レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年8月11日
- 登録日時
- 2022/09/08 17:41
- 更新日時
- 2022/10/30 14:13
- 管理番号
- 島根郷2022-011
- 質問
-
未解決
松江市の菓子司一力堂の御菓子「一々斎」の包装紙に印刷されている、松平不昧公の書簡の原本についての情報が欲しい。島根県立図書館にあるのではないか、という話を聞いた。
※松平不昧は、松江藩松平家第7代藩主、松平治郷。大名茶人として茶道に精通していた。一力堂は治郷の時代に創業、松江藩御用達をつとめていた。
- 回答
-
当館所蔵資料を調査し、一力堂へも問い合わせたが、該当資料の原本についての情報は得られなかった。
下の所蔵資料と、調査過程を伝え、回答とした。
- 回答プロセス
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〇質問者から預かった包装紙によれば、印刷されている書簡の文面は以下
「菓子の事仰下され 惣くわし入の儀までに仰下候へども 中々工夫出来かね候へども 松風又はせんべい最中の月類宜 可在之候外かかり宜しく候
頓首 正月十五日 無相庵首サマ 一々斎 茶炉下」
包装紙は、原本写真の上に、「弌々斎」という角印をあしらったデザイン。
〇一力堂に電話で伺ったところ、以下の情報をいただいた
・2010年秋ころに、先代の方が包装紙を作成したと思われるが、作成当時の資料は残っていない
・一力堂に書簡の原本はない
・図書館かどこかで、書簡の写真が掲載された資料を見て、そのコピーを使って包装紙を作ったのではないか
〇当館所蔵の松平家関係古文書
目録を確認するが、主に藩政に関する内容の文書で、茶道に関する資料は見つけられなかった
〇当館所蔵資料で、不昧の書簡写真が載っている図録などを確認したところ、資料1第35号に該当書簡が掲載されていた。
しかし、原本の写真のみで、どこに所蔵されているかなどの情報は書かれていない。
印については、資料2p.45に写真、p.46、67に解説がある。
これによると、該当の印は「大正14年松平家の墓地(天徳寺・港区芝)が移転されるに際し、不昧筆塚の石棺から」発見された印の一つで、「不昧の新墓地に再び副葬」されたとのこと。
〇手紙の宛先「無相庵首」について
・資料3中巻p.156-160「茶友録」は、不昧の茶会に出席した人物のリストである。
これを見るが、該当の人物は掲載がなかった。
・資料4p.32-33に「不昧文 無相主人宛」の書簡が掲載されている。
p.92の解説によれば、「無相主人(不詳)」で、この書簡は尾張の数寄者、森川如春庵の旧蔵品で、現在は名古屋市博物館蔵とのこと。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (281 8版)
- 茶道 (791 8版)
- 中国地方 (217 8版)
- 参考資料
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【資料1】松平治郷 [筆] , 島根県美術協会 編 , 松平, 治郷, 1751-1818 , 島根県美術協会. 不昧公遺墨集. 島根県美術協会, 1928.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000772356-00 (当館請求記号:貴重097.2/15) -
【資料2】松江歴史館 編集 , 松江歴史館. 企画展-美の遺産-松平不昧 茶の湯と美術. 松江歴史館, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I072092542-00 , ISBN 9784879031952 (当館請求記号:郷貸出791.5/マ16) -
【資料3】松平家編輯部 編纂 , 松平家. 松平不昧傳 増補復刊. 原書房, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002839735-00 , ISBN 4562032529 (当館請求記号:郷貸出289.1/マ99) -
【資料4】出雲文化伝承館 編集 , 出雲文化伝承館. 没後200年松平不昧 : 茶と人となり. 出雲文化伝承館, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I032172034-00 (当館請求記号:郷貸出791.2/イ18)
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【資料1】松平治郷 [筆] , 島根県美術協会 編 , 松平, 治郷, 1751-1818 , 島根県美術協会. 不昧公遺墨集. 島根県美術協会, 1928.
- キーワード
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- 松平, 治郷, 1751-1818
- 茶道--歴史
- 照会先
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- 一力堂
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320999