年九月至元祿十六年十二月」
には、元禄地震に関する記録があり、【資料3】【資料4】の元禄地震に関するデータの出典でもあります。
【資料7】『楽只堂年録 関東地区災害科学資料センター資料(その14)』この資料は【資料5】の宝永・元禄地震に関する記述をまとめたものです。
(インターネットの最終アクセス:2015年12月18日)
- 回答プロセス
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江戸時代の人口調査に関しては、自館の蔵書検索システムで検索。書名「人口」、全項目「江戸時代」と入力。適していると思われる資料からあたる。さらに「元禄地震」の被害状況を調査。
- 事前調査事項
- NDC
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- 人口.土地.資源 (334 9版)
- 地震学 (453 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『国勢調査以前日本人口統計集 別巻1』(内務省 内閣統計局 編 東洋書林 1993)(2100156868)
- 【資料2】速水融著「明治前期人口統計史年表 附幕府国別人口表」(国際日本文化研究センター紀要『日本研究 第9集』(国際日本文化研究センター 角川書店 1993)(0503137845)
- 【資料3】浜野潔著「江戸時代の人口統計史料 ミクロとマクロの視点から」(『統計 64巻1号』(日本統計協会 2013.1))(1502620190)
- 【資料4】『図説千葉県の歴史』(三浦茂一編 河出書房新社 1989)(9200268313)
- 【資料5】『房総災害史』(千葉県郷土史研究連絡協議会編 千秋社 1984)(9200295867)
- 【資料6】『楽只堂年録 第4 史料纂集 古記録編 自元祿十五年九月至元祿十六年十二月』(柳沢吉保著 宮川 葉子校訂 八木書店古書出版部 2015)(0106482788)
- 【資料7】『楽只堂年録 関東地区災害科学資料センター資料(その14)』(関東地区災害科学資料センター 1981)(0105075105)
- キーワード
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- 千葉県-元禄地震
- 千葉県-人口
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000186053