レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/03/11
- 登録日時
- 2011/08/29 02:00
- 更新日時
- 2011/09/03 11:37
- 管理番号
- OSPR11030027
- 質問
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昭和30年に制定された自賠法の施行当初に、約款の内容についてどのように定められたのか。
府立図書館所蔵の以下の資料に何か情報がないかご確認いただけますでしょうか。
さらに、他の資料で有用な情報を得たいと思っています。
・『自動車損害賠償保険法35年発展史』(資料番号1512035989)
・『自動車損害賠償責任保険の解説』(資料番号1514608338)
・『銀行局金融年報』第3回(昭和29年版)、第4回(昭和30年版(資料番号1117011724、1117011732)
・『財政金融統計月報』昭和30年分
・「関西大学商学論集1(2)1956-06『自動車損害賠償責任保険の概要』
・「財政詳報」(7)1955-12-19『自動車損害賠償責任保険(強制保険)の実施細部について
以下は調査済みです。
件名の約款については『交通事故賠償六法』(学洋書房 1988)に、昭和30年12月1日制定されたものの記載あり。
当館所蔵の自動車損害賠償保険法に関する図書に法制定当時約款が定められた経緯等についての記述見つからず。
国会会議録検索システムをキーワード”自動車損害賠償保険”×”約款”で検索、昭和30年6月1日の衆議院運輸委員会会議録及び同月2日の参議院運輸委員会会議録に「約款」の文言をみつけるが詳しい記述なし。
官報資料版昭和30年11月15日号に自動車損害賠償保険制度の解説があり保険約款について自動車損害賠償責任保険審議会(第一回11月7日)により審議されたとあるが、この審議会についての資料が当館にはみつからず。
- 回答
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確認依頼のあった文献のうち、関連記述を見つけられた資料について報告します。
・『自動車損害賠償保障法35年発展史』(椎木緑司/著 保険毎日新聞社 1989.5)
「第4章自賠法制定施行後の最初の10年史」の最初に「自賠責保険審議会」についての記述があり、民間の委員の方の名前が記載されています。
「自動車損害賠償責任保険普通保険約款の制定」という項目に「法制定により、その施工令制定の準備と並行して、制度の根幹をなす「保険約款」の制定と「自動車保険料率」の作成が必然で、保険料率算定会が中心となって、学者の意見も徴し、大蔵・運輸・法務各省と法制局等の検討を終え、十一月十九日自賠責審議会(注:原文ママ)の諮問に対する答申を経て、大蔵省がこれを認可し、十二月一日実施された」と記述されています。この後ろに若干の条目について紹介し、著者からみた問題点が記載されています。
・『自動車損害賠償責任保険の解説』(田中敬/著 保険毎日新聞社 1955)
他の個所でも約款について触れられていますが、第5章が保険約款という項目になっており、説明と当時の約款が記載されています。
説明には、「自動車損害賠償責任普通保険約款は、一面において自動車損害賠償保障法により制約されていると共に、他面において同法の趣旨に沿った規定を設けた為、従来の損害保険約款と多くの点においてその内容を異にしている。その主な点は次のとおりである」と書かれ、異なる点が記載されています。
また「自動車の強制保険約款と現行の自動車の任意保険約款との比較表」も掲載されています。従来の約款との比較等も掲載されており、調査に近い内容かと思われます。
なお、『財経詳報第7号』の「自動車損害賠償責任保険(強制保険)の実施細部について」と著者が同一のためか内容もほぼ同じです。ただし。こちらの方には表が記載されていません。
・『関西大学商学論集』1(2)(関西大学商学会 1956.6)「自動車損害賠償責任保険の概要」(p.81-94)
第3項が「自動車損害賠償責任保険の特質」(p.87-91)となっており、その中に「調査審議会の実質的内容をなすものは料率と約款であるとされている」という記述があり、そのあとに委員の名前が挙げられています。制度の概要や特質に関する内容となっていますが、最後に参考文献の紹介が若干詳しく掲載されています。
・『財経詳報』7(財経詳報社 1955.12.19)「自動車損害賠償責任保険(強制保険)の実施細部について」
前述のとおり、『自動車損害賠償責任保険の解説』とほぼ同一内容です。
上記以外に昭和30年に制定された自賠法の約款の内容について触れた資料は見つけられませんでしたが、約款に関する参考資料を紹介します。
・『註釈自動車保険約款(上)』(鴻常夫/[ほか]編集 有斐閣 1995.3)
各条項ごとに沿革の記載がありますが、22年約款の次は40年約款に関する記述となっています。30年については「22年約款は、昭和30年の自動車損害賠償保障法の制定に伴う自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の新設に対しては、対人賠償保険の保険金を自賠責保険の上積みとする旨の「対人損害額免責特約」を設けることで対応したが、その後急速に展開する自動車の大衆化の前に本格的な改訂を余儀なくされ、昭和40年11月全面的に書き改められた」としてほとんど記述されていないようです。
・『註釈自動車損害賠償保障法(新版)』(木宮高彦/著 有斐閣 1967)には40年の約款が掲載されており、30年との比較ができます。なお同書には「自動車損害賠償保障法の制定とその後の経過の概要」という項目があり、「自動車損害賠償保障法案提出理由説明」が掲載されています。
・『損害保険研究』第17巻1-4号(損害保険事業研究所 1955)「内外自動車保険普通保険約款の比較」1-4
上記「関西大学商学論集1(2)」に掲載されていた『自動車損害賠償責任保険の概要』で紹介されていた参考文献の一つ。昭和30年2月から昭和30年11月にかけて掲載。当時の約款について参考になるかと思い紹介しました。
・『損害保険研究』第15巻4号(損害保険事業研究所 1953)「我国自動車保険約款についての諸問題」
こちらも『自動車損害賠償責任保険の概要』で紹介されていた参考文献の一つ。掲載された昭和28年当時の約款についての文献。昭和30年との異動を知る手がかりになるかもしれませんので挙げておきました。
以上。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 保険 (339 8版)
- 参考資料
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- 『自動車損害賠償保障法35年発展史』(椎木緑司/著 保険毎日新聞社 1989.5)(ページ:65-67)
- 『自動車損害賠償責任保険の解説』(田中敬/著 保険毎日新聞社 1955)(ページ:37-47)
- 『財経詳報』7(財経詳報社 1955.12.19)(ページ:1-7)
- 『関西大学商学論集』1(2)(関西大学商学会 1956.6)(ページ:81-94)
- 『註釈自動車保険約款(上)』(鴻常夫/[ほか]編集 有斐閣 1995.3)(ページ:9-10)
- 『註釈自動車損害賠償保障法(新版)』(木宮高彦/著 有斐閣 1967)(ページ:1-9,372-377)
- 『損害保険研究』第17巻1-2号(損害保険事業研究所 1955)(ページ:219-236,144-179)
- 『損害保険研究』第17巻3-4号(損害保険事業研究所 1955)(ページ:158-188,116-146)
- 『損害保険研究』第15巻4号(損害保険事業研究所 1953)(ページ:217-234)
- キーワード
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- 保険制度 自動車
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 法律
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000090479