レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年08月05日
- 登録日時
- 2014/11/07 17:25
- 更新日時
- 2015/01/06 10:41
- 管理番号
- 埼浦-2014-048
- 質問
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未解決
「小学校卒業生台帳」の法的根拠を知りたい。埼玉県は明治29年からずっと保存されているが、子母沢寛が厚田小を明治36年に卒業したことを確認しようとしたら、台帳がなくて確認できなかった。北海道石狩は明治45年からしか残っていない。
- 回答
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明治期の小学校に関する法令を調査したが、卒業生の台帳に関する規定は見つからなかった。
現在では、学校に備えなければならない表簿と保存期間は学校教育法施行規則第28条に定められているが、卒業生の台帳については、直接の規定はなし。地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条1項により、学校の管理運営の基本事項について必要な事項として、各自治体(市町村)の教育委員会が学校管理規則で定めているようである。従って台帳の名称についても統一されておらず、規則ごとに規定されることになる。
- 回答プロセス
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『教育法規大辞典』(菱村幸彦、下村哲夫編 エムティ出版 1994)
p860「法定表簿」の項に「学校に備えなければならない表簿と保存期間は学校教育法に定められており、法的表簿は学校組織として備えつけを義務づけられた表簿諸表である。(中略)教育委員会は学校管理規則による法定表簿の補充を定めている。東京都の学校管理規則第27条では、学校備付表簿は学校教育法施規第15条に規定するもののほか、①学校沿革史、②卒業証書授与台帳、(中略)表簿の保存年限は①~⑤までは永年(中略)と定めている。」とあり。
p97に「学校管理規則」の解説に、「教育委員会は、法令または条例に違反しない限度において、その所管に属する学校の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取り扱い、その他学校の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとされ(地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条①)、これらの事項を内容とした教育委員会規則を学校管理規則という。これとともに都道府県教育委員会は、教育の水準の維持向上のため、市町村教育委員会の所管する学校の組織編制、教育課程、教材の取り扱いその他の管理運営の基本的事項について、教育委員会規則で必要な基準を設けることができることになっている。これが都道府県教育委員会の学校管理規則基準制定権と呼ばれるものである。通常、各市町村教育委員会は、当該都道府県教育委員会の基準規則に沿って学校管理規則を制定している。」とあり。
p656「卒業証書授与台帳」の項の解説には、「校長が卒業を認定した者に授与する卒業証書の台帳は、学籍管理の重要な台帳として開校以来の児童・生徒・学生の名前と卒業者数を正確に記録し永年保存をしなければならない(学校管理規則の備付表簿である。)」とあり。
『解説教育六法 平成25年版』(解説教育六法編修委員会編 三省堂 2013)
p502「地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条①」
「教育委員会は、法令または条例に違反しない限度において、その所管に属する学校の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取り扱い、その他学校の管理運営の基本事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする。」
『日本近代教育史事典』(日本近代教育史事典編集委員会編 平凡社 1971)
p85 明治期の小学校の法制について解説あり。教育令(明治12年)-小学校令(明治19年)-新小学校令(明治23年)の概要について記述あり。
『新学校用語辞典』(牧昌見編 ぎょうせい 1993)
p449「公簿」の項に以下の記述あり。「学校は公の施設であり、その目的達成のため、運営上必要な表簿を備え、その保管を適切に行うことが、国の法令や教育委員会の条例などで定められている。(中略)学校沿革史、進退関係、給与関係、卒業生台帳などその数は多く、それぞれ保存年数も定められている。」
p765「卒業認定」の項に以下の記述あり。「卒業を認定した者については、校長は卒業証書を授与しなければならない(学校教育法施行規則28・55・65)。」
*現在の学校教育法施行規則は上記『新学校用語辞典』刊行時から改正されている。第28条・55条・65条は、現行の第58条・79条・104条にあたる。
『新学校用語辞典』刊行時の第28条・55条・65条(『解説教育六法 平成5年版』(解説教育六法編修委員会編 三省堂 1993)より)
「(卒業証書の授与)第二十八条 校長は、小学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない。
(準用規定)第五十五条 (略)第二十六条から第二十八条まで(中略)の規定は、中学校に、これを準用する。
(準用規定)第六十五条 (略)第二十六条から第二十八条まで(中略)の規定は、高等学校に、これを準用する。」
現行は(『解説教育六法 平成25年版』(解説教育六法編修委員会編 三省堂 2013)p226より)
「(卒業証書の授与)第五十八条 校長は、小学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない。
(準用規定)第七十九条 (略)第五十四条から第六十八条までの規定は、中学校に準用する。
(準用規定)第百四条 (略)第五十七条から第七十一条まで(第六十九条を除く。)の規定は、高等学校に準用する。」
- 事前調査事項
- NDC
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- 民法.民事法 (324 9版)
- 学校経営.管理.学校保健 (374 9版)
- 参考資料
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- 『教育法規大辞典』(菱村幸彦、下村哲夫編 エムティ出版 1994)
- 『解説教育六法 平成25年版』(解説教育六法編修委員会編 三省堂 2013)
- 『日本近代教育史事典』(日本近代教育史事典編集委員会編 平凡社 1971)
- 『新学校用語辞典』(牧昌見編 ぎょうせい 1993.12)
- 『解説教育六法 平成5年版』(解説教育六法編修委員会編 三省堂 1993)
- キーワード
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- 学校管理
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000161900