レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年04月25日
- 登録日時
- 2017/11/21 19:04
- 更新日時
- 2017/11/21 19:18
- 管理番号
- 横浜市中央2485
- 質問
-
解決
江戸時代に旅行をする時に、交通や宿泊にかかった費用を調べたいが、どのような資料を見ればよいか。
- 回答
-
次のような資料があります。
1 事典で調べる
近世における様々な品目の価格を調べることができる事典をご紹介します。
(1) 『時代考証事典』 稲垣史生/著 新人物往来社 1971.12
p.275~287「旅費さまざま」 宿賃や馬の運賃について記載があります。
時代、身分による金額の違いについても記述があります。
また、p.284~287には『東海道木曾両道中懐宝図鑑』(天保13年刊)から引用した「東海道駄賃表」、「中山道駄賃表」が掲載されており、本馬・軽尻・人足別に、宿場間の距離とともに運賃が出ています。
(2) 『江戸物価事典 江戸風俗図誌』 小野武雄/編著 展望社 1979.5
p.240~249「交通と通信 旅用と道中賃銭」 当時の史料等を引用して解説しています。
p.249~252「交通と運賃 宿泊料」 京都、大坂、江戸の旅籠屋の宿泊料についての記述があります。
(3) 『近世賃金物価史史料』 小柳津信郎/著 成工社出版部 2006.6
p.410~421「木賃(旅籠賃)」 年代順に価格が一覧できます。各地の地方史や当時の史料を
出典としています。
2 交通、旅に関する資料で調べる
当時の史料を調査し、表などを用いてわかりやすくまとめ、解説している資料をご紹介します。
(1) 『近世交通史の研究』 児玉幸多/著 筑摩書房 1986.8
p.64「慶長より正徳までの江戸・品川間、品川・川崎間の賃銭」
p.65~66「元賃銭制定以後の江戸・品川間および品川・川崎間の賃銭」
(『品川町史』上巻七四〇頁)
p.167「宿泊料の変遷」
p.259~260「東海道諸宿の概況」
p.261~262「甲州道中諸宿の概況」
p.270~273「東海道・甲州道中人馬賃銭割増表」
交通・宿泊に関連する費用を表にまとめています。
(2) 『宿場 日本史小百科』 児玉幸多/編 東京堂出版 1999.7
p.277~299「付録 三、五街道宿駅一覧」
東海道、中山道、甲州道中、日光道中、奥羽道中の次の宿までの駄賃、人足賃銭(正徳元年と
天保15年)が一覧できます。
p.300~316「付録 四 弘化二年伊勢道中駄賃日記帳」
3か月の旅の出費を記帳したものです。
(3) 『旅の民俗と歴史 1 日本の宿』 宮本常一/編著 八坂書房 1987.4
p.188「いろいろの宿 旅籠」 宿銭に関する記載があります。
p.200「いろいろの宿 庶民の宿」 木賃宿の宿銭に関する記載があります。
3 江戸時代の法令から調べる
駄賃や木賃銭は、幕府により料金が定められていたため、法令から価格を調べることができます。
(1) 『御触書寛保集成』 高柳真三、石井良助/編 岩波書店 1934.11
慶長20年~寛保3年までの129年間に発布された御触書が収録されています。
p.40~41、45、51~52、62~63等に、駄賃銭や宿賃に関する定めが出ています。
続きの年代は『御触書宝暦集成』(寛保4年~宝暦10年)、『御触書天明集成』(宝暦10年~
天明7年)、『御触書天保集成 上・下』(天明8年~天保8年)に収録されています。
(2) 『幕末御触書集成 第4巻』 石井良助/編 岩波書店 1993.12
天保8年~明治元年までの32年間に発布された御触書が収録されています。
p.1~104「53 人馬賃銭其外道中筋之部」
宿の困窮につき、人馬賃銭等を割り増しするという御触書が多く掲載されています。
【参考】上記の資料に収録されている御触書を探すものとして、次の目録があります。
『御触書集成目録 上 事項目録』 石井良助/編 岩波書店 2002.12
『御触書集成目録 下 編年目録』 石井良助/編 岩波書店 2002.12
…寛保、宝暦、天明、天保集成の目録
『幕末御触書集成 別巻 事項目録・編年目録』 石井良助/編 岩波書店 1997.03
(3)~(5)は、江戸幕府が直轄する五街道及びそれに付設する諸街道の宿と沿道について精密に調査した宿村大概帳を収録した史料集です。宿村大概帳とは、各宿の宿高・戸口・高札の文言等の宿内のことや沿道の村の掃除場、橋梁等のことまで詳しく記述したものです。
(3) 『近世交通史料集 4 東海道宿村大概帳』 児玉幸多/校訂 吉川弘文館 1970.3
p.7、35、55、66~67等に、駄賃、人足賃銭、木賃銭に関する高札の文言の記載があります。
(4) 『近世交通史料集 5 中山道宿村大概帳』 児玉幸多/校訂 吉川弘文館 1971.3
p.6~7、20~21、29等に、駄賃、人足賃銭、木賃銭に関する高札の文言の記載があります。
(5) 『近世交通史料集 6 日光・奥州・甲州道中宿村大概帳』 児玉幸多/校訂 吉川弘文館 1972.3
p.6~8、27~28等に、駄賃、人足賃銭、木賃銭に関する高札の文言の記載があります。
4 当時の史料から調べる
当時の旅行案内書である道中記には、旅行にかかった経費が記録されていることがあり、当時の費用を知る上で役に立ちます。
(1) 『道中記集成 別巻 3』 大空社 1998.7
全47巻からなる『道中記集成』には、近世から近代初頭の道中記及びその関連史料が収録されています。別巻3では、江戸の旅や道中記等について概説しています。また、p.231~234には「道中用語集」も収録されています。
(2) 『越中の旅人たち 江戸時代の寺社参詣』 富山県公文書館/〔編〕 富山県公文書館 〔2011.9〕
p.9「庄三郎ら宿泊地・参詣寺社及び諸経費表」
(塚本家文書「伊勢参宮道中覚帳」寛政2年(1790)〔個人蔵〕より作成)
p.13「身延山参詣宿泊地及び諸経費表」(「身延山道中記」より作成)
p.14「久兵衛ら宿泊地及び諸経費表」
(寺崎家文書「寛政九年上京二付道中ノ事書帳」寛政3年(1797)〔富山県公文書館蔵〕より作成)
p.15「善太郎ら宿泊地及び諸経費表」(名苗家文書「初而上京入用留帳」天保10年(1839)
〔個人蔵〕より作成)
個人の覚書や道中日記等に記載された旅の諸経費を表にして掲載しています。
(3) 『旅行用心集 現代訳』 八隅蘆庵/著 八坂書房 1993.8
文化7年(1810)に出版されたものを現代語に訳しています。
p.128~138 東海道五十三次駄賃付け、木曽路六十九次駄賃付けが掲載されています。
(4) 『幕末を旅する村人 浜浅葉日記による』 辻井善彌/著 丸善プラネット 2015.11
p.290「会津からの馬引きの旅の雑費」文化9年「拝借馬願書雑用控帳」より
会津藩の陣屋(郡役所)に提出した報告文書から作成した費用の表が掲載されています。
(5) 『旅の民俗と歴史 4 庶民の旅』 宮本常一/編著 八坂書房 1987.8
p.132~138「道中費用のこと」 寛政7年(1795)、文久元年(1861)に伊勢参宮をした時の費用
について、記載があります。
(6) 『昔の旅 伊勢参宮日記に見る』 小川八千代/著 里蓬舎 1994.10
p.76~80「宿場と輸送のこと<輸送>」伝馬の一般的費用・賃金区分の記載があります。
p.126~130「文久の日記による宿泊代・昼食及び間食費」日記からとった左記に関する表を
掲載しています。
p.187~190「旅の費用と日記の筆者たち」旅にかかった総額について記載があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 貨幣.通貨 (337 8版)
- 交通史.事情 (682 8版)
- 社会.家庭生活の習俗 (384 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000225270