レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年4月3日
- 登録日時
- 2021/04/27 09:53
- 更新日時
- 2021/10/26 15:11
- 管理番号
- 武蔵浦和-1-00126
- 質問
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解決
『源氏物語』で、女子の成人式(裳着、髪上げ式)を行う前の年齢の着物姿や髪形のイラストや写真を見たい。
- 回答
-
回答プロセス中の○がついた資料を提供した。
- 回答プロセス
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・武蔵浦和図書館の源氏物語(913.36)の書架を見てみる
×913.36『源氏物語 におう、よそおう、いのる』藤原克己/著 ウェッジ 2008.5
△913.36『きもので読む源氏物語』近藤富枝/著 河出書房新社 2010.5
絵や写真はなく、文章ばかりだが、説明は詳しい。
p.99~ 少女たちの晴と褻
P.99最終行~ 「柏木」の巻で光が抱いている薫は、白の襁褓(産着)で五十日の
祝いの場面である。(略)
そのころの稚児の姿は『葉月物語絵巻』に見られる。
p.101 衵姿(あこめすがた)…少女の服装、ローティーンのころに着る姿で説明あり。
絵は全然無いが、色や説明が詳しいので、一応タナ。
○913.36『源氏物語(別冊宝島)』宝島社 2009.4
質問時に違う(「裳」を身に着けたページを見せて、それは成人後の姿と教えてもらった本。)と言われた本。
P.78 細長
「細長」を『日本大百科全書(ジャパンナレッジ)』で調べる。
「細長」
ほそなが。公家衣服の一種。幼年から若年までの者が用いた。
近世の幼少女子が用いた細長は、袿(うちき)に似た身丈長く広袖形式の
上着であるが大領(おおくび)(衽(おくみ))のない衣。
『雅亮(まさすけ)装束抄』に
「ほそながといふはれいのきぬのおほくびなき也(なり)」とある。
平安時代には日常、袿の上に襲(かさ)ねて着たが、
その上にさらに小袿(こうちぎ)を襲ねることもあった。
p.79 小袿(こうちき)
これらは成人式前の女子の恰好では?
「小袿」を『日本大百科全書(ジャパンナレッジ)』で調べる。
こうちぎ。公家(くげ)女子衣服の一種。平安時代以来、
高位の者の準正装として用いられた上着。
小袿姿の図として、『源氏物語絵巻』「宿木(やどりぎ)」の段の六の君、
『紫式部日記絵巻』の中宮彰子(しょうし)があげられる。
?913.36『見る・知る・読む源氏物語』中野幸一/著 勉誠出版 2013.8
p.56 若紫 の絵
場面解説として、「源氏、北山の僧坊で美しい少女をかいま見る。」とあるので、
この絵の女性は、成人前なのではないか。
○913.36『源氏物語 光源氏と女たちの王朝絵巻(ビジュアル版日本の古典に親しむ①)』円地文子/[著] 世界文化社 2005.11
p.24右下の絵
絵の真ん中あたりに少女である紫の上の姿が描かれている。
・業務システムで検索 “源氏物語”
○913.36『源氏物語六条院の生活』五島邦治/監修 宗教文化研究所風俗博物館 1999.7
p.44~47 第七 扇で顔を隠す玉鬘
p.45最終行 「玉鬘の装束は若い女性が着る細長」とあり。
p.46~47 細長 細長や衵を着た人形の写真(前後)あり。
p.51 明石の姫君の人形の写真
最終行に「明石の姫君は、衵の童女姿である。」とあり。
p.52 衵 人間の女の子が実際に着ている写真(前後)あり。
「幼少の女性は、大人の着る袿を裾短かに仕立ててきた。これを
衵という。」とあり。
p.76 汗衫(かざみ) p.52と同じ女の子が来ている写真(前後)あり。
・念のため、平安時代の衣装や髪形の本も見てみる。
業務システムで 主題“平安”&383*検索
×383.5『黒髪と美女の日本史』平松隆円/著 水曜社 2012.12
×383.1『きもの 日本の服飾図譜平安から現代まで』伊藤佐智子/著 パイインターナショナル 2011.10
○383.1『図解日本の装束』池上良太/著 新紀元社 2008.12
p.70~71 公家の女児の服装
p.71に、公家の女児が着る「汗衫姿」、「細長姿」、「衵姿」の絵あり。
○383.1『素晴らしい装束の世界』八條忠基/著 誠文堂新光社 2005.12
p.65 女児
汗衫(かざみ)
本来は単(ひとえ)の「汗とり肌着」だったが、アウターウエアとなり、
やがて正装に位置づけられるまで昇格した衣服。
平安時代に汗衫というと、一般的には童女の上着として扱われ、
晴タイプとケ(日常)タイプの二種がある。
左下に、ケの汗衫の絵あり。ケの汗衫は、あまりにも日常着だったためか文献に
はあまり登場しないが、『扇面古写経』などに見ることができる。
p.66 重衵(かさねあこめ)
袴の上に衵を打ちかける姿が童女の日常着。何枚もの衵を重ねた「重衵」は晴の
装束とされた。
右下に、重衵と夏の薄物の衵の絵あり。
p.66 細長
幼児から成人女性までが正装として着たと言われる。
女性が細長と衵、濃長袴(こきのなかばかま)、単を着た前と後ろ姿の絵あり。
×383.5『日本髪大全 古代から現代まで髪型の歴史と結い方がわかる 歴代の髪型/結い方/歴史/櫛かんざし 島原太夫/舞妓/相撲/新日本髪』
田中圭子/著 誠文堂新光社 2016.5
△383.1『平安朝のファッション文化』鳥居本幸代/著 春秋社 2003.4
文章がほとんどで、写真はなし。絵は少しあり。
p.28 「ふりわけ髪」の絵あり
後ろから7行目
十歳を過ぎるといよいよ成人式に相当する儀式を迎える。
女子成人の儀式は「髪上げ」といい、
それまで伸ばした垂髪を額周辺に結い上げて元結で結んだり(略)。
「ふりわけ」は、幼少の女童の髪形で、前髪が目の上をさすように覆っていた
ことから「めざし」とか「ふりわけ」、(略)。
p.155~ 童女の装束
p.156に「汗衫(かざみ)」の絵あり
△B383.5『日本伝統の髪型』京都美容文化クラブ/編 京都美容文化クラブ 1998.8
p.36~ 垂髪
何歳かは書かれていないが、平安時代の女性の髪形の写真としてあり。
・レファレンス協同データベースで検索 “源氏物語”
→豊中市立図書館の事例
「『裳義の儀』の様子がわかる絵が見たい」(管理番号:6000030302)
参考資料の中で、質問に合いそうなものを見てみる
○721.08『豪華<源氏絵>の世界源氏物語』学研 1997.4
『源氏物語』の各巻の絵がたくさん載っている
この中から、質問にあった話の絵を見ればよいのでは?
平安装束体験所
http://www.junihitoe.jp/taiken/itm/kodomo.html(2021.10.26最終確認)
このホームページ内に、男子半尻・女子袿・女子細長の写真あり。
・「源氏物語絵巻」を見てみる→武蔵浦和図書館の721.2の書架
どれも「源氏物語」の絵が載っていて、場面背景や登場人物の説明など書かれている。
絵画そのものなので、たとえば部分的に拡大して解説していたり、服装や髪形の説明よりは、登場人物や物語の解説がメイン。
○721.2『源氏物語絵巻(ビジュアル選書)』新人物往来社 2011.4
絵巻が載っていて、p.138から登場人物名と登場する巻が書かれているので、
人物の説明を読んでから絵巻を見たり、その逆もできる。
○721.2『すぐわかる源氏物語の絵画』田口榮一/監修 東京美術 2009.2
○721.2『源氏物語 天皇になれなかった皇子のものがたり』三田村雅子/著 新潮社 2008.9
○721.2『よみがえる源氏物語絵巻』NHK名古屋「よみがえる源氏物語絵巻」取材班/著 日本放送出版協会 2006.2
ぼろぼろになった源氏物語絵巻を復元した方法についてがメイン。
復元しているので、元の絵よりは鮮明に見える。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本画 (721 10版)
- 小説.物語 (913 10版)
- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000297590