レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/10/26
- 登録日時
- 2020/03/04 00:30
- 更新日時
- 2020/03/04 10:20
- 管理番号
- 所沢柳瀬-2019-011
- 質問
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解決
大晦日に家の前を籠を担いだ行列が通る。その行列の籠の中に乗っている殿様を叩くと殿様が金の小判になるという日本の昔話のタイトルを知りたい。
- 回答
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質問の昔話のタイトルは「貧乏神」かと思われます。
以下の資料に記載があります。
〇『日本昔話事典』 稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994年
〇『子どもに語る日本の昔話 2』 稲田和子/著 筒井悦子/著 こぐま社 1995年
〇『ガイドブック日本の民話』 日本民話の会/編 講談社 1991年
〇『わらしべ長者』 木下順二/作 赤羽末吉/画 岩波書店 2000年
〇『一寸法師・さるかに合戦・浦島太郎』 関敬吾/編 岩波書店 2002年
〇『日本昔話百選』 稲田浩二/編著 稲田和子/編著 三省堂 2003年
〇『日本昔話大成 5』 関敬吾/著 角川書店 1978年
〇『讃岐の民話』 武田明/編 未来社 1978年
〇『木下順二集 11』 木下順二/著 岩波書店 1988年
- 回答プロセス
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1 所蔵資料の内容確認
「大晦日」「昔話」等をキーワードに検索。
〇『日本昔話事典』 稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994年
p793 「びんぼうがみ 貧乏神」の項目あり。
「この話には2類型がある。第1型は貧乏で怠け者の夫婦が家出をしようとする。貧乏神が一緒についていくというので家出を止め、懸命に働くので貧乏神が退散するという話。第2型は貧乏な怠け者が金持ちになりたいと嘆く。貧乏神が出てきて、金持ちになる方法を教える。成功して金持ちになる。あるいは失敗してもとの貧乏になるという話。(中略)第2型の例は、「大歳の客」型で、正月に餅もつけないと嘆くと貧乏神が出てきて、大歳の夜に殿様の駕籠になぐりこめといわれて実行するが失敗し、元日にまたなぐりこむと小判が落ちてきて金持ちになる。あるいはなぐりこみに気遅れがしてチャンスを逃し、びた銭や貧乏神をつかみ、またもとの貧乏にもどるという結末になっていて、おかし味を伴う。(以下省略)」と記載あり。
〇『子どもに語る日本の昔話 2』 稲田和子/著 筒井悦子/著 こぐま社 1995年
p162-166 「貧乏神」の項目に香川県の話の記載あり。
〇『ガイドブック日本の民話』 日本民話の会/編 講談社 1991年
p180-181 「貧乏神」の項目あり。
「(前略) 貧乏神の登場する話に、もう一つ「大歳の客」と言われる型に属するものがあります。 大歳の晩に、男が床板をはがして火にくべてあたっていると、ぼろを着た白髪の貧乏神が出てきて、男に酒を買ってこさせていっしょに飲みながらこんなことを言います。「今晩、殿様の駕籠が通るから、その駕籠めがけてななぐりこめ。それよりほかに、おまえが金持ちになる方法はない」 (中略) これは香川県で記録された話ですが、(中略) この話では貧乏神は歳神の役割をになっています。(以下省略)」との記載あり。
〇『わらしべ長者』 木下順二/作 赤羽末吉/画 岩波書店 2000年
p241-246 「びんぼうがみ」の項目の「びんぼうがみが、うちから出て行ったり、もどってきたりして、そして出て行ったはなし」に記載あり。
〇『一寸法師・さるかに合戦・浦島太郎』 関敬吾/編 岩波書店 2002年
p50-52 「貧乏神」(香川県仲多度郡)の項目に記載あり。
〇『日本昔話百選』 稲田浩二/編著 稲田和子/編著 三省堂 2003年
p384-386 「貧乏神」(香川県仲多度郡志々島)の項目に記載あり。
〇『日本昔話大成 5』 関敬吾/著 角川書店 1978年
p43-45 「年の晩としゃぐまの老人」(貧乏神)の項目に香川県仲多度郡佐柳島の話の記載あり。
〇『讃岐の民話』 武田明/編 未来社 1978年
p152-155 「年の晩としゃぐま(おんぼろ髪)のじいさん」の項目に「讃岐佐柳志々島昔話集」の話の記載あり。
〇『木下順二集 11』 木下順二/著 岩波書店 1988年
p109-113 「『わらしべ長者』から(びんぼうがみ)」の項目の「びんぼうがみが、うちから出て行ったり、もどってきたりして、そして出て行ったはなし」に記載あり。
△『日本昔話通観 28』(昔話タイプ・インデックス) 同崩舎出版 1988年
p255 「58 大みそかの金馬」に類似の内容の記載あり。
「①貧しい男のもとに貧乏神が現れて世話になったお礼を言い、大みそかの夜表を通る金と銀と銅との馬に乗る侍の、どれでも突き倒したものを与える、と告げる②その夜威風堂々と金の馬が来るが男はやり過ごし、つぎの銀の馬もやり過ごす。③最後にたどたどしく来る銅の馬に体当たりすると、わずかな銅銭が手に入る。(以下省略)」
p256 「59A 貧乏神-何が嫌い型」、「59B 貧乏神―大食い型」のタイプの記載があるが、内容は該当せず。
△『日本昔話通観 21』(徳島 香川) 同崩舎出版 1978年
p207 「88 大歳の金神」の「類話」として以下の記載あり。
「類話2」 夢の中で、殿様の行列が通るから殿様を叩けばたくさんお金が出ると教えられる。貧乏人は出かけるが、殿様を叩くことができないで、一番あとのぞうり持ちをたたくとお金になるという内容の記載あり。
「類話3」 歳の晩に通る駕籠の中へなぐりこめと貧乏神に言われ、あやまって先ぶれをなぐったら銅貨がでた。もう一度機会を与えられ、駕籠をなぐったら駕籠の中から一分や小判がたくさんでてきたという内容の昔話の記載あり。
「類話4」 貧乏な男が殿様の行列が通るから、棒で殿様のおかごめがけて叩きこめと貧乏そうな年寄りに言われたが、恐ろしくて挾箱(きょうばこ)を担いだ衆に叩きこむと大きな千両箱だったという内容の記載あり。
△『日本昔話ハンドブック』 稲田浩二/編 稲田和子/編 三省堂 2010年
p91-92 「大みそかの金馬」の項目の[あらすじ]に「貧しい男のもとに貧乏神が現れて、これまで世話になった礼として、大みそかの夜に表を通る金、銀、銅の馬に乗った侍の、どれでも突き落としたものを与える、と告げる。(以下省略)」という内容の記載あり。
2 記載のなかった資料
×『読んであげたいおはなし 下』 松谷みよ子/著 筑摩書房 2011年
p263-268 「貧乏神」の項目に年越しの晩、馬に乗った銭神様にとびつくはずが貧乏神にとびついたという内容の昔話の記載あり。
×『日本のむかし話 8』 坪田譲治/[編]著 偕成社 2008年
p66-71 「貧乏神」の項目に金を背中に一貫積んだ馬を棒でなぐると金一貫目が手に入るはずが、馬がはやすぎて、貧乏神をなぐったという内容の昔話の記載あり。
×『日本の昔話 5』 おざわとしお/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1995年
p226-231 「貧乏神」の項目にそうじをしてきれいになった家から出ていく貧乏神の昔話の記載あり。
×『新しい日本の語り 5』 日本民話の会/編 悠書館 2013年
p26-29 「貧乏神」の項目に福の神になった貧乏神の昔話の記載あり。
×『笠地蔵』 小澤俊夫/監修 小澤昔ばなし大学再話研究会/再話 太田大八/絵 小峰書店 2011年
p66-67 「貧乏神」の項目に節分の晩、金を一貫積んだ馬を打ちたおしたら金が一貫手に入るはずが、馬がはやすぎて貧乏神をなぐったという内容の昔話の記載あり。
×『子どもに聞かせる日本の民話』 大川悦生/著 関口コオ/きり絵 実業之日本社 1998年
p90-94 「びんぼう神と福の神」の項目に福の神になった貧乏神の昔話の記載あり。
×『茨城の民話 第2集』 日向野徳久/編 未来社 2017年
p93-96 「貧乏神と黄金」の項目に住みついていた貧乏神に山へ行けと言われて待っていると、やってきた馬の馬糞を持って帰ると黄金だったという昔話の記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 日本昔話事典 稲田浩二/[ほか]編集 弘文堂 1994.6 388.1 4-335-57049-X
- 子どもに語る日本の昔話 2 稲田和子/著 こぐま社 1995.12 913.6 4-7721-9021-X
- ガイドブック日本の民話 日本民話の会/編 講談社 1991.11 388.1 4-06-204595-8
- わらしべ長者 木下順二/作 岩波書店 2000.8 913.6 4-00-114057-8
- 一寸法師・さるかに合戦・浦島太郎 関敬吾/編 岩波書店 2002.5 388.1 4-00-007210-2
- 日本昔話百選 稲田浩二/編著 三省堂 2003.7 388.1 4-385-36151-7
- 日本昔話大成 5 関敬吾/[著] 角川書店 1978.9 388.1
- 讃岐の民話 武田明/編 未来社 1978 388.182
- 木下順二集 11 木下順二/著 岩波書店 1988.12 918.68 4-00-091361-1
- キーワード
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- 大晦日
- 昔話
- 貧乏神
- 殿様
- 籠
- 小判
- 香川県
- 大歳の客
- 大みそかの金馬
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000275145