レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2021/01/27 09:07
- 更新日時
- 2021/05/01 13:55
- 管理番号
- 県立長野-20-091
- 質問
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未解決
満州開拓青年義勇隊訓練本部発行(出版地 新京)の機関紙『開拓青年』に連載された小説『草原の風と雲と』小林國雄・作 太田洋愛・書 の掲載号を探している
- 回答
-
『開拓青年』についての記述と引用した資料は何点か確認したが、『開拓青年』そのものの所蔵館は確認できなかった。
1『ああ満蒙開拓青少年義勇軍』森本繁著 家の光協会 1973【334.4/58】に、『草原の風と雲と』
について3カ所の記載を確認した。
1) 第1章 満蒙開拓青年義勇隊 「八、義勇隊の文芸と漫画」の項、p.191-193
「勇隊の文芸と漫画 東方竜義勇隊書いた管小林国雄君の『草原と風と雲と』が雑誌『開拓青年』
に連載されており-中略-当時、満州開拓青年義勇隊の訓練本部から毎月発行されていた雑誌
『開拓青年』は、これら義勇隊同人たちによって創作される作品の恰好な発表機関でもあった。
前に述べた小林国雄君の『草原の風と雲と』も太田洋愛の挿絵付きで連載されていたものであ
り、-中略-義勇隊員のこうした作品をまとめた単行本をまとめた単行本としては、第一集
『土のうた』があり、第二集『花の曠野(こうや)』および第三集『土のうた』があり、もし戦局
が有利に展開して開拓の仕事が続けられていたならば、第四、第五週に続いて第六集以下も続
刊される予定であった。-後略-」
※第一集『土の歌』満洲開拓青年義勇隊訓練本部 1941【911/3】戦前図書 は当館に所蔵が
ある
また、土のうた第2集『花の曠野(こうや)』 満洲開拓青年義勇隊訓練本部編 1942 の細目
が当館所蔵 『《満州国》文化細目』植民地植民地文化研究会編 不二出版 2005
【025.8/シヨ】 p.760に掲載がある。
2) 第2章 義勇隊開拓団の項に2か所、小説からの引用があった。
p.263-264 小説を引用ののち、「この記録は『草原の風と雲と』という義勇小説に出てくる
東万竜義勇隊開拓団の先遣隊員小林国雄君の手記の一節である。」と補足されている。
『羽賀中隊竜湖青春五十年史』第二次龍湖義勇隊開拓団の記録 小林国雄編 第二次龍湖義勇
隊開拓団 1988【334.4/110】p.251-282に掲載されている当該小説と照らし合わせたところ、
第4回(昭和19年1月号)p.254下段9行目-p.255上段5行目と同じ文章であることを確認した。
3) p.277-278 小説を引用ののち、「(小林国雄『草原の風と雲と』より)」と補足があった。
・p.277の引用部分は、上記資料 第9回(昭和19年6月号)p.274 中段7-11行と同じであること
を確認した。しかし、続く文章は一致していなかった。
・p.278の引用部分は、上記資料と一致する文章を確認できなかった。
2 『満州開拓史』 満州開拓史復刊委員会編 全国拓友協議会 1980 【334.4/78A】
七 満蒙開拓青少年義勇軍 (七)現地訓練所の組織と訓練 (3)訓練生の組織と文化活動
p.291-294 (c) 文化活動 の項に、次の記載を確認した
・「義勇隊本部が確立された(※)9月頃から 中略 この年訓練本部は、9月1日の奥付で、B4版
タブロイド型八頁の旬刊紙『開拓青年』を発行した。」
※p.359(四)基本要綱の具体的展開 (ア)開拓関係諸機関の整備拡充 (a)満州開拓青年
義勇隊訓練本部の新設 の項に「訓練本部は満州開拓政策基本要領十二の(一)の規定
によって、昭和十五年(康徳七年)四月一日に新京に設置せられた」と記載がある。
・「開拓青年」は総務部監理科弘報班の担当する定期刊行物となり徐々にその編集スタッフをオ
ピニオンリーダーとする文化活動への色彩を濃くしてゆく」
・「タブロイド型新聞紙体裁も大体表紙とも48頁前後のB5版型の雑誌となり、発行部数も2万部と
飛躍的に増大し、訓練生5人に一部宛位はゆきわたるという画期的な段階を迎える。-中略-
訓練生にとってはそれが、対世界情勢、対国家社会情勢への窓となり、さらには文学、芸能、
教養、技術等文化一級の媒体となって、訓練生をうるおしていった-後略-」
以上の記述は、昭和16年秋までの内容である。
また、p.294に、
「文学活動では早くから 中略 作家兼評論家福田清人、中略などが、満州開拓政策に関心
を寄せて、作品のテーマに取り上げたり、「開拓青年」に寄稿したりして、開拓文芸の機
運の醸成に大きく力になっていた 後略 」 と記述がある。
3 『満州開拓文学選集』第12巻 西原和海監修 ゆまに書房 2017 【918.6/ニカ/12】
『大陸の青春』福田清人 小学館 1942(昭和17年) 収録
「開拓地の文化問題」の章p.135に「青年義勇隊の訓練所では、プリント刷の雑誌を出しているとこ
ろがある。」という記述があった。
- 回答プロセス
-
『羽賀中隊龍湖青春五十年史 第二次竜湖義勇隊開拓団の記録』小林国雄編
第二次龍湖義勇隊開拓団同志会 1988【334.4/110】p.251-252に作者が自作について語っている
文があり、それによると、
・「発行部数五万部の義勇隊機関紙「開拓青年」」と記載がある。
・当該作品の連載は1934(昭和18・康徳10)年11月号から。
・第1.2.3.5回と11回からあとも欠番。『開拓青年』が何年まで発行されたのかは不明。
・発行は「満州開拓青年義勇隊訓練本部」
1 当館所蔵資料を「満州」「満蒙」「雑誌」「文学」「満州開拓青年義勇隊」のキーワードで検索したと
ころ、以下の資料に『開拓青年』に関する記述と、『草原の風と雲と』からの引用を確認したので紹介した。
・『ああ満蒙開拓青少年義勇軍』
・『満州開拓史』
・『満州開拓文学選集』第12巻
2 インターネット、「国立国会図書館サーチ」「デジタルコレクション」「CiNii」で『開拓青年』『草
原の風と雲と』「小林国雄」を検索するもヒットしなかった。
<調査済資料>
『「満州国」の文学とその周辺』 岡田英樹著 東方出版 2019 【920.27/オヒ】
『満州開拓文学全集』第1巻、10巻15巻17巻18巻 西原和海監修 ゆまに書房 2017 【918.6/ニカ】
『《満州国》文化細目』 植民地文化研究会編 不二出版 2005 【025.8/シヨ】
『満州出版史』 岡村敬二著 吉川弘文館 2012 【023.22/オケ】
『『拓け満蒙』『新満州』『開拓』解説・解題総目次』第4巻 不二出版 1998【334.42/ヒラ】
『満州開拓関係雑誌集成』第11巻 不二出版 2016 【334.42/マン/11】
『満州国出版目録』第3巻 岡村敬二編 解題 金沢文圃閣 2008 【N025/24/3】
『青年義勇隊の話』 満州開拓青年義勇隊訓練本部編 満州事情案内所 1941 【334.4/36】
『大地の余燼【キョウ】訓指訓第四期生記録文集』 満州開拓青年義勇隊
【キョウ】導訓練所満州国立開拓指導員訓練所第四期生会 1992 【334.4/119】
『満蒙開拓青少年義勇軍』 桜本富雄著 青木書店 1987 【3342.44/サト】
『満蒙開拓青少年義勇軍関係資料』 第1巻 白取道博編・解題 不二出版 1993 【334.4/124/1】
- 事前調査事項
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・当時の雑誌のコピーが一部手元にあるというといことで、そのコピー(昭和19年発行 7月号 第10回
掲載)を提供してもらった。雑誌名は義勇隊機関紙『開拓青年』。 奥付によると、印刷所は満州の
新京、発行所は「満州開拓青年義勇隊訓練本部」
・『羽賀中隊 龍湖青春五十年史』p.252-282に『草原の風と雲と』の一部が掲載されていると示唆
あり。
- NDC
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- 人口.土地.資源 (334)
- 参考資料
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- 『羽賀中隊龍湖青春五十年史 第二次竜湖義勇隊開拓団の記録』小林国雄編 第二次龍湖義勇隊開拓団同志会 1988 【334.4/110】
- 『ああ満蒙開拓青少年義勇軍』森本繁著 家の光協会 1973【334.4/58】
- 『満州開拓史』満州開拓史復刊委員会編. 全国拓友協議会, 1980. 【334.4/78A】
- キーワード
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- 満州開拓青年義勇隊訓練本部
- 満州
- 満蒙
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000292972