レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 牛久市立中央図書館 (2310059) | 管理番号 (Control number) | 牛久-1657 | |||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2020/02/14 | 登録日時 (Registration date) | 2020年03月02日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2020年03月02日 00時30分 | |||||||||||
質問 (Question) | 段飾りのおひなさまの5段目に飾られている3人の男性の人形の名称は何か。またどのような役職なのか知りたい。 | |||||||||||||||
回答 (Answer) | 5段目のお雛様の名称は仕丁(しちょう/じちょう)、三仕丁(さんしちょう/さんじちょう)、衛士(えじ)、三人上戸(さんにんじょうご)と資料により名称や読み方が異なる。民間で無報酬で徴用された宮中の雑用係で、顔の表情は「笑い、泣き、怒り」がある。「熊手、ちりとり、箒」などの掃除用具を持つが、外出時の従者の場合は、「立傘、踏台、台笠」を持つ。左右には宮廷の庭を表す「右近の橘、左近の桜」を配置している。 次の資料を紹介する。 ・『雛人形と武者人形』(林駒夫/淡交社/2010.1)…p20-21 ・『ひなにんぎょうができるまで』(ひさかたチャイルド/2019.1)…p20-23 ・『雛まつり』(福田東久/近代映画社/2007.2)…p18 ・『「和」の行事えほん 1』(高野紀子/あすなろ書房/2006.6)…p7 ・『心をそだてる子ども歳時記12か月』(橋本裕之/講談社/2005.10)…p36-37 ・『日本の伝統行事』(村上龍/講談社/2016.11)…p36-41 ・『和ごよみと四季の暮らし』(新谷尚紀/日本文芸社/2007.1)…p60-63 | |||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.フリーワードフリーワード「ひなにんぎょう」&状態「在架」で自館所蔵検索し、書誌情報を確認して次の資料にあたる。 (1)雛人形と武者人形』(林駒夫/淡交社/2010.1)…p20-21雛飾りの基本と人形の種類に「仕丁(しちょう)」とあり。p27に下働きの従者三人組み。5段目に飾られることが多い。それぞれの表情が異なる事が特徴で、向かって右から「笑い上戸」「怒り上戸」「泣き上戸」と並んでいることが多いとの記載あり。 (2)『ひなにんぎょうができるまで』(ひさかたチャイルド/2019.1)…p20-23に5段目「しちょう(えじ)」とあり、出かけるのに必要な道具を持ったりする人。右から笑い顔(たてがさ)、泣き顔(くつだい)、怒り顔(だいがさ)と記述あり。 2.フリーワードフリーワード「ひなまつり」&状態「在架」で自館所蔵検索し、書誌情報を確認して次の資料にあたる。 (3)『雛まつり』(福田東久/近代映画社/2007.2)…p18に「仕丁(しちょう)」/「衛士(えじ)」/「三人上戸(さんにんじょうご)」とあり。水干(すいかん)という位のない官人の装束を着た三人は、仕丁あるいは衛士といい、沓を持った泣き顔を中央に、優しい笑顔の翁が向かって右、怒った顔の若い男が向かって左に座る。三人の特徴的な表情から、三人上戸とも言われているとの記述あり。 3.年中行事関係の資料、請求記号「386」の一般書、児童書の棚をブラウジングし、次の資料にあたる。 (4)『「和」の行事えほん 1』(高野紀子/あすなろ書房/2006.6)…p7に五段目三仕丁(さんしちょう)とあり、右から「台笠(だいがさ)」「沓台(くつだい)」「立傘(たてがさ)」。左右に「右近の橘」「左近の桜」との記載あり。 (5)『心をそだてる子ども歳時記12か月』(橋本裕之/講談社/2005.10)…p36-37に五段目三仕丁(さんじちょう)とあり、宮中の雑用係。向かって右は日よけにさす立傘、中央は人の履物を置いた沓台を持ち、左は頭にかぶる台笠を持つとの記述あり。 (6)『日本の伝統行事』(村上龍/講談社/2016.11)…p36-41五段目は仕丁(じちょう/しちょう/してい)または衛士(えじ)。民間で無報酬で徴用された宮廷の雑用係。「熊手」「ちりとり」「箒」などの掃除用具を持つ。外出時の従者を表す場合は「傘」などを持つとの記述あり。 (7)『和ごよみと四季の暮らし』(新谷尚紀/日本文芸社/2007.1)…p60-63に五段目は仕丁(しちょう)とあり、立傘、踏台、台笠をもつ雑役を司る者がいて、笑い・真面目・泣きの表情をしている。この三仕丁の左に右近の橘、右に左近の桜を配置し、二種の樹木は宮廷の庭をたとえているとの記述あり。 →以上の結果から(1)~(7)の資料を紹介する。 3.後日、請求記号「R210」「R813」の棚をブラウジングし、「仕丁」の言葉の意味を調べる。 (8)『日本国語大辞典 第6巻』(小学館国語辞典編集部/小学館/2001.6)…p810(じちょう)(しちょう)とも。令制で、公民の成年男子に課せられた力役(りきやく)。またその人。諸国から50戸に2人の割合で、正庁を京にのぼらせ、宮司に分配して3年間労役に服させた。平安時代以降、宮中・貴族の家や寺社などで雑役に使われた下男。雑役に従う人夫、下僕、じていとの記述あり。 (9)『日本史用語大事典』( 武光誠/新人物往来社/1995.8)…p539に「つかへのよほろ」と訓む。令制で諸国から徴発され、中央の諸司に配属されて雑役に従った人夫。大化前代の部民制の伝統をひき、令制では50戸(1里)から2人が徴発され、原則的に期限は3年であったとの記述あり。 (10)『 国史大辞典 6』(国史大辞典編集委員会/吉川弘文館/1985.11)…p869-870に古代の労役の一種で「つかえのよほろ」ともいう。朝廷の労役に従事する人と、その人のために汲炊の労をとを一組として地方から差し出させ、その生活費も郷土に負担させる制度。平安時代には仕丁のなかには諸司・王臣家・寺社などのもとに住みついて雑役に従ったものもあったとの記述あり。 4.さらに追加で、キーワード「雛人形」&「仕丁」でGoogle検索し、「ひな人形文化協会」( http://hina-matsuri.jp/top.php )にあたる。※最終アクセス日2020年2月26日 トップ>雛段ストーリー>五段目 仕丁 …仕丁とは徭役(ようえき)といって君主が必要性から住民を無報酬で働かせることの一種。大化改新後の律令制では,1里50戸につき2人,中央官庁などに3年交代で雑役夫として勤務するが,食糧など一切は故郷の負担であったためかなりの負担となり評判はよくなかった。 地方からの労働者として宮廷の雑役係りをしていた。そんな事情もあって喜怒哀楽の感情が表現されている。ひな飾りの中では唯一庶民出身の白衣を着た三人一組との記述あり。 | |||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 言葉 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000274826 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |