レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 埼玉県立久喜図書館 (2110009) | 管理番号 (Control number) | 埼熊-2007-093 | |||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2007/05/18 | 登録日時 (Registration date) | 2008年04月04日 02時11分 | 更新日時 (Last update) | 2009年11月20日 11時45分 | |||||||||||
質問 (Question) | 『熊谷次郎直実一代』(熊谷市立図書館 1998)p39、41に掲載されている「熊谷状」(直実の送り状)と「経盛返状」(平経盛の返し状)の直筆の書状は、現在どこに所蔵されているのか。 | |||||||||||||||
回答 (Answer) | 出典資料には、寿永3年(1148)一ノ谷の戦いで、若武者敦盛を打ったことに戦さの無情を感じた熊谷次郎直実が、敦盛の父経盛に送った「お詫びの書状(熊谷状)」と、そのお礼の手紙である「平経盛の返し状(経盛返状)」が掲載されている。 下記資料に「「経盛返状」は浄土宗蓮生山熊谷寺に宝物として寄託・・」と記述があり、直接問い合せ、その結果〈非公開で収蔵するが直筆の書状である確証はない〉との回答を得る。また「直実状」は平家物語作者の創作で、書状の交換はなかったとする説も散見する。 詳細については、以下の資料を紹介する。 郷土資料から ①『熊谷直実 法然上人をめぐる関東武者 1』(東方出版 1991) p40-43「直実・経盛往復書状」の項に、質問の文章と同じ書状が引用され、「手紙の実物が熊谷市の熊谷寺宝物館にあると聞き訪ねたが、見ることは叶わなかった」と記述あり。 ②『復刻熊谷蓮生一代記』(熊谷市立図書館 2000) p304-306に、少し異なるが書状の本文があり、本文末に「此返状武州蓮生院熊谷寺にある」と記述あり。 ③『蓮生山熊谷寺開創略縁起』(熊谷寺) p7「当山常什霊宝目録」中に〈参議経盛卿筆一通〉とあり。 ④『熊谷次郎直実 法力房蓮生法師の研究』(熊谷市立図書館 2003) p249-250に〈送状・返状〉の読み下し文、p250の註に〈経盛返状 熊谷寺に寄贈〉、p253に〈寺宝 平経盛返状〉とあり。 p326には「〈直実状〉であるが、これは平家物語作者の創作であろうが・・・何か類する事実があったのではないかとの説がある(略)」と記述あり。 ⑤『中世武蔵人物列伝』(埼玉県立歴史資料館 2006) 「熊谷直実」の項p85に〈経盛返し状〉は現在も高野山(和歌山県)の熊谷寺(くまがやじ)に保管と記述があるが、資料④では、高野山知識院に納めてから熊谷市熊谷寺に寄贈とある。 ⑥『埼玉の寺 3』 p56-57「熊谷寺 当山什宝」に〈経盛返状〉あり。出典の「増補忍名所図会」(『埼玉叢書 2』所収)p75に同記述あり。 ⑦『熊谷法力房蓮生法師』(1987) p56-58に直実と経盛の手紙文掲載あり。 p210の資料10「直実の送り状と平経盛の返し状」に〈読み物系「平家物語」「源平盛衰記」は漢文体で記されているが、各平家物語異本により多少の加筆、修正があり記述に差異あり〉と記載あり。 典拠資料から ⑧『日本教育文庫 教科書篇』(日本図書センター) p106-117「古状揃」の項p112-114に、出典資料と同内容の活字版〈熊谷状〉〈経盛返状〉があるが、原書の所蔵先等の解説なし。 ⑨『往来物大系 43』(大空社) 江戸前期刊「新版古状揃」「古状揃」収載、〈熊谷状・経盛返状〉の本文・付訓があるが所蔵先等の解説なし。 ⑩『往来物大系 46』(大空社) 「絵図注入新古状揃大成」(江戸後期刊)に〈熊谷状・経盛返状〉の本文・挿絵・訓読文があるが所蔵先等の解説なし。「熊谷送状」(熊谷状・経盛返状)(1650年刊)の本文があり、〈源平盛衰記 38〉より抜き出したものと解説にあり。 ⑪『有朋堂文庫 17 源平盛衰記 下』 p433-436(第38巻)に〈熊谷送敦盛頸竝返状事〉とあり。 | |||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 出典『熊谷次郎直実一代』に記載されている典拠資料「日本教育文庫 古状揃」を調べる。 『日本教育文庫 別冊総索引』の書名索引から、『日本教育文庫 教科書編』に収載〈熊谷状〉〈経盛返状〉が見つかるが、原文書の所蔵に関する記述なし。 『国書総目録 2』p677「熊谷状」の項には、所蔵先が数か所あるが江戸期の版本。 『同資料 3』p455「古状揃」の項にも、寛永2年写本が国会図書館等に、江戸期の版本が複数大学図書館等に所蔵とあり、活字本は上記『日本教育文庫 教科書篇』と記述がある。京都大学図書館谷村文庫、東京学芸大学付属図書館持月文庫往来物目録のWebサイトで画像が見られる。 その他、『有朋堂文庫 17 源平盛衰記 下』等にもあたるが、いずれも原書の所蔵先はわからない。 次に熊谷直実関係の郷土資料を探索する。 『熊谷直実 法然上人をめぐる関東武者 1』『復刻熊谷蓮生一代記』等に書状が掲載され、熊谷市熊谷寺(ユウコクジ)に〈経盛返状〉が保管されているとの記述が見つかった。 また《蓮生山熊谷寺》Webサイトには「寺宝として(中略)蓮生の孫熊谷伊豆守直之が請い受けて、後、当寺院に寄託。・・・寿永3年(1184)2月平経盛より礼文が届く、当寺什物(宝物)〈経盛返状〉」とあり。 直接「熊谷寺」に問い合わせて確認する。非公開で収蔵するが、今のところ直筆書状の確証はないとの回答。 なお『平家物語 巻第7-12 灌頂巻』p235の頭注には「延慶本(延慶2~3年に書写)には直実が敦盛の父経盛に手紙を送り、その返事があったという箇所はない」とある。 | |||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) |
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寄与者 (Contributor) | ||||||||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 所蔵機関調査 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 | 質問者区分 (Category of questioner) | 個人 | |||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000043371 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |