レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月27日
- 登録日時
- 2016/01/21 19:04
- 更新日時
- 2016/03/30 20:28
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2015-029
- 質問
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解決
「かしわ」や「外郎」と名古屋めしを紹介する言葉が出てくる歌「名古屋名物」について、歌詞が全部知りたい。できれば音源も欲しい。
- 回答
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名古屋めしを紹介する「名古屋名物」の歌詞は服部鋭夫の作詞によるもので、昭和62年2月に誕生したものと思われます。また、名古屋甚句の「名古屋名物」が元唄となっている模様です。
お探しの「名古屋名物」の歌詞は、『中部圏の民謡を訪ねて』に「民謡名古屋名物」として掲載されています。また、お探しの歌詞とは多少違いますが、名古屋めしを織り込んだ歌詞の「名古屋名物」の音源としてCD『名古屋の歌だがね』があります。
- 回答プロセス
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0.質問者に確認しますと、『なごや十話』p.147-164に掲載されている「守りたい名古屋伝統の味と文化」で紹介されていたとのことでした。『なごや十話』を確認しますと、p.162に”名古屋の花柳界で、古くから歌い継がれてきた、「名古屋名物」という御座敷歌があり、その中に、「名古屋名物、うみゃあもんなら、かしわに外郎、きし麺に守口漬けなど、悪にゃあぜぇも…」”と記載がありましたが、典拠は掲載されていませんでした。
1.NDCの3門(民謡)と7門(音楽)の棚を郷土コーナーを含め確認したところ、下記の資料に掲載がありました。
『中部圏の民謡を訪ねて』
→p.7-8とp.12-14に「名古屋名物」についての記述および解説があり、”名古屋甚句の代表的歌詞”との記述がありました。歌詞全文は掲載されていませんでした。
→p.219-221に4番まで掲載されており、お探しの歌詞は3番でした。作詞者である服部鋭夫による解説が付いています。掲載されている項目は「服部鋭夫作品集」の内であり、”昭和62年2月”の記述があります。1番の歌詞の最後に”(元唄)”とあり、「古くから歌い継がれてきた」のは1番のみ、2番から4番は昭和62年2月に作詞された歌詞と思われます。
下記の資料には、お探しの歌詞の掲載を見つけることができませんでした。
『愛知の民謡』
『名古屋と民謡』
『名古屋市郷土唱歌』
『日本わらべ歌全集12 愛知のわらべ歌』
『愛知・名古屋マイソング大全集』
2.名古屋甚句の資料を探しました。レファレンス協同データベースの「名古屋甚句について調べたい。」を参考にしつつ、新たな資料も含め「名古屋名物」が掲載されているのは下記の資料です。名古屋めしを紹介する歌詞は掲載されておらず、名古屋甚句の「名古屋名物」は1番だけ、もしくは2番までのようです。
『名古屋を中心とした俚謡集』p.71
→”なごやめいぶつ”から始まる歌詞が掲載されていますが、1番の最後”おそがあぜいも”の後に”とろくさあこといわあすなも”から始まる5行が追加されています。
『藤本【ヒデ】丈民謡選集5』p.37
→歌詞が2番まで掲載されています。2番の歌詞の前半は1番の歌詞とほぼ同じ、後半の歌詞は『名古屋を中心とした俚謡集』の最期の5行とほぼ同じです。一方、『中部圏の民謡を訪ねて』とは、1番は同じですが、2番の歌詞は全く違います。また、p.38-39に三味線文化譜が掲載されています。
DVD『『からくり人形山車』『名古屋甚句』』 「名古屋甚句」の13分26秒から14分26秒まで
→動画が収録されており、テロップで歌詞も表示されます。1番のみです。
カセットテープ『なごやべん特集』解説書 p.10-11
『日本民謡集』p.238-239
『民謡の旅』p.326-329
『民謡のふるさと』p.188
3.名古屋めしを織り込んだ歌詞の音源を探したところ、下記の資料が見つかりました。
CD『名古屋の歌だがね』
→6曲目に「名古屋名物(愛知県民謡)」が収録されています。解説には、「名古屋甚句に並ぶ愛知県民謡の代表曲」とあります。歌詞を確認したところ、1番は『中部圏の民謡を訪ねて』と同じですが、2番から4番が違います。『名古屋を中心とした俚謡集』の追加の5行が2番の歌詞に埋め込まれています。『藤本【ヒデ】丈民謡選集5』とは1番、2番ともほぼ同じ歌詞です。名古屋めしを紹介する歌詞は4番にあり、”名代のういろにきしめんに かしわのひきずり”となっています。作詞者は同じ服部鋭夫です。
- 事前調査事項
- NDC
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- 声楽 (767 9版)
- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 参考資料
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- 『中部圏の民謡を訪ねて』(服部鋭夫/著、服部仁、1993) (p.219-221、p.7-8、p.12-14)
- CD『名古屋の歌だがね 名古屋開府400年記念CD』(キングレコード、KICS1511、2010) (6曲目「名古屋名物:愛知県民謡」)
- 花房孝典/著「守りたい名古屋伝統の味と文化」(『なごや十話』、中日新聞社/編、中日新聞社、2002) , ISBN 4-8062-0448-X (p.147-164)
- 『愛知の民謡 民謡緊急調査報告書 昭和54・55年度』(愛知県教育委員会/編、愛知県教育委員会、1981)
- 『名古屋と民謡(文化財叢書』(伊奈森太郎/著、名古屋市経済局貿易観光課、1958)
- 『名古屋市郷土唱歌』(青柳善吾/著、森永昌堂、1922)
- 『日本わらべ歌全集12愛知のわらべうた』(服部勇次/著、柳原書店、1981)
- 『愛知・名古屋マイソング大全集』(愛知・名古屋マイソング実行委員会、[1989.12ごあいさつ])
- レファレンス協同データベース「名古屋甚句を調べたい。」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000068701)【最終確認:2016/01/22】
- 『名古屋を中心とした俚謡集』(加藤政次/編、日本雑学会名古屋本部、1977年) (p.68-72)
- 『藤本【ヒデ】丈民謡選集5』(藤本【ヒデ】丈/著作、邦楽社、1965) (歌詞:p.37、三味線文化譜:p.38-39)
- DVD『『からくり人形山車』『名古屋甚句』』(名古屋市文化振興事業団/制作・著作、2011) (「名古屋甚句」の13分26秒から14分26秒)
- カセットテープ『なごやべん特集』(P東海パック、1989)の解説書
- 『日本民謡集(ワイド版岩波文庫245)』(町田嘉章/編、岩波書店、2004) (p.238-239)
- 『民謡の旅』(佐藤政次/編、駿河台出版社、1980) (p.326-329)
- 『民謡のふるさと 明治の唄を訪ねて』(服部竜太郎/著、朝日新聞社、1967) (p.188)
- キーワード
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- 名古屋名物
- お座敷歌
- 民謡
- 名古屋めし
- 名古屋甚句
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000187329