レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年8月13日
- 登録日時
- 2021/08/15 09:19
- 更新日時
- 2022/10/07 09:13
- 管理番号
- 県立長野-21-099
- 質問
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解決
「引っ込み屋」とは何か。『20世紀の歴史家たち 5』の中村吉治の章で、p.221の生家を紹介する文中に「引っ込み屋」という言葉が出てくる。
- 回答
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『20世紀の歴史家たち 5』の中村吉治の章に出てくる「引っ込み屋」は、屋号と思われる。
『老閑堂追憶記』 中村吉治著 刀水書房 1988 【N289/ナカム/1】の p.8-9にかけて、故郷朝日村平出についての文があり、
街道から二~三〇メートル引込んだ家が引込(ひっこみ)屋だ。平出の農家の地主の一人であり、
村長になったり村の銀行の頭取になったりする何軒かの本家(おおや)の一つだ。私の家はその分家
で新屋(しんや)である。私の祖父の代に分かれたらしく、街道を隔てて南側だ。父の代にもう一軒
新屋ができた。引込屋と同じ側で、街道にそって私の家の向かいになる。二軒の新屋が向かい合って
いるのだ。私のほうが「古い新屋」、もう一軒が「新しい新屋」と呼びならわされた。考えれば引込
屋とともに奇抜な名称だが、馴れては村人も何とも思わなかったようである。
となっている。また、この資料の巻頭に著者自筆とされる「大正時代の横町図(上町、下町は省図)」がある。なお、この図をもとに活字で作り直された図が、『平出区誌 区制百周年記念』平出区誌刊行委員会編・刊 1993 【N242/115】p.58-59「大正時代の朝日町地区家並略図」として掲載されている。
- 回答プロセス
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1 『20世紀の歴史家たち 5』今谷明ほか編 刀水書房 1988 【201.28/ニジ/5】の当該文章を確認する。中村吉治の出身地が上伊那郡朝日村平出(現・上伊那郡辰野町)で、実家は農家を営んでいたことがわかる。
2 長野県の方言もしくは長野県独特の職業かもしれない、と依頼文にあったため、まず、方言辞典類、および辰野町の方言が所収されている『辰野町誌 近現代編』を確認する。「引っ込み屋」「引込屋」等の表記、ヨミに該当するものはない。
3 『20世紀の歴史家たち5』の文章の印象から屋号のような感じがしたため、中村吉治の著作を調査する。『老閑堂追憶記』の中に、該当箇所を確認する。
<調査済み資料>
・『明治百年記念朝日村史』 朝日村史編纂会編・刊 1968 【N242/47】
・『辰野町誌 近現代編』 辰野町誌編纂専門委員会編 辰野町誌刊行委員会 1988 【N242/108/1】
・『長野県方言辞典』 馬瀬良雄編 信濃毎日新聞社 2013 【N880/26a】
・中村吉三郎著 「従兄中村吉治の追想」『伊那路』第31巻第8号 1987
・『長野県歴史人物大事典』 赤羽篤ほか著 郷土出版社 1989 【N283/13】
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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中村吉治/著 , 中村吉治. 老閑堂追憶記. 刀水書房, 1988. (社会史への歩み ; 1)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I026373463-00 (【N289/ナカム/1】)
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中村吉治/著 , 中村吉治. 老閑堂追憶記. 刀水書房, 1988. (社会史への歩み ; 1)
- キーワード
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- 引っ込み屋
- 引込屋の古い新屋
- 中村吉治
- 上伊那郡朝日村平出
- 上伊那郡辰野町
- 屋号
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000303206