レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年11月10日
- 登録日時
- 2022/01/27 14:14
- 更新日時
- 2022/04/05 09:49
- 管理番号
- 関大総図 21B-10J
- 質問
-
解決
樹木葬・散骨利用者の利用理由に「土に還りたい」「自然の循環の一部になれる」等が挙げられているが、
人々が何故そのように考えるのか、という根本的な理由にふれた論文や文献を探している。
(インターネットで調べると、特定の宗派の教えを根拠にしたものは見つかったが、
上記の理由をあげた利用者は、宗派にこだわりが少なく、特定の宗派の持ち主ではなかった)
- 回答
-
調査を行ったところ、樹木葬・散骨の利用理由・希望理由に対する考察が書かれていた論文が
見つかりましたので、それぞれご紹介します。
○樹木葬の場合
内田安紀(2017)「現代日本における葬送と自然―「自然に還る」というイメージをめぐって―」では、
「なぜ現代社会において葬送と自然が接近しているのか」、
「そのような文脈における「自然」は新しい葬送の受容者にとってどのような意味を持つのか」
という二つの問いが立てられ、前者に対しては、
「現代社会においては葬送の領域に「個人化」現象が見られ、そこでは共有されうる死生観や価値観が
失われており、その空白地帯に「自然」の要素がはまり込んだ」、
後者に対しては、
「そのような「自然」は受容者にとっては表層的なものであり、彼らの個人性と他者との共同性を
媒介する一つの資源となっていた」
という考察が述べられていました(以上、論文要旨(p.15)からの引用です)。
J-STAGE:内田安紀(2017)「現代日本における葬送と自然―「自然に還る」という
イメージをめぐって―」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/religionandsociety/23/0/23_15/_article/-char/ja/
【最終アクセス2022/03/01】
〇散骨の場合
本多亮(2000)「現代日本における散骨について」5章1節では、「散骨の霊魂観」について
検討されていました。
その中で、「葬送の自由をすすめる会」会長、安田睦彦氏の「大きな自然の大循環の中に還る、
そういう大きな自然の命の中に還って、また何かに再生していくこと」という考えについて、
柳田國男の『先祖の話』で述べられている日本人の霊魂観の特徴と比較して、
「現代の生まれかわり説」(p.123)という考察が述べられていました。
また、「散骨における霊魂観は、一面では伝統的な霊魂観を保持しつつ、
部分的には近代的に変容もしていると考えられる」(p.124)とも考察されていました。
J-STAGE:本多亮(2000)「現代日本における散骨について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bukkyobunka1992/2000/9/2000_9_108/_article/-char/ja/
【最終アクセス2022/03/01】
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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インターネットで検索
- NDC
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- 宗教学.宗教思想 (161)
- 原始宗教.宗教民族学 (163)
- 通過儀礼.冠婚葬祭 (385)
- 参考資料
- キーワード
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- 自然葬
- 樹木葬
- 宗教学
- 宗教社会学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学部生
- 登録番号
- 1000311236