レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年11月02日
- 登録日時
- 2010/07/28 12:38
- 更新日時
- 2010/08/11 09:01
- 管理番号
- C10-001
- 質問
-
解決
毎日新聞の記事(「記者の目」 記者:元村有希子2009年9月23日)に、明治4年(1871年)刊の『工部省沿革報告』に“技術官僚は事務官僚より地位を低くすべきだ”と記述されていると述べられている。この現物を読みたい。
- 回答
-
『工部省沿革報告』[復刻版](明治前期財政経済史料集成 第17巻)(NCID:BN07960222)の工部本省(p.5-)、p.8に技術官僚の扱い方が記述されている。
また、この『工部省沿革報告』の原本は国立国会図書館近代デジタルライブラリーで公開されており、工部本省p.1-114のp.11に記載されている。
- 回答プロセス
-
①『工部省沿革報告』所蔵調査
本学で所蔵しているか、RUNNERS(本学OPAC)を検索。
本学で所蔵の明治前期財政経済史料集成;第17巻「工部省沿革報告」は復刻版であり、
書誌事項からは何年に発行されてものかがわからなかったため、現物を確認。
すると、解題のページに「『工部省沿革報告』は明治二十一年八月に編纂され、翌二十二年四月に至つて刊行された。」とある。
記事では明治4年とあったが、NDLのOPACでも同じく明治22年4月出版となっているので、この資料であると思われる。
②掲載箇所の確認
典拠となる新聞記事に出典が明記されておらず、この工部省沿革報告のどの辺りに「技術官僚は事務官僚より地位を低くすべきだ」と
書かれているのかが不明。「記者の目」の下に問い合わせ先としてメールアドレスが記載されているが、うまくメールが送れないとも仰っていた。
最新の「記者の目」に記載されているメールアドレスを再度確認して、あわせてお知らせ。
著者(元村有希子氏)か毎日新聞へ問い合わせてはどうかとご連絡。
後日、依頼者から直接、著者へ問い合わせされたところ、著者は大淀昇一著『技術官僚の政治参画』中公新書のp.26を引用されたことが判明。
この情報からこちらで現物を確認したところ、確かに該当ページに記述があるが、この文献でも具体的に「工部省沿革報告」の
どの箇所を引用されたのかが記されていない。こうなったら、手元にある復刻版に直接当たるしかない。
大淀氏の文献には引用された原文そのものが記載されており、その部分には工部各科の事業を管理するのは学識に富んだ者が必要で、
技術家をその位置に置くには卑しいと書かれており、給与にも言及している。
『工部省沿革報告』の復刻版を確認すると、復刻版p.5~の「工部本省」のp.8-9に“工部省各科工術等級月給表”が掲載されているので、
この付近の文章ではないかと読んだところ、p.8に引用された原文を発見。
原本は国会図書館の近代デジタルライブラリーで公開されているため、そこで原本を確認。
工部本省p.1-114のp.11に記載されていることが判明。
大淀氏の文献には明治初期にはお雇い外国人の技術官僚がおり、給与は高いが地位は低かったことが書かれており、
梅渓昇著『お雇い外国人』からも引用されている。偶然本学で所蔵していたため、内容を確認。
併せてこの文献も紹介。結果、以下3点を貸出された。
①工部省沿革報告(明治前期財政経済史料集成 第17巻)(NCID:BN07960222)
②技術官僚の政治参画/大淀昇一 (ISBN:4121013824)
③お雇い外国人:明治日本の脇役たち/梅渓昇 (NCID:BA80605414)
毎日新聞の記事を書かれた元村氏は大淀氏の文献から引用されたようだが、その出典も明記されていなければ、
大淀氏の文献にも出典が明記されておらず、引用文献に辿り着くのに苦労した。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 行政 (317 9版)
- 参考資料
-
- 工部省沿革報告 復刻版 (明治前期財政経済史料集成 第17巻)(NCID:BN07960222)
- 技術官僚の政治参画/大淀昇一 (ISBN:4121013824)
- お雇い外国人:明治日本の脇役たち/梅渓昇 (NCID:BA80605414)
- キーワード
-
- 官僚
- 技術官僚
- 工部省沿革報告
- 給与
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 教員(非常勤講師)
- 登録番号
- 1000069575