レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20190619
- 登録日時
- 2020/04/01 00:30
- 更新日時
- 2020/04/01 00:30
- 管理番号
- 福参-1139
- 質問
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解決
寺院は、檀家でない者の埋葬を拒否することができるのか。
この件に関する法律や判例について知りたい。
- 回答
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◆参考文献1『逐条解説墓地、埋葬等に関する法律』
p63-64に「第13条 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。」と条文の掲載あり。
加えてp.64-65に「埋火葬等について「正当の理由」がない限り、これを拒んではならないことを定めた規定である。…(中略)…「正当の理由」に該当しない場合としては、寺院墓地における異宗徒であることによる埋葬拒否がこれに当たるという判例がある(津地裁判昭和38年6月21日)。…(中略)…この判例によって、①異宗徒であることによる埋葬等の拒否は正当の事由には該当しないが、②埋葬等における典礼施行権は寺院墓地の管理者にあり、その権利を差し止める権限を依頼者は保有していないということが明らかにされたわけである。」と記載あり。
また、p.138-140に「墓地、埋葬等に関する法律第13条の解釈について(昭和35.3.8衛環発第8号 各都道府県、各指定都市衛生主管部(局)長宛 厚生省環境衛生部長通知)」の掲載あり。
通知中「…(前略)法第13条はあくまでも埋葬又は埋蔵行為自体について依頼者の求めを一般に拒んではならない旨を規定したにとどまり、埋葬又は埋蔵の施行に関する典礼の方式についてまでも、依頼者の一方的な要求に応ずべき旨を定めたものと解すべきではない。…(以下略)」とあり。
◆参考文献2『お墓にまつわる法律実務』
p.55に「Q 家族を埋葬するために寺院墓地の墓地使用権を取得する場合、宗派が異なる私もその寺院の檀家にならないといけないのでしょうか。また、親と宗派が異なる場合、自分も親の墓地を使用できますか。
A 寺院墓地の利用関係は、寺院と墓地使用者との間の明示又は黙示の合意として、檀信徒関係にあることが条件となっていることが一般であり、寺院墓地の墓地使用権を取得しようとする場合には、当該寺院の檀家となることを求められることが多いでしょう。…(以下略)」と記載あり。
p.80に「Q 別の宗派で葬儀を済ませたのですが、寺院墓地に埋葬しようとしても、埋葬を拒絶されてしまうのですが。
A 檀家・寺院間の明示・黙示の合意の内容次第です。この点、墓埋法は、「墓地…の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵…の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない」(同法13条)と規定しており、「正当の理由」が認められるか否かの問題となります。…(以下略)」と記載あり。
◆参考文献3『葬儀・墓地のトラブル相談Q&A』
p-233-236に「Q69 寺院境内墓地における異教徒の埋葬依頼
郷里の墓地に、父の遺骨を納めに行ったところ、宗教の違う者は埋蔵させないと住職から言われました。本当でしょうか。…(中略)…ご質問の場合は昔からの寺院境内墓地のようですから、寺の住職の行う儀式典礼に従って納骨を行えばよいことになります。その場合にはそれ相応のお布施を差しあげる必要があるでしょう。寺側の施行する典礼を拒否する場合は、結局納骨してもらえないことになるでしょう。寺院経営の墓地でも、前記・東京高裁平成8年10月30日判決の事案のような形態(新たに造成した信徒用の新規墓地)の墓地である場合は、当該寺院の典礼によらなくても自由に納骨することができることになるでしょう。」と記載あり。
◆参考文献中に掲載のある判例として
「津地方裁判所 昭和33年(ワ)第162号 昭和38年6月21日判決」
「東京高等裁判所 平成7年(ネ)第1392号・平成8年(ネ)第4482号 平成8年10月30日判決」
「宇都宮地方裁判所 平成22年(ワ)第534号 平成24年2月15日判決」
「仙台高等裁判所 平成6年(ネ)第532号 平成7年11月27日判決」
「最高裁判所第三小法廷 平成12年(受)第1084号 平成14年1月22日判決」
「最高裁判所第三小法廷 平成4年(オ)第608号 平成8年10月29日判決」があり。
- 回答プロセス
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◇インターネットにて「埋葬 法律」のキーワードで検索。
埋葬に関する法律の正式名称が「墓地、埋葬等に関する法律」であることが分かる。
◇「墓地、埋葬等に関する法律」で自館検索。
参考文献1『逐条解説墓地、埋葬等に関する法律』を見付ける。
p.63-65に条文及び解説の記載あり。
◇レファレンス協同データベースに類似質問あり。
参考URL1「お墓について、宗教や宗派が違う場合は典礼が違うと思うが、夫婦や親子などで宗教、宗派が違ったら、お墓はどうするか。関係する判例が何かあるのではないか。」(http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000104178 最終確認2020.3.9)
こちらで紹介されている参考文献2『お墓にまつわる法律実務』を見付ける
付近の棚をブラウジングし、参考文献3『葬儀・墓地のトラブル相談Q&A 』を見付ける
◇参考文献2『お墓にまつわる法律実務』p.55-59,75-81にQ&A形式で記載あり。
◇参考文献3『葬儀・墓地のトラブル相談Q&A』p.233-236にQ&A形式で記載あり。
なお、本文中に津地方裁判所、東京高等裁判所、宇都宮地方裁判所の各判例の要旨について記載あり。
加えて、「正当な理由」の行政解釈について昭和35年3月8日衛環発第8号を紹介している。
この通知については、参考文献1『逐条解説墓地、埋葬等に関する法律』p.138-140に記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 諸法 (328 8版)
- 参考資料
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- 1 逐条解説墓地、埋葬等に関する法律 生活衛生法規研究会/監修 第一法規 2017.3 498/12/154
- 2 お墓にまつわる法律実務 遺言・相続リーガルネットワーク/編著 日本加除出版 2016.10 385/6/248
- 3 葬儀・墓地のトラブル相談Q&A 長谷川 正浩/編 民事法研究会 2014.11 385/6/217
- 1 レファレンス協同データベース「お墓について、宗教や宗派が違う場合は典礼が違うと思うが、夫婦や親子などで宗教、宗派が違ったら、お墓はどうするか。関係する判例が何かあるのではないか。」 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000104178 最終確認2020.3.9
- キーワード
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- 埋葬法 埋葬
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000279912