レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/03/03
- 登録日時
- 2022/03/25 00:30
- 更新日時
- 2022/03/25 00:30
- 管理番号
- 6001055133
- 質問
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解決
大坂にあった料亭「浮瀬」にあった盃について知りたい。
- 回答
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次の資料に記載がありました。
■「奇杯品目録」(浮瀬 文政4) 1枚物
上半分に奇杯の名前、量、俳句が載っており、下半分には絵が載った引札です。
杯は「浮瀬」「幾瀬」「滝の音」「君か為」「鳴戸」「梅枝」「松風」「鶴」「妹背」「春風」「亀」「逢瀬」「猩々」が記載されています。
■『浮瀬(うかむせ) 奇杯ものがたり 和泉選書』(坂田昭二/著 和泉書院 1997.7)
「4 全盛の化政期から幕末へ 引札『奇杯品目録』を発行」(p.92-97)に、上記の中之島図書館所蔵の引札が翻刻されています。(p.92-94)引札の写真もp.95に載っています。
■『日本名所風俗図会 10 大阪の巻』(角川書店 1980.6)
「摂津名所図会 巻之二」に「浮瀬」の絵があり、「貝觴 銘浮瀬」ほか計八種類の杯の絵があり、「浮瀬什物 七人猩々大觴」の絵もあります。(p.68-69)
■『図典「摂津名所図会」を読む:大阪名所むかし案内』(本渡章/著 創元社 2020.6)
杯については、次のような記載があります。
・「『浮瀬』とは鮑の貝の十一ある穴をふさいでつくった大杯の名でもあり、なみなみとつげば七合半もの酒が盛れた。これを見事に飲み干す人があれば、『暢酣帳』という人名録に記載して誉を讃えた。」(p.18)
・「(一)六升五合飲み干して猩々の舞」に「奇杯浮瀬と並んで料亭の名を高めたのが、『七人猩々』の巨杯」とあり、「名前のとおり歌い踊る猩々の蒔絵が描かれている。」(p.18)
・「(二)鶴貝に夜光貝、梅に滝」に「浮瀬には他にも名物の貝杯がそろっていた。鶉貝の『幾瀬』、夜光貝の『鳴戸』、オランダ渡りの『春風』、鮑貝の『君之為』『梅枝』、さらには『吾背子』『瀧音』と、それぞれに風趣に富んだ命名だ。」(p.18)
また、「(一)七人猩々」「(二)さまざまな貝杯」として摂津名所図会の絵が載っています。
■『あわび文化と日本人 ベルソーブックス』(大場俊雄/著 成山堂書店 2000.4)
「(6)浮瀬のアワビ大杯」(p.115-119)に浮瀬の「名物は,7合5勺(1.35リットル)の酒を注げる『浮瀬』という名のアワビ殻の大酒杯だった。」(p.115)
■『大阪伝承地誌集成』(三善貞司/編著 清文堂出版 2008.5)
「浮瀬の大盃」の項(p.181)に「京の鼓の名人黒丸甚五兵衛」が献上した鮑貝の盃を、「なにわの鼓師樫原金五太衛門の子金八」に帝が与えた、その大盃が「いつしか新清水の料亭『浮瀬』(怜人町)の主人四郎右衛門の手に渡り、浮瀬名物になる。四郎右衛門はこれがきっかけで珍盃・奇盃の収集を始め、有名な浮瀬コレクションができたのである。」とあります。(p.181)
〔事例作成日:2022年3月3日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 10版)
- 食品.料理 (596 10版)
- 参考資料
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- 浮瀬(うかむせ) 坂田/昭二∥著 和泉書院 1997.7 (92-97)
- 日本名所風俗図会 10 角川書店 1980.6 (68-69)
- 図典「摂津名所図会」を読む 本渡/章‖著 創元社 2020.6 (18)
- あわび文化と日本人 大場/俊雄∥著 成山堂書店 2000.4 (115-119)
- 大阪伝承地誌集成 三善/貞司∥編著 清文堂出版 2008.5 (181)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000314030