レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20160601
- 登録日時
- 2016/11/04 00:30
- 更新日時
- 2016/11/04 09:25
- 管理番号
- 0000109961
- 質問
-
解決
明治期に山口県内に存在していた郡役所の写真、または建物に関する記述が掲載されている資料。
- 回答
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『山口県史 史料編 近代1、2』(下記回答資料1、2)に郡制に関する史料とその解説が掲載されている。
史料九七『郡区役所設置箇所公示(明12・1・6)』によると、山口県内の郡区役所は下記のとおり12ヶ所に設置されていた。
(1)大島郡(おおしまぐん):久賀村・東屋代村
(2)玖珂郡(くがぐん):岩国町
(3)熊毛郡(くまげぐん):室積浦
(4)都濃郡(つのぐん):徳山
(5)佐波郡(さばぐん):三田尻村
(6)吉敷郡(よしきぐん):山口
(7)厚狭郡(あさぐん):船木村
(8)豊浦郡(とようらぐん):豊浦
(9)美祢郡(みねぐん):大田村
(10)大津郡(おおつぐん):正明市
(11)阿武郡・見島郡(あぶぐん・みしまぐん):萩
(12)赤間関区(あかまがせきく):赤間関
(公示には番号と振り仮名の記載は無し)
他に郡制に関する資料として『山口県文書館蔵 行政文書目録5』(回答資料3)があり、郡役所文書の目録の他、下記の郡役所の写真が掲載されている。
p.78 写真タイトル「阿武郡役所」「厚狭郡役所」
p.132 写真タイトル「大島郡役所」「都濃郡役所」
p.140 写真タイトル「都濃郡役所事務室」「都濃郡役所書庫」
上記を参考に、写真集および自治体史を中心に調査したところ、下記の資料に写真または関連する記述があった。
(写真については、特に注記が無い限りは外観のみで白黒。)
(1)大島郡 下記回答資料4~6に写真が掲載されている。
・回答資料4
p.45 写真タイトル「大島郡役所」「屋代にあった頃の郡役所」「大島町屋代の郡役所跡に建つ石碑」
同ページの解説に、久賀村にあった代官所が幕末に焼失したため屋代村に移転、明治になり郡役所に変わったが、明治29年に再び久賀に移転した、とある。
・回答資料5
口絵 写真タイトル「元大島郡役所当寺屋代村役場」「久賀町 大島郡役所」
・回答資料6
p.17 写真タイトル「屋代村役場(大島町屋代・大正9年頃)」「大島郡役所(久賀町・大正9年頃)」
「屋代村役場」の写真に、郡役所が久賀へ移転した後は、大島商船学校校舎、屋代村役場として利用された、と解説がある。
(2)玖珂郡役所 下記回答資料6~8に写真が掲載されている。
・回答資料6
p. 写真タイトル「玖珂郡役所と岩国警察署(岩国市岩国2丁目・大正中頃)」
旧四大区会議所跡に建てられた玖珂郡役所は明治14年6月4日に開庁した、と解説がある。
・回答資料7
p.46 写真タイトル「旧玖珂郡役所(右端)」
明治12年2月に錦見土手町に仮庁舎を設け、13年5月には錦見村字2丁目に実測反別672坪余の地所を求めて庁舎の建築に着手し、翌14年5月完工、6月4日開庁式を挙行した、との記述がある。
・回答資料8
p.56-57 写真タイトル「80 玖珂郡役所」
(3)熊毛郡役所 写真が掲載されている資料はないが、下記回答資料9~11に建物についての記述がある。
・回答資料9
p.446 解説「明治二十二年時点での熊毛郡役所は、敷地三反四畝、総建坪一九五坪、木造二階建て瓦葺き、室積村に明治十二年に建築されたものである。」とある。
・回答資料10
p.542に「熊毛郡の郡役所は宮ノ浦の庁舎をそのまま使用した。」とある。
また、p.922-924に明治36年、熊毛郡役所を室積村から平生町に移転し、その跡地に元郡役所の庁舎を仮校舎として県立工業学校を設立した、という旨の記述と共に「県立工業学校(山口県文書館提供)」というタイトルの写真が掲載されているが、元郡役所の仮校舎を撮影したものかそうでないかは明記されていない。
・回答資料11
p.848-849に熊毛郡役所が室積村から平生町に移転した経緯について記述があり、「新しい郡役所は、明治三十六年十月、平生町が町内大字平生町字東浜の畑二反を敷地として寄付し、そこに建てられることになった。」とある。
(4)都濃郡役所 下記回答資料12~13に写真と解説がある。
・回答資料12
p.68 写真タイトル「都濃郡役所」「都濃郡役所事務室」、図タイトル「官庁位置図」
・回答資料13
p.14 写真タイトル「写真1 都濃郡役所記録書庫の一部」
p.15 写真タイトル「写真3 都濃郡役所の全景」
山口県文書館に保存されている役所文書から所在地や間取りについて解説している。
(5)佐波郡役所 写真は発見できなかったが、図と解説が掲載されている資料があった。
・回答資料14
p.47 図タイトル「佐波郡役所縮図」
p.48 解説「役所は旧藩時代の三田尻勘場(現華浦学習等供用会館)を流用し、明治七年八月に役所を新築した。明治十八年八月、集会所ならびに倉庫が新築された。」とある。
(6)吉敷郡役所 下記回答資料15~16に写真と関連する記述が掲載されている。
・回答資料15
p.32 写真タイトル「39 吉敷郡役所」
「山口町新道にあった大正初年頃の、吉敷郡役所の風景。この地に昭和二十五年に、山口市役所が新築された。現在山口郵便局の敷地となっている」とある。
・回答資料16
p.70に「(67)徳山毛利屋敷 新道に在り。地積は約三反歩にして、舊建物は、多年吉敷郡役所として使用せられたれども、郡制廃止後不用に属し、今は山口市の所有地に属せり。」とある。
(7)厚狭郡役所 回答資料17~18に写真と関連する記述がある。
・回答資料17
p.52 写真タイトル「74 明治末年の郡会」、「75 厚狭郡役所」
「大正十五年三月廃庁前に撮影した厚狭郡役所。明治十五年旧代官所の火災後、その跡地に翌十六年新築された。廃庁後船木実科高等女学校講堂、藤崎外科病院分院、船木町公会堂、船木町役場、楠町役場、青物市場を変遷の後、昭和四八年中央公民館の建設に伴い、ついに解体された。」との記述がある。
・回答資料18
同役場に勤務していた職員が当時を回想したもので、郡役所の建築経緯や内部の間取りについて記述がある。
(8)豊浦郡役所
・回答資料19
p.5 写真タイトル「豊浦郡役所」
「明治二十三年ころから、大正十五年ころまで長府侍町にあった。」との解説がある。
(9)美祢郡役所 写真が掲載されている資料はないが、下記回答資料20~21に建物についての記述がある。
・回答資料20
p.336 解説「美祢郡役所(字清水第六二二二)の建物は敷地二反四畝、総建坪二四三坪あり、日本形木造平屋建瓦葺きであった。」とある。
・回答資料21
p.422 図タイトル「美祢郡役所平面図(山口県文書館蔵を基に製図)(明治19年頃)」
p.402 解説「明治廿四年七月改正図(百分の一)もあるが、それには本衙新築年月、明治九年八月、会議所は明治十九年八月、記録庫は明治二十三年一月とある。」とある。
(10)大津郡役所
・回答資料22
p.28 写真タイトル「大津郡役所」
「明治12年(1879)、正明市(現在の市役所の地)に郡役所が設けられた。大正15年(1926)郡役所廃止。昭和17年(1942)大津地方事務所開設、昭和30年(1955)廃止。昭和37年(1962)、跡地に長門市役所が建築された。」とある。
(11)阿武郡役所
・回答資料23
p.200 写真タイトル「阿武郡役所」
p.27 図タイトル「阿武見島郡役所建物配置図」
p.26 解説「江向八丁の旧勘場約二反歩の敷地内にあった第20大区の扱所のものを利用した。事務所は明治九年、萩の乱の際に焼失したが、十年八月に戸長集会所・掲示板とともに新築し、受付所・応接室は十二年六月、食堂は十三年六月、宿直室は十五年十二月に新築され、当島勘場時代のものは土蔵だけとなった。」とある。
また、「阿武郡」と「阿武見島郡」の名称については同資料に、明治12年の郡役所設置の際、元来からある12郡の内見島郡と阿武郡を合わせて見島阿武郡とし、明治29年に見島郡が阿武郡に合併されるまでその名称を使用したとの説明がある。
なお、赤間関区については、回答資料24によると、豊浦郡のうち赤間関一帯は赤間関区として赤間関町に区役所がおかれたとの記述があるが、写真が掲載された資料は発見できなかった。
- 回答プロセス
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1.郡役所の名称と位置を確認
2.県内の明治~大正の写真を収めた写真集を確認
3.市町村史を確認
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国地方 (217 9版)
- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 参考資料
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1 『山口県史 史料編 近代1』山口県∥編 山口県 2000
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002886075-00 (当館請求記号 Y211/M 6) -
2 『山口県史 史料編 近代2』山口県∥編 山口県 2010
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010957793-00 (当館請求記号 Y211/M 6) -
3 『山口県文書館蔵 行政文書目録5』山口県文書館∥編集 山口県文書館 2006 p.78,132,140
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008271684-00 (当館請求記号 Y317/K 9) -
4 『写真でみる久賀町』久賀町役場∥編 久賀町役場 1994 p.45
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060570524-00 (当館請求記号 Y231.2/M 4) -
5 『大島郡案内』小川道助∥編 藤谷佐太郎 1908 口絵
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060490058-00 (当館請求記号 Y231/D 8) -
6 『目で見る岩国・柳井の100年』福本幸夫,宮田伊津美∥監修 郷土出版社 1998 p.17
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002702963-00 , ISBN 4-87670-108-3 (当館請求記号 Y233/M 8) -
7 『岩国市史 下』岩国市史編纂委員会∥編 岩国市 1971 p.12,46-47
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001228084-00 (当館請求記号 Y233/K 0) -
8 『写真集明治大正昭和岩国:ふるさとの想い出49』大岡昇∥編 国書刊行会 1979 p.56-57
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001413624-00 (当館請求記号 Y233/K 9) -
9 『熊毛町史』熊毛町史編纂委員会∥[編集] 熊毛町 1992 p.446
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002188681-00 (当館請求記号 Y233/K 9) -
10 『光市史』光市史編纂委員会∥編 光市 1975 p.542,547,922-924
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001223602-00 (当館請求記号 Y236/K 5) -
11 『平生町史』平生町∥[編] 平生町役場 1978 p.848-849
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001375515-00 (当館請求記号 Y235.4/K 8) -
12 『目でみる徳山の歴史 改訂版』「目でみる徳山の歴史」改訂版出版実行委員会∥ [編] 「目でみる徳山の歴史」改訂版出版実行委員会 2012 p.68
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060769385-00 (当館請求記号 Y243/P 2) - 13 『都濃郡役所について -戸田剱持家文書を史料として-』(佐伯隆著)徳山地方郷土史研究会 徳山地方郷土史研究 通巻29号 p.11-20 (当館請求記号 Y243.3/K 9)
-
14 『防府市史 通史 3(近代・現代)』防府市史編纂委員会∥編 防府市 1998 p.47-48
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002715191-00 (当館請求記号 Y245/M 2) -
15 『写真集明治大正昭和山口:ふるさとの想い出82』内田伸∥編 国書刊行会 1979 p.32
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001433315-00 (当館請求記号 Y247/K 9) -
16 『皇政復古七十年記念山口史蹟概覧』作間久吉∥[編] 山口市役所 1936 p.70
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000653546-00 (当館請求記号 Y247/G 6) -
17 『写真集明治大正昭和小野田:ふるさとの想い出81』高橋政清∥編 国書刊行会 1979 p.52
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001426791-00 (当館請求記号 Y263/K 9) - 18 『回想「厚狭郡役所」あれこれ』(河口勇著)楠町文化協会 くすのき文化 第42・43合併号 p.3-5 (当館請求記号 Y261.1/J 9)
-
19 『下関市史 別巻(しものせきなつかしの写真集)』下関市市史編修委員会∥編修 下関市 1995 p.5
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002457938-00 (当館請求記号 Y267/L 3) -
20 『美東町史 通史編(改訂版)』美東町史編さん委員会∥編 美東町 2004 p.336
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007902424-00 (当館請求記号 Y264.1/N 4) -
21 『美東町史 資料編(改訂版)』美東町史編さん委員会∥編 美東町 2004 p.402,422
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007902409-00 (当館請求記号 Y264.1/N 4) -
22 『ふるさと長門:明治・大正・昭和写真集』長門市郷土文化研究会∥編 長門市郷土文化研究会 1991 p.28
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060507982-00 (当館請求記号 Y272/M 1) -
23 『萩市史 第2巻』萩市史編纂委員会∥編 萩市 1989 p.26-27,198-200
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001982030-00 (当館請求記号 Y274/L 3) -
24『山口県政史 上巻』山口県文書館∥編 山口県文書館 1971 p.111
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I003824458-00 (当館請求記号 Y210/K 1)
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1 『山口県史 史料編 近代1』山口県∥編 山口県 2000
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- 郡役所
- 写真
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- 寄与者
- 備考
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- 事実調査 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000199139