レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/04/16
- 登録日時
- 2022/04/27 00:30
- 更新日時
- 2022/04/27 09:25
- 管理番号
- 所沢新所-2022-001
- 質問
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解決
民謡「関の五本松」について、この民謡が誕生した背景が知りたい。
- 回答
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「関の五本松」の歌詞以外については、下記の資料に記載があります。
〇『日本民謡事典』 長田暁二/編著 全音楽譜出版社 2012年
〇『日本民謡大全集』 石高琴風/編著 共栄書房 1984年
〇『全国 民謡の旅』 木継鳥夫/著 金園社 1981年
〇『民謡のこころ』 竹内勉/著 東研出版 1982年
〇『日本民謡全集 4 』 倉田正邦/[ほか]執筆 雄山閣 1976年
〇『日本民謡選集』 千藤幸蔵/編著 長田暁二/編著 ドレミ楽譜出版社 2001年
〇『日本国語大辞典 2』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2006年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容調査
○『日本民謡事典』 長田暁二/編著 全音楽譜出版社 2012年
p.650~653に「関の五本松」の項目あり。
p.652に「大変色気のあるお座敷唄で、源流は岡山県備前市日生地方の゛力弥節系″の地突唄、杭打唄や香川県多度津町の溜池造りの地固め唄「力弥節」などが、溜池造りの技術を持つ職人とともに美保関町(現・松江市美保関町地区)にも伝えられて「しょこばのお井戸」という土搗唄に改作した。これが変化して花柳界の酒宴の騒ぎ唄「関の五本松」の元唄になったのである。」と成立背景の記述あり。
また、「今から三百年程前の江戸時代、松江藩主松平の殿様は月に一度、海上の守護神、商業神として知られる大国主命の子・事代主命、その母神の三保津姫神を祀る旧国幣中社の美保神社へ巡視を兼ねて定期的に参詣していた。或る時、供の長槍が五本松の一本に突き刺さり、立腹した殿様は「道路が狭いのに、通行の邪魔になるし眺望も遮られる」と、五本の内の一本を伐するよう命じた。吃驚した舟人たちや町人たちは藩主の横暴を悲しんだが、表立った抗議もならず、唯その暴挙が再び起こらない様願う思いが、〽後は伐られぬ夫婦松……の一節に託して無事に残したという伝説が残る。言わば舟人たちのプロテスタント・ソングであり、伐せられた松を惜しむ愛情から歌い始められた唄であるという。」との記述あり。
○『日本民謡大全集』 石高琴風/編著 共栄書房 1984年
p.300に「〔解説〕関の五本松」の項目あり。
「五本松は、付近を航行する船頭にとって目印だったのを、百数十年前、当時の松江藩主が美保神社へ参詣のとき、通行の邪魔になるので、一本切らせたので、それをうたったもの。」との記述あり。
○『全国 民謡の旅』 木継鳥夫/著 金園社 1981年
p.216~217に「美保関 関の五本松」の項目あり。
「かつて美保関神社背後の山頂に五本の松があり、美保関の港に出入りする船の目印になっていた。ところが二百年ほど前、行列の槍に触れたという理由で松江藩主がこれを切り倒させる。まず一本が切られた時、土地の者が残りの四本の助命を願って歌ったのがこの民謡の始まりと伝えられている。藩主は四本は許すが、歌詞の「あとは切られぬ夫婦松」とはその四本を二組の夫婦になぞらえたものである。残った四本は戦後まであったが、台風強風でつぎつぎと倒れ、現在のものは二代目である。」との記述あり。
○『民謡のこころ』 竹内勉/著 東研出版 1982年
p.122~123に「53 関の五本松」の項目あり。
「この唄の源流は、四国は香川県仲多度郡多度津町山階にある三百六十メートルの雨霧山山頂の「焼香場の井戸」を詠った、この辺りの溜池造りの「地固め唄」、通称「リキヤ節」と呼ばれたものである。」と記述あり。
p.123に「その「リキヤ節」を、美保関神社参詣の客あたりが、美保関の花柳界へ持ち込んだのである。ところがそのうちに、だれか機知のきく人が<あとは伐られぬ夫婦松>の歌詞を作ると、夫婦合和の象徴として、愛唱されるようになった。」と成立背景についての記述あり。
○『日本民謡全集 4 』 倉田正邦/[ほか]執筆 雄山閣 1976年
p.169~170に「関の五本松」の項目あり。
「曲題となった関の五本松についての口碑によると、今から二百年ほどの昔、松江の殿さまが美保神社へ参詣する折り、行列の邪魔になるので、五本から四本に切ってしまった。この五本松は、美保港をめざしてくる船に取っては大事な目印になっていたので、これ以上切り倒されないように願ったものだという。」と成立背景の記述あり。
○『日本民謡選集』 千藤幸蔵/編著 長田暁二/編著 ドレミ楽譜出版社 2001年
p.192に「関の五本松」の項目あり。
「元唄は岡山県日生地方の地搗唄、抗打唄である。島根半島の突端、美保ノ関町五本松は舟人に灯台の役割を果たしていたが、美保神社詣りをする松江藩主が行列の邪魔になるとの命令で一本切った。その悲しさを漁師達が唄に託し、〽あとは切られぬ夫婦松……と詠って無事に残したと言う、有名な松の話が唄のテーマとなっている。」との記述あり。
〇『日本国語大辞典 2』 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2006年
p.957に「せきのごほんまつ【関の五本松】」の項目あり。
「出雲地方の民謡。島根半島の突端、美保関港の沖合を通る漁港のよい目標となっていた港口の小山の五本の松が、ある年、領主の美保神社参詣の邪魔になるとその中の一本を家臣に切らせてしまったので、せめて残りの四本二組の夫婦松だけは無事であるようにと、漁師たちが願って歌ったものという。溜地造りの地搗きの唄「しょこばのお井戸」の替え歌。」と記述あり。
2.記載のなかった資料は以下の通り
×『民謡』 竹内勉/著 角川書店 1981年
×『日本の民謡』 竹内勉/著 日本放送出版協会 1973年
×『ご当地ソング、風景百年史』 溝尾良隆/著 原書房 2011年
×『お国めぐり日本民謡全集』 シンコ-・ミュ-ジック 1981年
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 声楽 (767 9版)
- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 日本民謡大全集 石高琴風/編著 共栄書房 1984.2 388.91 4-7634-0104-1
- 全国 民謡の旅 木継鳥夫/著 金園社 1981.7 388.91
- 日本民謡事典 長田暁二/編著 全音楽譜出版社 2012.5 767.51 978-4-11-880231-2
- 民謡のこころ [1集] 竹内勉/著 東研出版 1982.2 388.91
- 日本民謡全集 4 雄山閣 1976 767.51
- 日本民謡選集 千藤幸蔵/編著 ドレミ楽譜出版社 2001.10 911.66 978-4-285-12078-3
- 日本国語大辞典 2 小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2006.2 813.1 4-09-521022-2
- キーワード
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- 島根県
- 関の五本松
- 民謡
- りきや節
- 美保関
- 夫婦松
- 歌詞
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000315458